コンプライアンス体制の構築⑦

【事例】

Aさんは、佐賀県唐津市で水産加工業を営む会社であるⅩ社の従業員です。
Ⅹ社では、インターネットでの通販を利用して自社の水産加工品を日本全国に販売することを目指しています。
しかし、Ⅹ社は、これまで自社の直売所での販売と地元の小売店への販売しかしていませんでした。
そのため、インターネット通販のサイトを開設する必要もあると考えていますし、購入された水産加工品を安全に消費者に届けなければいけませんし、消費者への輸送手段も確保せねばなりません。
また、事業拡大のために、銀行から融資も受けなければなりません。
このような山積する課題に対応する一環として、Ⅹ社では法務部を新設することになり、Aさんがそこの責任者となりました。
Aさんが法務部の責任者として最初に会社から指示された仕事は、X社のコンプライアンス体制を構築することでした。
しかし、Aさんは弁護士資格を有しているわけではありませんでした。
また、X社にはこれまで顧問として付いてもらっていた弁護士もいません。
そこで、Aさんは、Ⅹ社のコンプライアンス体制を構築するにあたって、あいち刑事事件総合法律事務所に相談することにしました。※解説事例についてはこちらの記事と同様です。

1 はじめに

以前の記事で、不祥事を予防するために必要なことについて解説してきました。

今回は、不祥事の予防策や対策を講じるのにどのような弁護士に力を借りるのがよいかについて考えていきます。

2 弁護士の種類

昨今、弁護士資格を有する方を雇用される企業も増えてきています(いわゆるインハウスローヤー)。
そのような企業であれば外部の弁護士に頼る必要が一切ないかといえば、そうとは限りません。
そのようなインハウスローヤーをはじめとする企業内の法務担当者と外部の弁護士の役割の違いについて見ていきましょう。

3 法務担当者の役割

法務担当者の一番の特徴は、その会社の事情に精通しているという点です。
企業の経営戦略やその会社内の事情、例えば、複数の事業のうちどの事業を重視しているのか、これからどの事業を伸ばしていこうと考えているのか、各事業については誰がどの程度精通しているのかなどといったことは、会社の外部の弁護士が一朝一夕で理解できることではありません。そのため、このような社内の事情に基づいた法律的なアドバイスができるというのが法務担当者の特徴、役割になります。

その一方で、企業が日常的に接する法分野以外の知識や経験は不足している場合がありますし、日常的に接する法分野であっても、裁判になった場合にどうなるのか、最新の判例はどうなっているのかなどといったより深い専門知識については不足している場合もあります。
このような場合には外部の弁護士を頼ることが考えられます。

もっとも、外部の弁護士に頼る場合でも、法務担当者が窓口になることで、弁護士が必要としている情報を的確に伝えたり、アドバイスの内容を十全に理解したり、場合によっては弁護士のアドバイスをチェックしたりするなど、外部の弁護士をより活かす役割が期待できます。

4 外部の弁護士の役割

先ほど述べたことの裏返しで、外部弁護士には法務担当者がカバーしきれない分野や専門性に基づいた役割を求めることが考えられます。

また、法務担当者が会社内の事情に精通しているということは、裏を返せば会社内の風土に影響を受けているということでもあります。
しかし、外部の弁護士はあくまで企業外部の人物ですから、中立的な役割を期待することもできます。

参考:告発文書疑惑の兵庫県、公益通報の窓口を外部に設置へ 外部弁護士が対応、匿名性高める 産経新聞

今回は、不祥事の予防策・対策に関して、どのような弁護士の力を借りるかについて解説していきました。この続きは今後の記事で解説していきます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件に関わってきた経験を活かし、そもそも会社内で不祥事を起こさないための対応・アドバイスにも力を入れています。
コンプライアンス体制の構築などについてアドバイスをご希望の方は、一度、あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

お問い合わせはこちらからどうぞ。

keyboard_arrow_up

0359890893 問い合わせバナー 無料相談・初回接見の流れ