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【事例】
Aさんは、山口県下関市で飲食業を営む会社であるⅩ社の従業員です。
Ⅹ社では、来年度からインターネットでの通販を利用して自社のレトルト食品を日本全国に販売することを目指しています。
しかし、Ⅹ社は、これまで自社店舗での販売と地元の小売店への販売しかしていませんでした。
そこで、このような事業拡大にともなって生じる課題に対応するために、Ⅹ社では法務部門を新設することになりました。
そして、Aさんが新設される法務部門の責任者となりました。
X社の法務部門では、事業拡大の際に様々な業者と取り交す契約書のチェックも業務となっています。
しかし、Aさんは弁護士資格を有しているわけではありませんし、他の社員も弁護士資格は有していません。
また、X社にはこれまで顧問弁護士もいませんでした。
そこで、Aさんは、今後予想される契約書チェック業務に対応するために、あいち刑事事件総合法律事務所に相談することにしました。
(事例はフィクションです。)
1 はじめに
前回の記事では、契約が誰と誰の間で締結されたものなのか(契約の当事者が誰なのか)や署名の重要性についてみてきました。
今回は、契約書の押印について深掘りしていきます。
2 印鑑の種類
実印や認印という言葉を聞いたことがあると思います。
まずはそれらがどのようなものかをみていきましょう。
実印というのは、法務局や市区町村長などに事前に届出をしていて、印鑑証明書の交付を受けられるようにしてある印鑑のことをいいます。
つまり、例えば手彫りの印鑑であったとしても、届出をしていなければ実印ではありません。
その一方で、認印というのは、実印とは違って、事前に届出等をしていない印鑑のことです。
100円ショップや文具店で購入できるような、機械で大量生産している安価な印鑑(いわゆる三文判)だけが認印というわけではありません。
逆に言うと、いわゆる三文判であったとしても、実印として登録すること自体は可能です。
もっとも、いわゆる三文判は複製やなりすましが容易ですから、三文判を実印とすることはリスクが高くなってしまいますので、お勧めはしません。
押印というのは非常に重要なもので,法務省もHP上でQ&Aを公開しています。
3 契約書で押印する場面
⑴ 契約印
契約印とは、契約を締結する際に押す印鑑のことです。
特に会社の場合、契約を締結すると、多くのお金が動いたり、権利義務が生じたりするわけですから、実印(代表取締役印など)を使う方が望ましいでしょう。
もっとも、認印ではいけない、契約が無効になってしまうなどといったことはありません。
⑵ 契印
契印というのは、契約書が2ページ以上にわたる場合に、ページを見開きにして、前のページと後のページとにまたがる部分に印鑑を押すことです。
このようにする理由は、後日ページを差し替えるなどして改ざんされるのを防止するためです。
このような目的で行うものですから、契約当事者双方が押すのが望ましいです。
また、通常は契約印と同じ印鑑を使うことになります。
⑶ 消印
契約書には収入印紙を添付しなければならない場合があります。
その場合には、添付された収入印紙彩紋と契約書の紙にまたがるように押印します(印紙税法8条2項、印紙税法施行令5条)。
この消印は、当事者のどちらかが押せば足りますし、契約印と異なる印鑑を使っても構いません。
今回は、契約書の押印について解説していきました。この続きは今後の記事で解説していきます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件に関わってきた経験を活かし、そもそも会社内でのトラブルを回避するための対応・アドバイスにも力を入れています。
契約書の確認をしてほしい、継続的に弁護士からアドバイスを受けたいなどといったご要望の方も、一度、あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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