企業経営と司法取引③

前回までの記事では司法取引の概要やその流れについて解説させていただきました。

今回の記事ではその内容を前提にして、会社の経営者や法務担当者としてどのような点に留意すべきかについて解説させていただきます。

司法取引,刑事免責についての解説はこちら

1 外部に機密情報が漏えいするリスク 

司法取引の導入は、事件情報を提供した者に自身の刑事処罰の軽減というインセンティブを与えることになります。
そのことによって、仮に自社が関与した刑事事件について、捜査対象となった社員が捜査機関に対し、会社よりも先に情報を提供する場合が多くなることを想定する必要があります。
当然事実の隠蔽はしてはいけませんが、捜査機関より先に会社内で事情を把握することは問題が大きくなることを防ぐために重要です。
そこで、今後はより一層自社内で不正や、違法行為を早期に探知することが重要になります。そのためには自社内の情報の提供体制や、不正がないかを確認する監査体制を強化することが求められているといえます。

2 当時者との利益相反のおそれ

会社内での不正が問題となる場合、会社の社員と経営者、会社自体との間では利益相反可能性が生じるおそれがあります。
利益相反というのは、当事者の一方が有利に働く場合に、もう一方が不利になる関係をいいます。
司法取引制度が導入されている現状においては、下記のような利益相反の事態が発生しる場合があります。

【事例】
X社の社長Aは部下であるBに指示して虚偽のに用を含む申請者を作成させY県から補助金を騙し取った。
(事例はフィクションです)

この場合において、Bさんが捜査機関からX社の不正を暴くために司法取引を持ち掛けられた場合に、Bさんは司法取引に応じることで自身の刑罰が軽くなるという利益を得られるのに対して、AさんやX社はBさんの証言により詐欺罪に関与されたことが裏付けられるので不利になります。
このようなBさんと、Aさん、X社との関係のことを利益相反関係といいます。

司法取引が導入されたことにより、以上のような自社の社員と上司、社員と経営者や会社自体との間で利益相反状態になることが想定されます。
利益相反状態になった場合には、双方の弁護人を1人の弁護士が担当することはできませんので、信頼できる外部の弁護士に相談できる体制を整えておくことは重要になります。

3 司法取引制度が導入されたことを前提にした平時の対応について

平時の対応としては、まず司法取引制度について企業の経営者や法務担当者が正しく理解をして、どのような事態が問題なるかについて共有しておくことが必要です。
その上で1、2で述べたようにこれまで以上にしっかりとした不正防止の監査体制や内部通報システムの構築や、不祥事対応に精通した弁護士との連携が求められます。
弊所ではこれまで刑事事件を中心に扱ってきましたので司法取引や、それに伴う刑事事件対応には精通しています。
また弁護士をはじめとする専門スタッフが平時の相談やセミナー、監査体制の構築や不祥事対応についてお手伝いさせていただく、顧問契約も準備しております。
初回の相談は無料ですので、司法取引制度に関してご不安やご相談があるかたはまずはお気軽にお問い合わせ下さい。 

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