建設仮勘定を利用した不正事案について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が具体例を交えながら詳しく解説します。
建設仮勘定とは、自社で使用する工場などの建物等の建設のために支払った工事費、材料費、労務費などの支出を、その建物等が完成して資産計上されるまでの間、仮に資産として計上するための勘定科目です。
参考:弥生会計 建設仮勘定とは
この建設仮勘定は、あくまで自社で使用する建物等の建設のための支出に計上される勘定科目ですが、これを悪用すると、費用としてではなく、流動資産として計上できる上、建物等の建設であることから金額が高額となるため、建設仮勘定を不正会計の手段として使用することがよくあります。
例えば、ある不動産会社では、実績をあげるために無理に値引きをした受注や手直し工事等による原価率の悪化を隠ぺいするために、それらの物件を建設仮勘定に振り返るなどの不正経理がなされていたり、ある製造会社では、既に完成して使用されていた倉庫について建設仮勘定から本勘定に振替がなされないまま減価償却がされずにいた、あるいは、土地の購入のための手付金として支出していた金額を仮勘定として計上していたものの、土地購入の相手方は実在せずに書類が偽造されていたものなどの様々な事案があります。
こうしたことから、捜査官としては、建設仮勘定の特性を踏まえ、この勘定科目による不自然な振替などの帳簿操作に目を光らせます。
捜査官は、帳簿捜査により、建設仮勘定の計上に気付くと、まずはその計上についての内訳をよく検討し、自社のものではなく顧客から受注を受けるなどしたものが混入して計上されていないか、自社のものであるとして既に完成して引き渡しを受けているのにこれを本勘定に振り替えず、減価償却費の計上を先送りして資産を過大に計上していないか、そもそも建設仮勘定に計上することが相当でない支出はないか、建物等の建設の工事は実際に存在しているのか、建設仮勘定に係る契約書類等は偽造されたものではないかなどの様々な観点から検討し、証拠を収集保全してきます。
こうした不正経理に関する事案に対応するためには、企業法務のみならず会計等についても高度な専門性・技術性を要し、これらのことに精通した弁護士に依頼することが必要となります。
あいち刑事事件総合法律事務所には、これらのことに精通した弁護士が多数在籍しております。このような事態にいたったときは、是非、弊所にご相談ください。