廃棄物処理法の許可④

【事例】
Aさんは、京都市内で産業廃棄物の収集運搬を行う会社であるⅩ社に長年勤めていました。
Aさんは、家庭の事情をきっかけに、それまで勤めていた会社を退職し、地元である滋賀県高島市で、自ら産業廃棄物の収集運搬を行う会社を立ち上げようと考えました。
AさんはX社に勤めていた経験から、役所で手続きが必要だったり、細かなルールが定められていたりするのは知っていましたが、具体的にどのような手続きをすればいいのかまではわかりませんでした。
そこで、Aさんは、今後必要な手続きなどを相談するために、あいち刑事事件総合法律事務所に相談することにしました。
(事例はフィクションです。)

参考 廃棄物処理法違反の解決事例 弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所

1 はじめに

前回までの記事では、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下では「廃棄物処理法」といいます。)が、事業を細分化し、許可ごとに行える事業を分けたうえで、事業を行う会社にはその事業に対応する許可を取ることをお伝えしました。
そして、そのような分類があることを踏まえて、産業廃棄物収集運搬業許可の条件を見てきました。

今回は、許可を取らなかった場合にどのような事態になるのかについてみていきます。

2 刑事リスクがある

⑴ 無許可での営業
廃棄物処理法では、産業廃棄物収集運搬業の許可をきちんと受けた事業者以外が、産業廃棄物の収集運搬業を行うことがないように、刑事罰を定めています。
許可を受けずに、産業廃棄物の収集運搬業を行った者は、5年以下の拘禁刑若しくは1000万円以下の罰金刑、又はその両方が科されることになります(廃棄物処理法25条1項1号)。

ちなみに、産業廃棄物の処分業、特別管理産業廃棄物の収集運搬業、処分業、一般廃棄物の収集運搬業、処分業のいずれであっても、許可を得ずに営んだ場合は同様の罰則が科されることになります。

しかも、法人の代表者などがこの許可を得ずに産業廃棄物の収集運搬業を営んだ場合、その代表者などだけではなく、法人自体も刑罰を受ける可能性があります。
この場合に法人が受けるのは、3億円以下の罰金です(廃棄物処理法32条1項1号)。

⑵ 不正の手段で許可を得た場合
廃棄物処理法に基づく許可を受けていた場合であっても、その許可が「不正の手段」によって得られた場合も犯罪となります。
定められている刑罰は、無許可での営業と同じで、5年以下の拘禁刑若しくは1000万円以下の罰金刑、又はその両方が科されることになります(廃棄物処理法25条1項2号)。
法人の代表者などが違反した場合に、法人自体も刑罰を受ける可能性があるのも同様で、その内容は3億円以下の罰金です(廃棄物処理法32条1項1号)。

3 措置命令がされる

産業廃棄物処理基準に適合しない収集、運搬であった場合、それによって「生活環境の保全上支障が生じ、又は生ずるおそれがあると認められる」と、「期限を定めて、その支障の除去等の措置を講ずべきこと」を命じられる場合があります(廃棄物処理法19条の5第1項1号)。

また、事業者がこの命令に従わない場合などには、行政機関が代わりに措置を講じ、その後に費用を徴収される場合もあります(廃棄物処理法19条の8)。

なお、この命令に違反した場合には刑事罰が科される可能性もあります(廃棄物処理法26条2号)。

今回は、廃棄物処理法の許可を得なかった場合について解説してきました。
Aさんのように廃棄物処理に関する事業を開始する場合には、実際に行いたい業態を見定めて、きちんと許可を得て事業を開始する必要があります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件に関わってきた経験を活かし、そもそも法律に違反しないための対応・アドバイスにも力を入れています。
許認可申請についてアドバイスがほしい、継続的に弁護士からアドバイスを受けたいなどといったご要望の方も、一度、あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

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