第三者委員会について②

第三者委員会について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

そもそも第三者委員会とは何か

日本弁護士連合会が公表した「企業不祥事における第三者委員会ガイドライン」(以下「ガイドライン」という。)では、第三者委員会について、「企業や組織(以下、「企業等」という)において、犯罪行為、法令違反、社会的非難を招くような不正・不適切な行為等(以下、「不祥事」という)が発生した場合及び発生が疑われる場合において、企業等から独立した委員のみをもって構成され、徹底した調査を実施した上で、専門家としての知見と経験に基づいて原因を分析し、必要に応じて具体的な再発防止策等を提言するタイプの委員会」と定義しています。

第三者委員会の委員の構成はどうすべきか

ガイドラインによれば、第三者委員会は、不祥事の経緯、動機、背景、不祥事を生じさせた内部統制、コンプライアンス、ガバナンス上の問題点、企業風土等を調査対象とし、証拠に基づいた客観的な事実認定、認定された事実の評価を行い、不祥事の原因を分析し、再発防止策を提言するものとされています。

第三者委員会にそのような役割が期待されていることに鑑みると、委員には少なくともこのような活動を行うための専門的知見を有する弁護士を入れておくべきです。委員となる弁護士は、当該事案に関連する法令の素養があることに加えて、内部統制・コンプラインアイス・ガバナンス等、企業組織論に精通した者(後記のように対象企業の顧問弁護士を除く。)でなければなりません。

不祥事の内容によって、公認会計士、学者、その他の有識者を委員に含めることもあります。

また、ガイドラインによると、委員の人数は3名以上を原則とするとされています。第三者委員会は複数の専門家が、その専門的知見を背景に互いに議論し結論を導き出していくものであり、委員が1名などということは想定されず、これまで設置された第三者委員会では、3~5名の委員で構成される委員会が多いです。

独立性・中立性が要求される第三者委員会の場合、企業等と利害関係を有する顧問弁護士や企業内関係者を委員とするのは妥当ではなく、弁護士であれば外部の弁護士を委員とすべきです。

調査担当弁護士とは

企業の不祥事は、その事案の性質や調査期間等にもよりますが、第三者委員会の委員自身が直接全ての事実調査を行うことは時間的・物理的に不可能な場合も多いといえます。

そこで、ガイドラインによると、第三者委員会は、調査担当弁護士を選任できるとされ、調査担当弁護士は、第三者委員会に直属して調査活動を行うとされています。調査担当弁護士は、法曹の基本的能力である事情聴取能力、証拠評価能力、事実認定能力等を十分に備えた者でなければなりません。

第三者委員会について、この続きは今後の記事で解説していきます。

最後に

第三者委員会のメンバーを構成するときに弁護士がその主要なメンバーとなるのが通常であるのは、その職務上、事実調査や法的な判断などを日頃から業務として行っているので、調査が正確に行われる蓋然性が高いということにあります。

企業で不祥事が発生し、第三者委員会設置を考えておられる、あるいは、不祥事が起きていなくても、不祥事の事前の回避を真剣に考えておられる企業経営者等の方は、早めに弁護士にご相談ください。

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