棚卸資産の不正操作が目につけられやすいことについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が具体例を交えながら詳しく解説します。
棚卸資産とは、会社等が営業目的で保有する商品などの資産のことですが、粉飾決算等が絡む企業犯罪に関しては、この棚卸資産の不正操作が捜査官からみた目のつけどころの一つとなります。
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売上総利益、いわば粗利は、売上高から売上原価を差し引いた額として求められますが、この売上原価は、期首棚卸高と当期仕入高を足したものから期末棚卸高を差し引くことによって算出されます。
この計算方法からも分かるとおり、期末棚卸高の多寡によって売上原価が大きく変わってきます。
そしてこの売上原価が大きい場合,すなわち期末棚卸高が小さければ、利益は小さく、その逆であれば利益は大きくなり、当期の利益に直接大きな影響を与えることができます。
また、この棚卸資産は、業態にもよりますが、通常、会社等の資産の中でも、比較的額が大きく、資産全体の10~20%程度を占めることが多く、その点からも不正操作による影響が大きいと言われています。そして、棚卸資産の不正操作は、会社内部のみで行うことができ、外部の協力者が不要であることから、不正操作が比較的容易になされてしまうのが現状です。
仕入や売上を操作するには取引先との通謀などの協力が必要になったりしますし、架空取引を計上する場合に、いわゆるB勘屋などから虚偽の内容の領収証の発行を受けるなどの偽装工作をする必要がありますが、棚卸資産の操作にはこうした協力者がいなくても会社内部で処理できるため、取引先等の反面調査による発覚がし難いという特徴があります。
捜査官は、棚卸資産の不正操作に以上のような特徴があることを知悉しているからこそ、粉飾決算等の偽造工作による様々な犯罪事象に関して、棚卸資産に目を付け、前期、前々期と比較した場合の棚卸資産の多寡の異常、資産評価の計算方法についての不合理な変更、実地棚卸状況との会計帳簿との突合などの捜査を行い、実態解明をしていきます。
こうした高度な専門性・技術性を要する企業犯罪の捜査に対応していくためには、これらのことに精通した弁護士に依頼することが必要となります。
あいち刑事事件総合法律事務所には、会計部門にも精通した弁護士が多数在籍しております。このような事態にいたったときは、是非、こちらから弊所にご相談ください。