企業外の不正(第三者に対する不正、第三者の関わる不正[背任、取引先からの詐欺])

企業外の第三者に対する不正

従業員・役員による企業外の不正として、企業活動とは関係なく従業員・役員の私生活上の行為について不正が起き、企業外の第三者に被害を与えることがあります。

例えば、痴漢行為、盗撮行為、酒に酔っての暴行等です。

この場合は必ずしも企業に影響があるとはいえません。

ただし、私生活上の行為であっても、特に企業の幹部従業員による犯罪行為、役員による犯罪行為に関してはマスコミも注目し、当該従業員等の勤務先として企業名も報道されることがあります。

私生活上の行為といえども、犯罪行為をするような者が重要な役職にいたという事実自体が明らかになれば、企業の社会的信用が損なわれることは免れず、これを防止するために様々な対応を検討する必要があります。

特にマスコミ報道がなされうるような事案の場合は、企業の断固とした姿勢をアピールすることが望ましいといえます。

事案に応じた適切な対応が必要です。

従業員・役員が私生活において犯罪行為をした場合には、企業がそれを認識するのは、警察による逮捕等の捜査活動が端緒となることが通常です。

企業外の犯罪ですから、企業としてできることは限られていますが、その場合でも、企業として適切な対応をとるためには、まずは、できる限り迅速に事実関係を把握する必要があります。

情報を入手する手段としては、警察、家族、当該従業員・役員の弁護人等から事情を聞くことが考えられます。

事実関係を把握した後、企業が、マスコミ発表する場合には、懲戒処分を検討するなど厳正な対処をする旨の断固とした姿勢を示すべきです。

もっとも、従業員・役員が犯罪行為を否認している場合には、当該従業員・役員が犯罪行為をしたことを前提にするかのようなコメントは差し控えるべきことは当然です。

企業外の第三者の関わる不正

次に、役員・従業員による企業外の不正として、企業外の第三者の関わる不正があります。

たとえば、背任罪(特別背任罪)があります。

典型的な背任の例は、銀行などの金融機関の役員が、専ら自分の友人(第三者)の利益を図るために、その友人が経営する企業の資力がほとんどないことを知りながら、十分な担保なしに貸付けを行い、その結果、債権の回収ができなくなったような場合です。

また、特別背任罪という罪が会社法に規定されており、株式会社の発起人、取締役等といった特別の地位にある者が背任行為をした場合には10年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金、又はこれらを同時に科されるという、刑法の背任罪よりも重い処罰が科されることになっています(会社法960条)。

企業外の第三者が関わる不正としては、企業が取引先から詐欺にあう場合もあります。たとえば、企業の経理担当者が取引先と共謀して、自社に水増し請求していたような場合です。

このような場合、企業の従業員・役員が刑事上の責任を負うのは当然ですが、企業外の第三者が共犯者である場合、その第三者に対しどのように対応すべきでしょうか。

これらの場合、企業としては、直接損害を受けることになり被害者となるわけですから、事実関係の把握に努め、証拠となる資料を揃えて、刑事責任の追及に向けて第三者を刑事告訴するか否かを検討することになります。

また、第三者に対しては、不法行為(民法709条)に基づく損害賠償責任を追及することも考えられます。

総括

従業員・役員による企業外の不正行為が発覚した場合,弁護士のサポートがあるとスムーズに進みます。

マスコミ対策が必要となる場合もありますし、さらに、弁護士に依頼すれば、場合によって、企業自体が損害を受けた場合、不正を行った従業員・役員に対し、更には不正に関与した第三者に対し、その後の損害賠償請求まで任せることもできます。

また、弁護士に依頼すれば、不正を行った者等の刑事責任を追及したい場合も、証拠の保全や事実関係の確定などについてサポートが受けられます。

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