外国人の不法就労について

外国人が適正に就労できるよう、外国人の雇用についても厳格な規制が設けられています。就労資格のない外国人を日本の企業が雇用した場合、その外国人だけでなく雇用した個人や企業も処罰を受けます。ここでは、外国人を不法就労した場合の処罰について解説します。

外国人の不法就労活動

本邦に在留する外国人は、その在留資格により認められた活動や許可の範囲を越えて活動することはできません(出入国管理及び難民認定法(入管法)第19条第1項)。

別表第一の一、第一の二、第一の五
外交、公用、教授、芸術、宗教、報道、高度専門職、経営・管理、法律・会計業務、医療、研究、教育、技術・人文知識・国際業務、企業内転勤、興行、技能、特定技能、技能実習、特定活動(ワーキングホリデー等)
その在留資格に定められた範囲でのみ就労が可能(入管法第19条第1項第1号)。

別表第一の三、第一の四
文化活動、短期滞在、留学、研修、家族滞在
資格外活動の許可を受けることが必要(入管法第19条第1項第2号・第2項)。

その在留資格により活動できない活動をして報酬やその他の収入を得た場合、不法就労となります。
資格外の活動のほか、旅券や上陸許可なく本邦に上陸した者や在留資格を失った者、在留期間を経過した者等、在留資格が無い者が活動をして報酬やその他の収入を得た場合も不法就労となります。(出入国管理及び難民認定法(入管法)第24条第3の4号イ)。

不法就労助長罪

このような外国人に不法就労活動をさせた場合、不法就労助長罪となります。
入管法では、次のいずれかに該当する者について、3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する、と定めています(入管法第73条の2第1項)。
① 事業活動に関し、外国人に不法就労活動をさせた者
② 外国人に不法就労活動をさせるためにこれを自己の支配下に置いた者
③ 業として、外国人に不法就労活動をさせる行為又は前号の行為に関しあつせんした者

この行為をした者は、次のいずれかに該当することを知らないことを理由として処罰を免れることはできません。ただし、知らなかったことについて過失がなかったときは、処罰されません(入管法第73条の2第2項)。

① 当該外国人の活動が当該外国人の在留資格に応じた活動に属しない収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動であること。
② 当該外国人が当該外国人の活動を行うに当たり許可(入管法第19条第2項)を受けていないこと。
③ 当該外国人が在留資格のない者(入管法第70条第1項第1号、第2号、第3号から第3号の3まで、第5号、第7号から第7号の3まで又は第8号の2から第8号の4)であること

法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関してこの罪を犯したときは、行為者だけでなく、その法人又は人に対しても、300万円以下の罰金刑が科されます(入管法第76条の2)。

事業主は、外国人の氏名や在留資格、在留期間などの事項を、在留カードや旅券・在留資格証明書などにより確認しなければなりません(労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律施行規則第11条第1項)。こうしたことを怠っていると、知らなかったことについて過失がなかったとすることは困難になります。

まとめ

このように、不法就労者を雇うようなことをしてしまうと、採用担当者だけでなく企業自身も重い刑罰を科されることになります。不法就労をさせないことはもちろん、雇用の際に、外国人の在留資格などについてもしっかりと確認する必要があります。
外国人の雇用についてお悩みの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所へご相談ください。

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