廃棄物処理法の営業許可①

【事例】
Aさんは、京都市内で産業廃棄物の収集運搬を行う会社であるⅩ社に長年勤めていました。
Aさんは、家庭の事情をきっかけに、それまで勤めていた会社を退職し、地元である滋賀県高島市で、自ら産業廃棄物の収集運搬を行う会社を立ち上げようと考えました。
AさんはX社に勤めていた経験から、役所で手続きが必要だったり、細かなルールが定められていたりするのは知っていましたが、具体的にどのような手続きをすればいいのかまではわかりませんでした。
そこで、Aさんは、今後必要な手続きなどを相談するために、あいち刑事事件総合法律事務所に相談することにしました。
(事例はフィクションです。)

1 はじめに

Aさんが起業しようと考えている産業廃棄物の収集運搬という事業は、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃掃法や廃棄物処理法と省略して呼ばれることがあります。以下では「廃棄物処理法」といいます。)で規制されています。
この法律は、「廃棄物の排出を抑制し、及び廃棄物の適正な分別、保管、収集、運搬、再生、処分等の処理をし、並びに生活環境を清潔にすることにより、生活環境の保全及び公衆衛生の向上を図ることを目的」としています(廃棄物処理法1条)。

廃棄物処理法は、このような目的から、事業を細分化し、許可ごとに行える事業を分けたうえで、事業を行う会社にはその事業に対応する許可を取ることを求めています。
結論から言えば、Aさんは、少なくとも滋賀県知事から産業廃棄物収集運搬業許可を得る必要があります(廃棄物処理法14条1項本文)。
このような結論に至る前提として、まずは廃棄物処理法が細分化している事業の種類を見ていきます。

2 廃棄物の種類

⑴ 産業廃棄物と一般廃棄物
まず、廃棄物処理法は、誰が出した廃棄物かによって必要な許可を分けています。
それが産業廃棄物と一般廃棄物という区分です。

産業廃棄物は、主には、事業活動にともなって生じた廃棄物のうち、燃え殻、紙くず、廃プラスチック類、金属くず、がれき類、ガラスくず、コンクリートくず、陶磁器くずなど、廃棄物処理法2条4項1号や廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令で定められている一定のものをいいます。

一方の一般廃棄物は、「産業廃棄物以外の廃棄物」と定められています(廃棄物処理法2条2項)。
一般家庭が排出する廃棄物が中心ですが、それ以外にも事業者が排出する廃棄物でも一定のものが含まれます。
例えば、紙くずは、紙や紙加工品の製造業者、新聞業者、出版業者などといった一定の事業を行っている事業者が排出する場合のみ産業廃棄物となりますので(廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令2条1号)、対象外の事業者が排出する紙くずは一般廃棄物となります。

⑵ 特別管理廃棄物
また、誰が出した廃棄物かという区分とは別に、「爆発性、毒性、感染性その他の人の健康又は生活環境に係る被害を生ずるおそれ」があるなど特に注意が必要な廃棄物は、特別管理廃棄物とされています。
つまり、特別管理産業廃棄物(廃棄物処理法2条5項)と特別管理一般廃棄物(廃棄物処理法2条3項)という区分があります。
特別管理産業廃棄物の例としては、一定の廃石綿(アスベスト)、一定の廃酸や廃アルカリなどです(廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令2条の4)。
特別管理一般廃棄物の例としては、病院などから出た感染性廃棄物などです(廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令1条)。

今回は、廃棄物処理法の許可について解説していきました。この続きは今後の記事で解説していきます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件に関わってきた経験を活かし、そもそも法律に違反しないための対応・アドバイスにも力を入れています。
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