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【事件解説】封印破棄事件について詳しく解説

2024-04-02

封印破棄について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が具体例を交えながら詳しく解説します。

事件の概要

(以下の事例はフィクションです)
甲は、ある印刷会社のA社の代表取締役であり、同社が複数の印刷機械類についてそれぞれ担保を付して、融資を受けて購入していましたが、経営不振から、同融資について返済不能の状態に陥り、債務者に使用を許す執行官保管としての占有移転禁止の仮処分が執行されていました。
しかし,甲は,同仮処分の執行直前に,仮処分の対象となる印刷機械類の一部を売却処分していたり、執行官の貼付した封印を毀損したりしていました。そうした行動が債権者に知れるところとなり、甲は、債権者から、刑事告発も辞さないとの通知を受けました。
さて、甲にはどんな刑事責任が生ずるでしょうか

まず、担保が付されいる動産を勝手に転売した場合ですが、これは担保の性質によって変わってきます。債権者が当該動産について所有権を留保しているような場合に、その動産を占有して使用している債務者が勝手に転売したとなると、横領罪(刑法第252条)が成立する可能性があります。要するに,他人から預かっていただけの物を勝手に処分してしまったということになるからです。
所有権も債務者に移すタイプの譲渡担保の場合であれば、背任罪(刑法第247条)が成立する可能性もあります。
その他に考えられるところとしては、封印等破棄罪(刑法第96条)でしょうか・・・。

それでは,A社の事例のように「占有移転禁止」という仮処分を受けた状態の場合はどのようになるのでしょうか。

封印等破棄罪とは・・・

過去,有名芸能人が強制執行妨害目的財産損壊罪などで懲役刑の判決を受けたという事件もありました。強制執行という場面は,私人間での対立が非常に強まる場面の一つであるといえます。

封印等破棄罪も,強制執行妨害罪そのものではありませんが,これに類する犯罪の一種です。封印等破棄罪とは、公務員が施した封印若しくは差押えの表示を損壊し、又はその他の方法によりその封印若しくは差押えの表示に係る命令若しくは処分を無効にすることです。

ここでいう公務員とは、国又は地方公共団体の職員等であり、本事案における裁判所の執行官も、当然に本罪の公務員に該当します。

また、封印若しくは差押えの表示とは、民事執行法上の動産の仮差押えや仮処分も含まれます。
本事案のような動産についての占有移転禁止の仮処分の場合、執行官保管による場合と債務者保管による場合などがありますが、執行官保管では保管場所までの運搬や保管料などの費用がかさむこともあることなどから、実務的には、債務者使用を許す占有移転禁止の仮処分になることがよくあります。
その場合、誰の目から見てもわかるように、裁判所の執行官によって、印刷機器類に公示書なるものが貼付されて、その占有を第三者に移転することが禁止されるのです。付箋のようなものを貼って「勝手に持ち主を変更してはいけませんよ」と表示しておくのです。
この公示書に、これを損壊などすると刑事罰に処されることがあるとの記載もありますし、わざわざ裁判所から執行官が出向いて、法令に基づき、そのような処分をするわけですから、常識的に考えても何らかの罪にはなりそうというのはお分かりかと思います。

しかし、債務者としては、「こんなことまでされて・・・!」と怒りに任せて、エイや!と破ってしまうこともあるかもしれません。どうせ、駐車違反で貼り紙されるのと大して変わらないだろうし、罰金くらいはらってやるよと軽い気持ちだったのかもしれません。

封印等は基材に対する刑罰

実は封印等破棄罪は、犯罪としては重いものになっています。

封印等破棄罪の法定刑は、3年以下の懲役若しくは250万円以下の罰金又はその併科です。
平成23年の改正以前は、2年以下の懲役又は20万円以下の罰金でしたが、同改正・施行以降、法定刑、中でも罰金刑が大幅に引き上げられただけでなく、懲役と罰金を併科できるようになりました。

これは、公務員による封印・差押えの表示によって達成されるべき公務の効力を、より一層保護していかなければならないという社会的な要請の現れということができるでしょう。

封印等破棄罪だけでなく、民事事件の権利を公権力によって強制的に実現していく過程を妨害していくことについては、とても重い刑事責任が課せられる可能性があります。
思い余ってやった、感情的になってやったでは済まされず、本事案のように会社のトップや役員がこうした行為に及んだ場合、最悪のケースでは、逮捕・勾留といった身柄拘束を受け、会社の運営そのものに致命的なダメージを及ぼすおそれさえあります。
こうした事態にいたった場合には、少しでも早く弁護士に相談し、事態の収拾を図るようにすべきでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,刑事事件を専門に扱うバックグラウンドを持った法律事務所です。封印等破棄事件でご家族や会社の方が警察に逮捕されてしまった方,ご不安なことがある方やご心配なことがある方は,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご連絡ください。

逮捕され身柄が拘束されている場合には,最短当日に弁護士を警察署まで派遣する「初回接見サービス」(有料)をご提供しています。24時間365日受付中の弊所フリーダイヤル(0120-631-881)までご相談ください。HPからの方は,こちらからお問い合わせください

