福祉施設の職員による虐待事案について、施設側の不祥事対応の観点から弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
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近年、施設職員による虐待事案は増加傾向にある
近年、福祉施設の職員による虐待事案は増加傾向にあります。ここでは、そのなかでも虐待事案数の多い高齢者虐待、障害者虐待について、まずその実態からお話します。
高齢者虐待の実態
厚生労働省において実施した令和4年度の高齢者虐待への対応状況に関する調査結果(令和5年12月公表)によると、養護者による高齢者虐待以外の養介護施設従業者等(老人ホーム等で業務に従事する人を指します。)による高齢者虐待は、相談・通報件数2,795件(対前年度405件(16.9%)増)、虐待判断件数856件(対前年度117件(15.8%)増)となっています。養護者による虐待事案が、対前年度と比較して横ばい傾向にあることからしますと、近年、施設職員による虐待事案の増加が目立ちます。
虐待の種別は、身体的虐待(57.6%)が最も多く、心理的虐待(33.0%)、介護等放棄(23.2%)、経済的虐待(3.9%)、性的虐待(3.5%)の順になっています。
虐待の発生要因は、教育・知識・介護技術等に関する問題(56.1%)が最も多く、職員のストレスや感情コントロールの問題(23.0%)、虐待を助長する組織風土や職員間の関係の悪さ、管理体制等(22.5%)の順になっています。
障害者虐待の実態
厚生労働省において実施した令和4年度の障害者虐待への対応状況に関する調査結果(令和5年12月公表)によると、養護者による障害者虐待以外の障害者福祉施設従業者等(障害者支援施設等で業務に従事する人を指します。)による障害者虐待は、相談・通報件数4,104件(対前年度1.28倍)、虐待判断件数956件(対前年度1.37倍)となっています。養護者による虐待事案は前年度と比較して横ばいに近く、障害者虐待についても、近年、施設職員による虐待事案の増加が目立っています。
虐待の種別は、身体的虐待(52%)が最も多く、心理的虐待(46パーセント)、性的虐待(14%)、放棄、放置(10パーセント)、経済的虐待(5パーセント)の順になっています。虐待の発生要因は、教育・知識・介護技術等に関する問題(74%)が最も多く、倫理観や理念の欠如(58%)、職員のストレスや感情コントロールの問題(57%)の順になっています。
福祉施設の職員による虐待事案について、この続きは今後の記事で解説していきます。
最後に
福祉施設の職員による虐待は後で絶ちません。虐待防止の取り組み、あるいは、実際に虐待が疑われる事案が発生した際の対応等については弊社の弁護士にご相談ください。