【事例】
Aさんは、福井県敦賀市に住む会社員ですが、大学生の頃からの趣味でスニーカーの蒐集をしていました。
ただ、結婚を機に蒐集していたスニーカーを手放そうと考えて、オークションサイトやフリーマーケットアプリで売却をしたところ、思ったよりも高値で売却することができました。
その経験をきっかけに、Aさんは、会社員の傍ら、副業としてスニーカーの転売をしようと考えました。
Aさんとしては、オークションサイトやフリーマーケットアプリ、中古販売店などから、相場よりも安く希少なスニーカーを見つけてきて購入し、オークションサイトで転売しようと考えています。
また、事業が軌道に乗れば会社を作って転売をしていこうとも考えています。
しかし、Aさんは、初めて副業をすることから、許可など法律的に必要になる手続きがあるのか不安になりました。
もしも許可などの必要な手続きを怠った場合、本業の方にも影響があるのではないかと心配で、あいち刑事事件総合法律事務所に相談することにしました。
(事例はフィクションです。)
このページの目次
1 はじめに
前回の記事では、Aさんがやろうとしている中古品の転売という事業は古物営業法の規制を受ける事業であること、そして、都道府県公安委員会の許可が必要となる一定の「古物営業」(古物営業法2条2項)とはどのようなものかをみてきました。
そして、Aさんの場合にも、一部の取引が古物営業法2条2項1号に該当する可能性があると解説してきました。
今回は、古物営業法2条2項1号に該当する具体的な内容について解説していきます。
2 許可が必要となる取引とは
許可が必要となる「古物営業」の1つとして、古物営業法は、「古物を売買し、若しくは交換し、又は委託を受けて売買し、若しくは交換する営業であつて、古物を売却すること又は自己が売却した物品を当該売却の相手方から買い受けることのみを行うもの以外のもの」(古物営業法2条1項1号)を挙げています。
この規定を読み解く場合、2つの要素があると考えると分かりやすいでしょう。
1つは、前半の「古物を売買し、若しくは交換し、又は委託を受けて売買し、若しくは交換する営業」である要素です。
もう1つは、後半の「古物を売却すること又は自己が売却した物品を当該売却の相手方から買い受けることのみを行うもの以外のもの」だという要素です。
分かりにくいのは後者の要素でしょう。
まず、「自己が売却した物品を当該売却の相手方から買い受けることのみを行うもの」、つまり、自分の売ったものを買い戻す場合は許可が必要な「古物営業」には該当しないということです。
そして、「古物を売却すること」「のみを行うもの」も該当しません。
つまり、“古物を買って、古物を売る”のは該当しますが、“新品を買って、(買ったことによって古物になった)古物を売る”場合や、“(買わずに)無償で貰った古物を売る”場合は、該当しないのです。
Aさんの場合には、元々蒐集していたスニーカーを売却する場合や、新品のスニーカーをメーカーや小売店から購入して転売する場合は、古物営業法2条2項1号に該当せず、「古物営業」とはいえないでしょう。
しかし、オークションサイトやフリーマーケットアプリ、中古販売店などで仕入れて転売するのは、「古物」(古物営業法2条1項)を購入してから売却することになりますから、「古物営業」に該当しますので、許可を受けておく必要があります。
これはそのスニーカーが未使用品であっても変わりません。
次回以降の記事では、許可を得る手続などについて解説していきます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件に関わってきた経験を活かし、そもそも法律に違反しないための対応・アドバイスにも力を入れています。
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