会社内でのパワハラ事案から刑事事件へ?

会社内でのパワハラ行為が刑事事件に発展する場合はどのような場合か,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例

A社ではBさん、Cさんを雇用していて、Bさんが製造課の課長、Cさんが同課の平社員でした。
BさんはCさんに対して、以下のような行為をしていたとして会社に告発がありました。
①BさんはCさんを叱責する際に、Cさんの顔面を殴り全治2週間の打撲傷を負わせました
②BさんはCさんに対して、再三にわたって大声で怒鳴る行為を繰り返しており、Cさんは心療内科でPTSDであると診断されました。
A社の代表取締役はあいち刑事事件総合法律事務所に対して、Bさんの行為が刑事事件になる可能性があるのか、どのように対処するのが良いか相談しました。

今回の記事では上記の事例を用いてパワハラ事案への対応についてあいち刑事事件総合法律事務所の弁護士が解説します。
まずはそれぞれの事例について、どのような犯罪が成立しうるのかという点について解説します。

事例で成立する犯罪について

まず①の事例では、傷害罪(刑法204条)が成立します。顔面を殴るという暴行をして傷害結果を生じせしめていますので傷害罪が成立する典型例になります。
それでは、②の事例ではどのような犯罪が成立するのでしょうか。
結論から言いますと、②の事例についても傷害罪が成立する可能性があります。
傷害罪については刑法204条に定めがあり、「人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役刑(2025年より拘禁刑に改正されます)又は50万円以下の罰金に処する」と定められています。

まず②の事例では殴る、蹴るなどのいわゆる暴力をふるっていないので傷害罪にあたらないのではと疑問に思われるかもしれません。
しかしながら、判例では殴る、蹴るなどの被害者に対する暴行がなくても、極端な話をすれば相手に触れていないとしても傷害罪を肯定する場合があるとしています。
例えば、隣家の住人に対してわざと騒音を鳴らして、慢性頭痛を引き起こさせたケースで傷害罪の成立を肯定しています(最決平成17年3月29日,判決の全文は裁判所HPに掲載)。
また判例では、PTSDの発症が、傷害結果の発生にあたるかについても肯定しています(最決平成24年7月24日)
したがって②の事例でも、CさんがPTSDを発症した原因が、Bさんの度重なる怒声が原因であると認められた場合には、傷害罪が成立すると判断される可能性があります。
その他にも、叱責の内容によっては脅迫罪や強要罪などの罪が成立する可能性もあります。
まずは、被害者や加害者、それを目撃した者らから事情を詳細に聴き取る必要があるでしょう。

パワハラの事例に関する対応について

①事実調査

罪の成立に関するところでも解説しましたが、まずは事情や今後の見通しを判断するために関係者らから丁寧に事実の聴き取りを行う必要があります。
その際には会社の関係者であると利害関係が対立してしまうこともあるので弁護士など外部の人間に調査を依頼することが、無用なトラブルを避けるためにも重要であるといえます。

②当事者間での話し合いについて

傷害罪が成立しうるケースでは、被害者は当然刑事告訴をすることも選択肢に入れることが考えられます。
当然被害者の意向が優先されるので刑事告訴をやめさせることはできませんが、刑事告訴された場合には加害者が逮捕される、パワハラ被害が会社内で出たことが報道されるなど会社にとって不利益が生じる可能性が高まります。
ですので当時須夜間の話し合いや、賠償によって解決できるのであれば刑事事件化することなく解決できることが会社にとっては望ましいといえます。
しかしながら当然被害者としては身体的、精神的に傷ついているわけですから、刑事事件の被害者に対応する場合と同様に慎重に対応することが求められます。

③再発防止策

同じようなパワハラ事案が発生しないため、仮に発生してしまったとしても早期に会社に通報が入るようにするために再発防止策の策定が求められます。
これは新たなパワハラ事案の発生防止のためでもありますが、被害者が安心して職場にいれると考え、穏便な解決に納得してもらうためのポイントになる場合もあります。
この対応については内部通報システムや監視システムなどの構築に長けた専門家への依頼をおすすめします。

パワハラ事案への対応はあいち刑事事件総合法律事務所へ

あいち刑事事件総合法律事務所では、これまで数多くの刑事事件・少年事件を扱って参りました。
ですので有事の際の当事者への対応、刑事事件化した場合も見据えた丁寧な聴き取り調査については豊富な経験がございます。
また元検察官、元警察官など様々なバックグラウンドを有する弁護士、専門スタッフがチームで有事の際の対応にあたらせていただきます。
パワハラ事案が発生しその対応にお困りの経営者の方、将来のパワハラ事案発生を防止するための方策にお困りの経営者の方は是非一度ご相談ください。

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