民泊サービスを始めるための注意点②

民泊サービスを始める場合の法律上の注意点に関し弁護士が解説します②

【事例】

Aさんは京都市内で不動産業を営んでいるX社の代表取締役を務めていました。
Aさんは近年京都市内を訪れる観光客が増えていることに目を付けて、自社が保有する空き物件を活用し民泊事業を開始しようと考えました。
しかし、Aさんは民泊業を行うためにどのような設備や手続が必要か分かりませんでしたので民泊サービスの許認可関係に強い弁護士に法律相談をしました。
(事例はフィクションです)

前回の記事では民泊業を行う場合に旅館業法上の営業形態について解説しました。
今回の記事では旅館業法上の許可が必要になる場合はどのような場合であるかについて解説をさせていただきます。

1 旅館業法の許可が必要な場合について

旅館業法では旅館業を営業する場合には、旅館業法に基づく営業許可を受けなければならないと定められています。では旅館業を営業するとはどのようなものを指すのでしょうか。
旅館業法では旅館業について「宿泊料を受けて人を宿泊させる営業」と定義されています。
この定義は①宿泊料を受けて②宿泊させる③営業の3つの要素に分ける事ができます。
3つの要素について順に解説させていただきます。

①「宿泊料」について
宿泊料を受けているかについて料金の名目は問わず、寝具や部屋の使用料とみなされるかを実質的に判断されます。
例えば古民家などで「日本文化の体験費用」という名目で費用を払ってもらっていたとしても、実質的にはその古民家に泊まらせており寝食の代金として徴収していることが明らかな場合には宿泊料を受けているとみなされます。

②「宿泊」について
宿泊とは寝具を使用して施設を利用することとされています。
つまりベッドや布団などを用いて泊まらせる場合には、宿泊させる場合に該当するといえます。

③「営業」について
営業とは、「不特定多数の人」を対象に「反復継続」して事業として行なうこととされています。
例えば、ネットで繰り返し不特定多数を集客して有料で部屋を貸すような場合は営業にあたります。
民泊によくあるような海外のサイトと連携して集客をする場合もこれに該当します。
反対に友達に対して何日か部屋を貸すような場合には、仮にお金を貰っていたとしても特定の者を対象としており、反復することも予定されていないので「営業」には該当せず特段の許可は不要です。

Aさんは、自社の物件を使用して利用者に宿泊料を払ってもらって継続的に民泊を営むことを計画していると思われますので、原則として旅館業法上の許可が必要になると思われます。

2 許可をせずに営業をした場合にはどうなるのか

では旅館業法の許可が必要なAさんのケースのような場合に許可をせずに営業を行った場合にはどうなるのでしょうか。
旅館業法10条には次のような定めがあります。

旅館業法第10条 次の各号のいずれかに該当する者は、六月以下の拘禁刑若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一 第三条第一項の規定に違反して同項の規定による許可を受けないで旅館業を営んだ者

条文の通り無許可営業には「6月以下の拘禁刑若しくは100万円以下の罰金」という刑事罰が定められています。
実際に無許可で旅館業を営んだことで逮捕され報道されてしまったケースもあります。

社名や会社代表の実名が報道されてしまえば、社会からの信頼を失い経営基盤が大きく揺らいでしまいます。
無許可営業を知らずに行ってしまうことがないように、これから行おうとする民泊サービスには許可が必要かどうかについて、許認可関係に詳しい弁護士に是非一度ご相談ください。

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