学校法人における刑事リスクと初動対応の重要性


学校法人や教育機関では,体罰や資金不正,ハラスメントなど,刑事事件に発展し得る不祥事やコンプライアンス違反が発生する可能性があります。
こうした問題が起これば,学校の信用失墜や法的責任の追及に直結するため,一般職員であっても危機意識を持ち,適切な対応策を理解しておくことが重要です。特に,問題発生直後の初動対応の巧拙がその後の展開を大きく左右すると指摘されています。
本記事では,学校法人で実際に起こりうる具体的な刑事リスクの例を挙げ,初動対応の重要性を確認します。
さらに,早期に弁護士に相談することのメリットとして,事実調査や証拠保全,記者会見対応,被害者・加害者への対応,危機管理マニュアル整備支援といった観点から,専門家が果たす役割を詳しく解説します。
最後に,刑事事件対応に特化し,教育機関への対応実績も豊富な弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の体制と強みをご紹介します。

学校法人で起こりうる事件・リスク

学校法人が直面し得る刑事・リスクにはどのようなものがあるでしょうか。

例えば,教師による体罰・暴行,生徒への性的な不適切行為,管理職による資金の私的流用(背任罪),学校への架空請求等の詐欺が考えられます。
また,教職員間のパワーハラスメントやセクシュアルハラスメント,大学入試の不正操作,問題発覚後の不祥事隠蔽や証拠隠滅,公立学校の場合だと公文書の改ざん(虚偽公文書作成罪に該当)といった事態も起こり得ます。
なお,体罰は暴行罪や傷害罪に該当し得る明確な犯罪行為です。

こうした多様なリスクに対し,学校法人では日頃からコンプライアンス意識を高め,違法行為を防止する取り組みが求められます。

事例

実際に学校法人の内部で発生した事件の一例を見てみましょう。

例えば,2012年に大阪市の高校で,部活動顧問の教師から体罰を受けた生徒が自殺する痛ましい事件が起きています。
また,東京の有名大学では,元理事長が業務実態のない人物に巨額の報酬を支払い,約1億2000万円の損害を与えた背任事件で逮捕されました。
さらに,2018年には文部科学省の汚職事件を契機に大学の入試不正問題が発覚し,女子受験者を一律に減点していた大学が社会的批判を浴びました。

このほか,教職員によるハラスメントの隠蔽や,学校が重大ないじめ事件を警察に報告せず対処を誤ったケースも数多く報道されています。

近年では,各自治体や学校内で,教員による性暴力の防止のための取り組みも報じられています。

相次ぐ教員による性暴力 自治体や学校現場 再発防止へ

これらの事例は,学校法人でも刑事事件に直結する問題が起こり得ることを示しており,他人事ではないと認識する必要があります。

初動対応の重要性

不祥事や疑いが浮上した際には,初動対応が極めて重要です。
適切な初動措置を取ることで,被害の拡大防止早期収束につながります。
具体的には,関係者や被害者の安全確保,速やかな事実確認と証拠の確保,関係機関への報告などが初動段階の基本となります。

不正・不祥事対応では「初動対応の巧拙がその後の展開を大きく左右する」とされ,迅速かつ適法な証拠保全や効果的な聞き取り調査を行うことが肝要です。
反対に,対応が遅れたり隠蔽を図ったりすれば,後になって事実が露見した際に組織への批判や処分が一層厳しくなる恐れがあります。

また,被害者の心情を無視した対応は二次被害を招き,将来的に学校法人への訴訟リスクを高める結果にもなりかねません。
こうした観点から,問題が判明した段階で速やかに専門家の助言を仰ぐことが望ましいでしょう。

事実調査と証拠保全

問題発生後は,まず事実関係の徹底した調査が欠かせません。
しかし内部だけで調査を行うと,どうしても客観性を欠いたり,関係者の証言の食い違いを適切に整理できなかったりする危険性があります。

そこで,弁護士のサポートのもと,証拠の保全と関係者からのヒアリング(聞き取り調査)を迅速かつ的確に行うことが重要です。
弁護士は,事案に応じて第三者委員会など外部の調査機関を設置すべきか否かといった判断についてもアドバイスできます。
例えば,教職員による体罰問題や生徒・学生間での暴力事件が生じた場合,迅速な事実確認と被害生徒の保護を弁護士の指導のもとで進めることが望ましいでしょう。
専門家の関与によって,調査の信頼性を確保し,後々の刑事・民事手続にも耐えうる証拠を押さえることが可能になります。

記者会見への対応

重大な不祥事が発覚すれば,報道機関から取材が殺到し,世間の注目を集めることになります。
その際,学校法人として適切な情報開示謝罪を行うことで,事態の沈静化と信頼回復を図ることが不可欠です。

記者会見では事実関係や再発防止策を説明し,社会に向けて真摯な姿勢を示す必要があります。
とはいえ,会見での発言一つで法的責任に影響したり,説明不足がさらなる批判を招くリスクもあります。近年では,事件報道などに関して学校が会見を開いたところ,「不適切な対応だ」とSNS等で批判の的となり,いわゆる炎上騒動に発展するケースもあります。
そこで,弁護士の助言を受けながら発表内容や表現を精査し,場合によっては想定問答集を準備することも必要です。
マスコミ対応に精通した弁護士が会見に同席し,取材対応の代行や会見の進行支援,代理人としての発言を行うこともあります。
専門家の関与により,事実と誠意に基づいた適切な広報対応が可能となり,学校や関係者への風評被害の拡大を抑えることができるでしょう。

被害者・加害者対応と危機管理マニュアル整備

不祥事の対応では,被害者加害者(行為者)それぞれへの適切な対処も極めて重要です。
被害に遭った生徒や職員には,心身のケアと適切な補償を行い,二次被害を防ぐ配慮が求められます。弁護士がいれば,被害者への謝罪や補償交渉も法的に適切な形で進められます。

一方,加害行為を行った職員や学生には,懲戒処分や刑事告発を含む厳正な対応が必要で,弁護士は学則や就業規則,法令に照らした処分手続について助言し,関係者への聞き取りを通じて再発防止策を検討します。
また,再発防止のため危機管理マニュアルの整備・見直しも欠かせません。
例えば,いじめ問題については,平時から弁護士の協力を得て調査手順や対応マニュアルを作成しておくことが有効です。

このように弁護士の知見を取り入れることで,組織として被害者と加害者双方に適切に対応し,将来的なリスク削減につなげることができます。

事務所紹介

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,刑事事件・少年事件を専門的に取り扱う全国規模の法律事務所です。
全国各地に拠点を構え,重大事件から身近なトラブルまで幅広い刑事案件で豊富な対応実績を有しています。
特に刑事弁護に精通した弁護士が在籍しており,学校・法人運営に関してもコンプライアンス違反の事例が発生した場合に学校や会社への影響を最小限にとどめる解決策を提案できるのが強みです。
弊所では24時間365日相談を受け付けており,初動段階から迅速に対応できる体制を整えています。
刑事事件対応のプロフェッショナルとして,学校法人の危機管理に万全を期す心強いパートナーとして対応します。

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