第三者委員会について④

第三者委員会について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

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そもそも第三者委員会とは何か

日本弁護士連合会が公表した「企業不祥事における第三者委員会ガイドライン」(以下「ガイドライン」という。)では、第三者委員会について、「企業や組織(以下、「企業等」という)において、犯罪行為、法令違反、社会的非難を招くような不正・不適切な行為等(以下、「不祥事」という)が発生した場合及び発生が疑われる場合において、企業等から独立した委員のみをもって構成され、徹底した調査を実施した上で、専門家としての知見と経験に基づいて原因を分析し、必要に応じて具体的な再発防止策等を提言するタイプの委員会」と定義しています。

第三者委員会の調査報告書の記載内容は誰が決めるのか

ガイドラインでは、調査報告書の起案権は第三者委員会に専属するとされています(ガイドライン3頁)。
これは、第三者委員会の独立性と中立性を担保するために設けられたものです。
第三者委員会が作成した報告書に対して、企業側からその記載内容についていろいろと意見を述べるなどし、第三者委員会がそれに応じるようでは、ステークホルダーに来する説明責任を果たすという第三者委員会の役割は到底期待できません。企業は、調査を受ける立場に徹すべきです。ただし、明らかな誤記や、勘違いに基づく事実認定を発見した場合は別であり、第三者委員会にその旨申告して、調査報告書の訂正を求めるべきことは当然といえます。これは調査報告書の記載の正確性の問題だからです。

調査報告書の記載内容について

ガイドラインでは、第三者委員会は、調査により判明した事実とその評価を、企業の現在の経営陣に不利となる場合であっても、調査報告書に記載するとされています(ガイドライン3頁)。

調査報告書の取扱いについて(ガイドライン3頁)

第三者委員会は、ステークホルダーに対する説明責任を果たす目的で設置する委員会であることから、調査結果(調査報告書)の提出を受けた企業は、これを遅滞なく、不祥事に関係するステークホルダーに対して開示することが原則であるとされています。
なお、ステークホルダーに対する説明責任を果たすという観点からは、関係者の役職名がわかれば足り、個人名は必ずしも必要ではない場合があります。第三者委員会の調査報告書が公表されることを踏まえると、実名の公表は、その者に対する名誉毀損となる可能性もあります。そのため、このような場合には、調査報告書の一部を非開示とし、あるいは匿名化する等の対応が考えられます。第三者委員会は、必要に応じて、調査報告書(原文)とは別に開示版の調査報告書を作成することができます。非開示部分の決定は、企業の意見を聴取して、第三者委員会が決定します。

第三者委員会について、この続きは今後の記事で解説していきます。

最後に

第三者委員会のメンバーを構成するときに弁護士がその主要なメンバーとなるのが通常です。それは弁護士は、その職務上、事実調査や法的な判断などを日頃から業務として行っているので、調査が正確に行われる蓋然性が高いということにあります。
企業で不祥事が発生し、第三者委員会設置を考えておられる、あるいは、不祥事が起きていなくても、不祥事の事前の回避を真剣に考えておられる企業経営者等の方は、早めに弁護士にご相談ください。

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