契約書の重要性②

【事例】
Aさんは、山口県下関市で飲食業を営む会社であるⅩ社の従業員です。
Ⅹ社では、来年度からインターネットでの通販を利用して自社のレトルト食品を日本全国に販売することを目指しています。
しかし、Ⅹ社は、これまで自社店舗での販売と地元の小売店への販売しかしていませんでした。
そこで、このような事業拡大にともなって生じる課題に対応するために、Ⅹ社では法務部門を新設することになりました。
そして、Aさんが新設される法務部門の責任者となりました。
X社の法務部門では、事業拡大の際に様々な業者と取り交す契約書のチェックも業務となっています。
しかし、Aさんは弁護士資格を有しているわけではありませんし、他の社員も弁護士資格は有していません。
また、X社にはこれまで顧問弁護士もいませんでした。
そこで、Aさんは、今後予想される契約書チェック業務に対応するために、あいち刑事事件総合法律事務所に相談することにしました。
(事例はフィクションです。)

1 はじめに

前回の記事では、そもそも契約とはなにか、契約書にしておくことに重要性についてみてきました。

今回は、契約の基本的な内容についてみていきます。

2 任意規定・強行規定

前回の記事でも解説したとおり、契約というのは、2人以上の当事者が、権利や義務に関する合意を結ぶことをいいます。
それでは、当事者が合意さえできれば、どのような内容であっても契約は成立するのでしょうか。
答えはもちろん違います。

民法には、「法律行為の当事者が法令中の公の秩序に関しない規定と異なる意思を表示したときは、その意思に従う」という規定を置いています(民法第91条)。
この裏返しとして、「法令中の公の秩序に関」する規定と異なる内容は契約に盛り込むことはできません。
このような「法令中の公の秩序に関」する規定のことを強行規定、「法令中の公の秩序に関しない規定」のことを任意規定といいます。

ここで、少し発展的な解説です。
強行規定と似て非なる概念として、取締規定というものがあります。
取締規定というのは、その名のとおり、国民に対してある行為を制限し、又は禁止することを定める規定です。その多くは、違反すると刑罰などの制裁が定められています。
強行規定と取締規定の違いは、仮に契約の規定が取締規定に違反する内容だったとしても、(もちろん刑罰などの制裁は受けることになりますが、)必ずしも無効となるわけではない点にあります。
具体例としては、公安員会の許可を受けていないのに、自身が風俗営業を営むという契約を締結した場合、風俗営業法の罰則を受けるのは当然ですが、契約自体は無効にならないということです。

いずれにしても、法律に違反するような契約は結ぶべきでないというのは当然です。

3 私的自治の原則

ここまでみてきたとおり、強行規定に反さない限り、私人間の取引では、当事者間が合意することによって自由に決めることができます。
これを私的自治の原則といいます。

契約を締結する場合には、この私的自治の原則のもと、いかに自分たちにとって有利な条件で合意できるかどうかというのがポイントになります。

今回は、任意規定や強行規定、私的自治の原則といった契約の基本的な原則、ルールについて解説していきました。この続きは今後の記事で解説していきます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件に関わってきた経験を活かし、そもそも会社内でのトラブルを回避するための対応・アドバイスにも力を入れています。

一般の方の契約トラブルに関しては,政府も広報に力を入れているほど,契約に関するトラブルは深刻な場合があります。

政府広報オンライン https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201803/3.html


契約書の確認をしてほしい、継続的に弁護士からアドバイスを受けたいなどといったご要望の方も、一度、あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

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