産業廃棄物処理業(廃棄物処理・リサイクル業界)は、法律によって厳しく規制された業界です。
不法投棄や無許可営業などの法令違反は環境犯罪となり、重大な刑事責任が問われます。
万一、社内で違法な廃棄物処理が行われていた場合、経営陣や従業員にも刑事処分が科される可能性があります。
実際に廃棄物処理法違反は積極的に刑事告発されていると言われており、事態が発覚すれば企業の存続にも関わる深刻な問題となります。
こうしたリスクに備え、法令遵守の体制を整え、違反発覚時は速やかに弁護士へ相談することが不可欠です。
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事例

典型的な廃棄物処理法違反としては、不法投棄、無許可での廃棄物処理業営業(無許可営業)、不適正処理などが挙げられます。
例えば産廃処理業者が許可なく廃棄物を収集・運搬・処分をすれば5年以下の拘禁もしくは1,000万円以下の罰金、またはその両方(法人は3億円以下の罰金)に処せられます。
実際に、不法投棄事件では企業に5,000万円の罰金刑、関与した取締役に実刑判決が下された例もあります。
また産廃業者が自社で処理せず無許可の第三者に廃棄物を再委託し、マニフェストに虚偽記載をした事例も発覚しています。
これらの違法行為は近隣住民からの通報や行政の立入検査で明るみになるケースも多く、隠匿は困難です。
違反発覚時の初動対応と弁護士の役割
万が一、自社や社員の違法行為が発覚した場合、まず速やかに違法行為を中止し、事実関係を把握する必要があります。
同時に、警察・環境省・自治体など行政や捜査機関からの調査には適切に対応することが重要です。
行政は不法投棄等を発見すると関連企業に立入検査を行い、書類を徹底精査して他の違反も見つけようとします。
こうした調査段階では、刑事事件に精通した弁護士の助言が重要です。
早期に弁護士を付ければ、取調べ対応の適切なアドバイスを受けられ、虚偽の供述や不利益な対応を避けることに繋がります。
捜査機関への説明方法や対応方針についても弁護士と相談し、企業として誠実に協力しつつ自社の権利を守る初動対応が求められます。
法令遵守のチェック体制とその運用
日常的に法令遵守(コンプライアンス)を徹底する社内体制を構築しておくことが、リスクを未然に防ぐ鍵です。
具体的には、産廃処理業の許可証の範囲内で事業を行っているか、事業範囲の変更時には速やかに許可申請しているかを定期的に確認します。
廃棄物の収集運搬や処分を外部に委託する際は、必ず許可を持つ業者に委託し、書面による契約書と産廃マニフェストを正しく交付・保存しているかチェックする体制を整えます。
専門コンサルタントによる監査では1拠点から100件近い改善事項が見つかることもあり、企業自らは問題に気付いていないケースも少なくありません。
定期的な内部監査や点検を行い、許可手続きや契約書の整備状況、マニフェスト管理など法定事項を漏れなく確認する運用が重要です。
社員教育と内部告発への備え
従業員教育(コンプライアンス研修)の徹底は、環境犯罪リスクを防ぐ基本です。
企業自体に違反の意図がなくても、従業員の誤った判断や知識不足により違法行為が起きる可能性があります。
例えば、法律知識が不十分な社員が無許可の業者に廃棄物処理を依頼してしまったり、本来必要な契約書を作成せず口頭で進めてしまったりすると、結果的に法違反となり得ます。
社員個人が独断で違法行為を行った場合でも、両罰規定により会社も責任を問われ罰金刑を受ける可能性があります。
こうした事態を防ぐため、新入社員研修や定期研修で廃棄物処理法のルール・リスクを周知徹底し、現場でのヒヤリハット事例も共有します。
また、社内には内部通報制度(内部告発窓口)を整備し、不正の兆候を社員が安心して報告できる体制を作ります。
内部通報制度を導入すれば、企業自らが内部の不正を早期発見・対処する自浄作用が働き、コンプライアンス経営の実現につながります。
仮に社員から不正の告発があった場合は、隠蔽せず迅速に事実調査を行い、必要に応じて行政機関へ報告するとともに、再発防止策を講じることが大切です。
弁護士に相談するメリットと実務支援の内容
環境犯罪リスクに直面した際、弁護士に相談することには多くのメリットがあります。
まず刑事事件に強い弁護士であれば、捜査段階から適切な対応策をアドバイスができます。
廃棄物処理法違反で起訴・処罰を避けたい場合、検察官や裁判官に対し違反を深く反省し、更生に努める姿勢を示すことが重要ですが、弁護士はその伝え方を指導したり、代弁したりすることが考えられます。
また、違反再発を防ぐための社内環境整備(再発防止策)についても弁護士と一緒に検討できます。
さらに、企業の平時の取り組みとして、弁護士は社内コンプライアンス体制の強化支援も行うことができます。
例えば、社内規程の整備や契約書のリーガルチェック、適法な産廃処理委託契約書の作成支援なども可能です。
社員向けのコンプライアンス研修の講師を弁護士に依頼し、法律の専門家から直接指導を受けることで社員の法令理解を深めることも効果的です。
このように弁護士を活用することで、違法行為の未然防止から発覚後の危機対応まで包括的なサポートを得ることができます。
事務所紹介
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、環境犯罪を含む刑事事件を中心に扱う法律事務所です。
当事務所には刑事弁護に特化した経験豊富な弁護士が多数在籍しており、廃棄物処理法違反などの案件でも集中的かつ的確な対応が可能です。
初回の法律相談は無料で、平日夜間や土日祝日でもご予約・ご相談を受け付けています。
ご依頼があれば、弁護士が迅速に初動対応にあたり、逮捕前後を問わず捜査機関対応や釈放・不起訴に向けた活動をサポートいたします。
企業からのご相談の場合には、違反発覚時の捜査対応はもちろん、社内のコンプライアンス体制整備や再発防止策の策定、従業員研修の実施、契約書のチェック・作成など幅広い法務サービスをご提供いたします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は全国対応可能で、企業の皆様の安心と法令遵守経営を全力で支援いたします。
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