不祥事を起こした社員の退社を求めることができるのか②

2024-03-29

【事例】
Aさんは、福岡市早良区で、輸送用機械の部品を製造している会社、X社を営んでいます。
X社は、常時20人の従業員を雇っています。
Bさんは、このX社の従業員で、営業の仕事をしています。
ある土曜日の夜、Bさんは、休みだったので友人と福岡市内の繁華街にお酒を飲みに行っていました。
休みではあったのですが、ちょうどよいからと、BさんはX社のロゴの入ったジャンバーを羽織って出かけていました。
そして、Bさんはお酒を飲み過ぎてしまい、隣でお酒を飲んでいた男性客Cさんと口論になってしまいます。
怒りを抑えられなかったBさんは、Cさんの顔面を殴り、地面に倒れたCさんに馬乗りになって何度も殴り続けました。
その様子を見た店員が警察に通報し、駆けつけた警察官はBさんを現行犯逮捕しました。
この際、たまたまお店に居合わせた別の客であるDさんは、BさんがCさんに馬乗りになって殴り続けている様子を、Bさんの背中側から動画撮影し、SNS上にアップロードしてしまいました。
もちろん、この動画には、Bさんが着ていたジャンバーにあしらわれたX社のロゴが映っています。

翌朝、Bさんの名前やX社の名前こそ伏せられていたものの、Bさんが事件を起こしたというニュースが新聞で報道されてしました。
Bさんが出勤しておらず、報道で流れた情報がBさんと一致していたことから、この事件の犯人がBさんと察しがついたAさんは、Bさんの家族を問い詰め、Bさんが傷害事件で逮捕されているという事情を把握しました。
また、X社の取引先であるY社からは、DさんがアップロードしたSNSを見たとして会社に連絡が来てしまいました。

会社への影響を考えたAさんは、Bさんを解雇したいと考え、解雇しても問題がないのか、もしも問題があるのなら、今後の似たような事態に対応するにはどうしておけばいいのかを、あいち刑事事件総合法律事務所に相談することにしました。
(事例はフィクションです)

はじめに

以前の記事で、解雇権の濫用や解雇予告といった会社が従業員を解雇するためのルールについて解説をしてきました。

今回は、そのルールの1つである就業規則への記載に関連して、そもそも就業規則とは何なのか、どのような手続きで定めるのかといった点について解説していきます。

就業規則とは

就業規則とは、労働者(従業員)の労働条件や待遇の基準などをはっきりと定めて、会社と従業員との間でトラブルが生じないように定める規則です。

会社(使用者)は、「常時十人以上の労働者を使用する」のであれば、法律で定められた事項を盛り込んだ就業規則を作成しなければなりません(労働基準法89条柱書前段)。
そして、作成した就業規則は、所轄の労働基準監督署長に提出しなければならず、法律で定められた事項を変更した場合も提出しなければなりません(労働基準法89条柱書前段、後段)。

就業規則の作成手続き

就業規則は、会社と従業員との間のトラブルを防止するためのものですから、会社側が一方的に定めることはできません。

会社(使用者)が、就業規則を作成したり、変更したりした場合、「労働者の過半数で組織する労働組合がある場合」には労働組合に対して、そのような労働組合がない場合には「労働者の過半数を代表する者」に対して、「意見を聴かなければならない」とされています(労働基準法90条1項)。
なお、後者の「労働者の過半数を代表する者」は、①労働時間等に関する規定が適用外となる「監督若しくは管理の地位にある者」(労働基準法41条2号)ではなく、かつ、②「法に規定する協定等をする者を選出することを明らかにして実施される投票、挙手等の方法による手続により選出された者であつて、使用者の意向に基づき選出されたものでないこと」が条件となります(労働基準法施行規則6条の2第1項)。

また、このように定められた就業規則は、従業員に周知されなければなりません(労働基準法106条1項)。

このように、従業員が不祥事を行い、会社としてその従業員を解雇したいと思っても、解雇できるのかが就業規則の記載によって変わってくることがあります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件に関わってきた経験を活かし、会社内で不祥事が起こった場合の対応・アドバイスにも力を入れています。
今回のケースで従業員を解雇できるのか、現在の就業規則の規定で十分なのかなどについてアドバイスをご希望の方は、一度、あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

【提携団体紹介】技術・情報保護に強い日本カウンターインテリジェンス協会

2024-02-17

弊所は一般社団法人日本カウンターインテリジェンス協会との業務上の提携を行っています。

日本カウンターインテリジェンス協会は、企業に対する諜報活動やサイバー攻撃、不正行為等に関する企業の危機意識を醸成し、”公正な社会・安心な社会”を実現するための活動をおこなっています。民間不正調査で多くの不正調査に携わり、企業や”人”の健全性に関するリスクデューデリジェンスや経済安全保障観点でのリスクコンサルティングを行ってきた元捜査官や国際政治学者などの各分野の専門家を擁し、企業実務に即した不正調査やリスクマネジメントに強みがあります

刑事事件の豊富な経験がバックグラウンドにある弊所と,企業の社内調査活動やサイバー攻撃対策に強い日本カウンターインテリジェンス協会が協力し,お互いの経験や知識を活用することで,相乗的により高度な企業犯罪対策,不祥事対応を提供できるものと確信しております。

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企業犯罪,不祥事対応,リスクマネジメント体制の構築についてご相談ごとのある方,事業主の方はお気兼ねなくお問い合わせください。

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