スニーカー販売と必要になる許可①

【事例】
Aさんは、福井県敦賀市に住む会社員ですが、大学生の頃からの趣味でスニーカーの蒐集をしていました。
ただ、結婚を機に蒐集していたスニーカーを手放そうと考えて、オークションサイトやフリーマーケットアプリで売却をしたところ、思ったよりも高値で売却することができました。
その経験をきっかけに、Aさんは、会社員の傍ら、副業としてスニーカーの転売をしようと考えました。
Aさんとしては、オークションサイトやフリーマーケットアプリ、中古販売店などから、相場よりも安く希少なスニーカーを見つけてきて購入し、オークションサイトで転売しようと考えています。
また、事業が軌道に乗れば会社を作って転売をしていこうとも考えています。
しかし、Aさんは、初めて副業をすることから、許可など法律的に必要になる手続きがあるのか不安になりました。
もしも許可などの必要な手続きを怠った場合、本業の方にも影響があるのではないかと心配で、あいち刑事事件総合法律事務所に相談することにしました。
(事例はフィクションです。)

古物営業法違反の刑事事件についてはこちら

1 はじめに

ある事業を行うときには、法律によって様々な規制を受けることになります。
そのような規制のうち大きなものでいえば、その事業を行うには許可を受けなければならないというものや、その事業を行うという届出をしておかなければならないというものもあります。

今回のAさんのように、中古品の転売をするという事業も、このような規制を受ける事業の1つです。
具体的には、古物営業法という法律の規制を受けることになります。
これは、会社(法人)として行う場合であっても、個人として行う場合であっても変わりません。

2 「古物」とは

そもそも古物営業法が規定している古物とはどのようなものでしょうか。
古物営業法によると「古物」とは、「一度使用された物品(鑑賞的美術品及び商品券、乗車券、郵便切手その他政令で定めるこれらに類する証票その他の物を含み、大型機械類(船舶、航空機、工作機械その他これらに類する物をいう。)で政令で定めるものを除く。以下同じ。)若しくは使用されない物品で使用のために取引されたもの又はこれらの物品に幾分の手入れをしたもの」とされています(古物営業法2条1項)。
つまり、①「一度使用された物品」、②「使用されない物品で使用のために取引されたもの」、③「これらの物品に幾分の手入れをしたもの」の3つに分けることができます。

ポイントは、「古物」に当たるのは、いわゆる中古品、リサイクル品(①)だけではないということです。
壊れたものを修理して売る場合(③)はもちろん、新品を購入して転売する場合(②)でも、その売る物は「古物」に当たることになるのです。

今回は、古物営業法の許可を解説するにあたり、規制を受ける対象のうち、「古物」について解説していきました。
このような規定からすると、Aさんが売ろうとしているスニーカーが、履いたことのあるものであっても、一度も履いたことのないスニーカーであっても、古物営業法の規制を受ける可能性がありそうですよね。
ただ、古物営業法は、「古物」に関する取引の全てを許可が必要なものとして規制しているわけではありません。
規制の対象としている取引を限定しています。

3 「古物営業」とは

古物営業法は、「古物営業」のうちで一定のものを営もうとする場合は、都道府県の公安委員会で許可を受けなければならないと定めています(古物営業法3条)。
それでは、「古物営業」とはどのようなものでしょうか。

「古物営業」としては、次の3つが規定されています。

①「古物を売買し、若しくは交換し、又は委託を受けて売買し、若しくは交換する営業であつて、古物を売却すること又は自己が売却した物品を当該売却の相手方から買い受けることのみを行うもの以外のもの」(古物営業法2条2項1号)
②古物市場(古物商間の古物の売買又は交換のための市場)を経営する営業(同2号)
③古物競りあっせん業(古物の売買をしようとする者のあっせんを一定の競りの方法により行う営業)(同3号)

このうち、①か②の営業を営もうとする場合には、古物営業の許可を受けなければなりません(古物営業法3条)。

Aさんが営もうとしている事業は、②古物市場を経営する営業(古物営業法2条2項2号)ではなく、スニーカーの転売に関する事業です。
そのため、Aさんが営む事業が、①「古物を売買し、若しくは交換し、又は委託を受けて売買し、若しくは交換する営業であつて、古物を売却すること又は自己が売却した物品を当該売却の相手方から買い受けることのみを行うもの以外のもの」(古物営業法2条2項1号)に該当するとなれば、Aさんは古物営業の許可を受ける必要が出てきます。

結論から先に言うと、Aさんの行おうとしている取引を例にとっても、その全てが古物営業の許可が必要な取引ではありませんが、一部、許可が必要な取引が含まれる可能性があります。
そのため、Aさんの場合でも、古物営業の許可を受けておく必要が出てきえます。
その具体的な内容については、次回以降の記事で解説していきます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件に関わってきた経験を活かし、そもそも法律に違反しないための対応・アドバイスにも力を入れています。
許認可申請についてアドバイスがほしい、継続的に弁護士からアドバイスを受けたいなどといったご要望の方も、一度、あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

お問い合わせはこちらからどうぞ。

keyboard_arrow_up

05058309572 問い合わせバナー 無料相談・初回接見の流れ