法務問題へのコンプライアンス体制の構築①

【事例】
Aさんは、佐賀県唐津市で水産加工業を営む会社であるⅩ社の従業員です。
Ⅹ社では、インターネットでの通販を利用して自社の水産加工品を日本全国に販売することを目指しています。しかし、Ⅹ社は、これまで自社の直売所での販売と地元の小売店への販売しかしていませんでした。そのため、インターネット通販のサイトを開設する必要もあると考えていますし、購入された水産加工品を安全に消費者に届けなければいけませんし、消費者への輸送手段も確保せねばなりません。
このような山積する課題に対応する一環として、Ⅹ社では法務部を新設することになり、Aさんがそこの責任者となりました。
Aさんが法務部の責任者として最初に会社から指示された仕事は、X社のコンプライアンス体制を構築することでした。しかし、Aさんは弁護士資格を有しているわけではありませんでした。また、X社にはこれまで顧問として付いてもらっていた弁護士もいません。
そこで、Aさんは、Ⅹ社のコンプライアンス体制を構築するにあたって、あいち刑事事件総合法律事務所に相談することにしました。

1 コンプライアンスとは

コンプライアンス体制を構築する大前提として、まずはコンプライアンスとは何かについて解説していきます。

コンプライアンス(compliance)とは、一般的に「法令遵守」と日本語訳されることが多いです。
「遵守」とは、決められたことを守ることです。

それでは、コンプライアンスとは、法令、つまり、法律を守ることだけを指すのでしょうか。
現在、コンプライアンスという言葉で求められているのは、単に法律を守ることだけではなく、社会規範や社会道徳などといったものまで含めて、そういったルールを守ることだと解されているように思われます。
より具体的には、民法労働基準法会社法刑法といった法律だけではなく、就業規則などといった会社内で定められているルールはもちろん、職務上守るべき企業倫理道徳規範をも守ることが求められているように思われます。

2 コンプライアンスが強く求められるようになった背景

コンプライアンスが強く求められるようになった背景としては、言葉自体が世間一般に浸透しているかは別として、企業の社会的責任(CSR)という考え方が浸透してきたことが挙げられるでしょう。

例えば、発展途上国の児童が、学校に行くこともできずに、コーヒー農園で働いていて、その商品を安価で購入している企業がいた場合に、その企業の姿勢に疑問を持つ人々も増えてきているのではないでしょうか。
フェアトレードをすべきだという問題としても知られてきています。

また、国内に目を移しても、長時間労働を強いる会社、いわゆるブラック企業に対する非難の目も強まってきているのではないでしょうか。

このような社会全体としての意識の積み重ねが、企業の社会的責任(CSR)を求める風潮に繋がり、そのような責任を果たしていない場合に、コンプライアンス違反であるとして社会から非難される事態を招いているのではないでしょうか。

もちろん、企業は、根本的には事業を通じて利益を追求する組織です。
利益を追求すること自体は問題があるわけではありません。
しかし、利益を得る、特に継続的に利益を得るためには、取引相手やその先にいる一般消費者の意思を無視するのは得策ではないのではないでしょうか。
その意味でも、コンプライアンスは重要だといえるでしょう。

今回は、コンプライアンス体制の構築に関して、コンプライアンスとは何かなどについて解説していきました。この続きは今後の記事で解説していきます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件に関わってきた経験を活かし、そもそも会社内で不祥事を起こさないための対応・アドバイスにも力を入れています。
コンプライアンス体制の構築などについてアドバイスをご希望の方は、一度、あいち刑事事件総合法律事務所にこちらからご相談ください

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