【事件解説】封印破棄事件について詳しく解説

封印破棄について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が具体例を交えながら詳しく解説します。

事件の概要

(以下の事例はフィクションです)
甲は、ある印刷会社のA社の代表取締役であり、同社が複数の印刷機械類についてそれぞれ担保を付して、融資を受けて購入していましたが、経営不振から、同融資について返済不能の状態に陥り、債務者に使用を許す執行官保管としての占有移転禁止の仮処分が執行されていました。
しかし,甲は,同仮処分の執行直前に,仮処分の対象となる印刷機械類の一部を売却処分していたり、執行官の貼付した封印を毀損したりしていました。そうした行動が債権者に知れるところとなり、甲は、債権者から、刑事告発も辞さないとの通知を受けました。
さて、甲にはどんな刑事責任が生ずるでしょうか

まず、担保が付されいる動産を勝手に転売した場合ですが、これは担保の性質によって変わってきます。債権者が当該動産について所有権を留保しているような場合に、その動産を占有して使用している債務者が勝手に転売したとなると、横領罪(刑法第252条)が成立する可能性があります。要するに,他人から預かっていただけの物を勝手に処分してしまったということになるからです。
所有権も債務者に移すタイプの譲渡担保の場合であれば、背任罪(刑法第247条)が成立する可能性もあります。
その他に考えられるところとしては、封印等破棄罪(刑法第96条)でしょうか・・・。

それでは,A社の事例のように「占有移転禁止」という仮処分を受けた状態の場合はどのようになるのでしょうか。

封印等破棄罪とは・・・

過去,有名芸能人が強制執行妨害目的財産損壊罪などで懲役刑の判決を受けたという事件もありました。強制執行という場面は,私人間での対立が非常に強まる場面の一つであるといえます。

封印等破棄罪も,強制執行妨害罪そのものではありませんが,これに類する犯罪の一種です。封印等破棄罪とは、公務員が施した封印若しくは差押えの表示を損壊し、又はその他の方法によりその封印若しくは差押えの表示に係る命令若しくは処分を無効にすることです。

ここでいう公務員とは、国又は地方公共団体の職員等であり、本事案における裁判所の執行官も、当然に本罪の公務員に該当します。

また、封印若しくは差押えの表示とは、民事執行法上の動産の仮差押えや仮処分も含まれます。
本事案のような動産についての占有移転禁止の仮処分の場合、執行官保管による場合と債務者保管による場合などがありますが、執行官保管では保管場所までの運搬や保管料などの費用がかさむこともあることなどから、実務的には、債務者使用を許す占有移転禁止の仮処分になることがよくあります。
その場合、誰の目から見てもわかるように、裁判所の執行官によって、印刷機器類に公示書なるものが貼付されて、その占有を第三者に移転することが禁止されるのです。付箋のようなものを貼って「勝手に持ち主を変更してはいけませんよ」と表示しておくのです。
この公示書に、これを損壊などすると刑事罰に処されることがあるとの記載もありますし、わざわざ裁判所から執行官が出向いて、法令に基づき、そのような処分をするわけですから、常識的に考えても何らかの罪にはなりそうというのはお分かりかと思います。

しかし、債務者としては、「こんなことまでされて・・・!」と怒りに任せて、エイや!と破ってしまうこともあるかもしれません。どうせ、駐車違反で貼り紙されるのと大して変わらないだろうし、罰金くらいはらってやるよと軽い気持ちだったのかもしれません。

封印等は基材に対する刑罰

実は封印等破棄罪は、犯罪としては重いものになっています。

封印等破棄罪の法定刑は、3年以下の懲役若しくは250万円以下の罰金又はその併科です。
平成23年の改正以前は、2年以下の懲役又は20万円以下の罰金でしたが、同改正・施行以降、法定刑、中でも罰金刑が大幅に引き上げられただけでなく、懲役と罰金を併科できるようになりました。

これは、公務員による封印・差押えの表示によって達成されるべき公務の効力を、より一層保護していかなければならないという社会的な要請の現れということができるでしょう。

封印等破棄罪だけでなく、民事事件の権利を公権力によって強制的に実現していく過程を妨害していくことについては、とても重い刑事責任が課せられる可能性があります。
思い余ってやった、感情的になってやったでは済まされず、本事案のように会社のトップや役員がこうした行為に及んだ場合、最悪のケースでは、逮捕・勾留といった身柄拘束を受け、会社の運営そのものに致命的なダメージを及ぼすおそれさえあります。
こうした事態にいたった場合には、少しでも早く弁護士に相談し、事態の収拾を図るようにすべきでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,刑事事件を専門に扱うバックグラウンドを持った法律事務所です。封印等破棄事件でご家族や会社の方が警察に逮捕されてしまった方,ご不安なことがある方やご心配なことがある方は,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご連絡ください。

逮捕され身柄が拘束されている場合には,最短当日に弁護士を警察署まで派遣する「初回接見サービス」(有料)をご提供しています。24時間365日受付中の弊所フリーダイヤル(0120-631-881)までご相談ください。HPからの方は,こちらからお問い合わせください

keyboard_arrow_up

0359890893 問い合わせバナー 無料相談・初回接見の流れ