企業犯罪・不祥事から生じるリスク

企業犯罪・不祥事から生じるリスクには、刑事事件についての対応のほか、報道や風評被害、許可取消などの行政の処分といった様々なものが考えられます。

ここでは具体的にどのようなリスクが考えられるのかを見ていきましょう。

捜査・裁判対応

企業犯罪を起こした場合、会社やその役員、従業員などに対して捜索差押や取調べなど捜査が行われることになります。

会社の資料やパソコンなどが押収されて業務に支障が出ることはもちろん、役員や従業員が逮捕されてしまう可能性もあり、単に捜査を受けると言ってもその影響は計り知れません。

また、起訴されると刑事裁判が始まることになり、役員や従業員が刑事罰を受けてしまう可能性もあります。

さらに、法人に対しても刑事罰が定められている犯罪もあり(いわゆる両罰規定)、会社が多額の罰金を支払わなければならなくなる可能性もあります。

不祥事を起こした場合にも、損害賠償請求などの民事訴訟(民事裁判)を起こされてしまう可能性があり、民事裁判は時間や資料の準備などの労力が多分にかかってしまうため、会社にとっての負担は単に賠償金を支払うことだけにとどまりません。

報道・風評被害

企業犯罪や不祥事が発覚すると、報道されることも多々あります。

捜査が開始した場合はもとより、内部リークによって週刊誌などの記事にされてしまう可能性もあります。

特に、大規模な事件となると地方検察庁の特別捜査部(いわゆる特捜部)などが直接会社に捜索差押に入ることもあり、こういった場合には必ずと言っていいほど全国ニュースで報道されることになってしまいます。皆さんも一度はニュースでご覧になったことがあるはずです。

報道されるだけでも企業イメージに与える悪影響は非常に大きいものがありますが、昨今ではテレビなどの大手メディアだけでなくSNSによって不祥事の内容が拡散されることも多く、中にはフェイクニュースなど悪質な行為によって事実とは違う内容が拡散されてしまい、多大なダメージを受けてしまうこともあります。

場合によっては、不買運動などに発展してしまうこともあります。

報道やそれに伴う風評被害によって、会社の信用が失われ多大な経済的損失を被ってしまうことになります。

行政の処分

企業犯罪・不祥事を起こしてしまったとき、刑事罰や損害賠償の他に行政処分を受ける場合もあります。

たとえば、脱税事件を起こしてしまった場合には、法人税法違反などによる刑事罰を受けるだけでなく、過少申告加算税や無申告加算税、それらに代わる重加算税などの追徴課税を受けることになります。

また、建設業に携わる会社が建設業法に違反した場合、営業停止処分や建設業許可の取消処分といった行政処分を受ける場合があります。

さらに雇用関係助成金の不正受給などの場合には、不正受給を行った会社名が公表されることになります。

このように、行政の処分として、刑事罰や損害賠償以外にも多大な金銭的負担が発生したり、会社の存続に影響するような許可取消処分や会社の信用を失ってしまう公表など、非常に大きなダメージを受けてしまう可能性があります。

さらに、当該会社だけの問題にとどまらず、例えば脱税事件を起こした会社の取引先に反面調査として税務署の調査が入ったり、顧問税理士が脱税方法の指南をしていたような場合には、税理士資格をはく奪されたりといったことにもなります。

まとめ

このように、企業犯罪や不祥事によって生じるリスクは、直接的なものから間接的なものまで様々です。

また、インターネットが普及している現代社会において、一旦報道などがなされてしまえば、その情報は瞬く間に広まってしまいますし、半永久的に残ってしまう可能性があります。

一度悪評が経つと、かなり時間が経っても影響が残ってしまう場合もありますので、リスクに対する備え・対応をしっかりとしていく必要があります。

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