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企業が守るべき特定商取引法についての解説①

2024-11-19

今回の記事からは数回に分けて特定商取引法に関しての解説をさせていただきます。
特定商取引法については、これに違反したとして逮捕される例が少なくありません。
また逮捕された場合には、消費者保護の観点から被疑者名や会社名が実名で報道されるケースが一般的に多いです。
ですので経営する会社が特定商取引法違反で報道されることになってしまえば、大きく企業イメージを損なってしまいます
例えば、次に挙げる記事のような事例です。

美容商品の販売契約に関してクーリングオフを説明しなかったとして、大阪府警は19日、名古屋市にある美容関連商品卸売業Xの実質経営者Aさんら男性5人を特定商取引法違反(不実の告知など)容疑で逮捕した。
府警は認否を明らかにしていない。
逮捕容疑は2023年1~3月、同社から仕入れた化粧品を販売できる内容の契約を男女3人と締結。契約解除ができるクーリングオフ制度は適用されないと虚偽の説明をしたり、制度の記載がない契約書を渡したりしたとしている。
契約者は市場価格より安価で商品を同社から入手し、第三者に売って利ざやを得られるとする仕組みだった。(以下略)
(毎日新聞令和6年6月19日付「化粧品転売契約、クーリングオフ説明せず。特商法違反疑い、5人を逮捕」から一部引用,当該報道記事は既に削除済み)

本記事では特定商取引法がどのような法律であるか、またどのような取り引きに関して適用があるのかについて解説させていただきます。
この記事を読んでいただくことで、自社が行っている取引や、行おうとしている取引に特定商取引法の規制対象になるかが分かるかと思います。

1 特定商取引法について

特定商取引法は、正式名称を特定商取引に関する法律といいますが、本記事では「特定商取引法」と省略して記載しています。
特定商取引法は、事業者による違法・悪質な勧誘行為等を防止し、消費者の利益を守ることを目的とする法律です。
具体的には、訪問販売や通信販売等の消費者トラブルを生じやすい取引類型を対象に、事業者が守るべきルールと、クーリング・オフ等の消費者を守るルール等を定めています(消費者庁のHPより引用。https://www.no-trouble.caa.go.jp/what/)
特定商取引法は元々「訪問販売等に関する法律」という名称の法律として施行されており、訪問販売に関する規制を内容としていました。
それが契約類型の多様化に伴って、改正が繰り返されて現行の特定商取引法となっているのです。

2 特定商取引法が規制対象としている取引について

次に特定商取引法が規制対象としている取引に関して解説します。
特定商取引法では7つの契約類型について規制対象としています。
①訪問販売、②訪問購入、③通信販売、④電話勧誘販売、⑤連鎖取引販売、⑥特定継続的役務提供、⑦業務提供誘引取引の7つになります。
それぞれの取引例については、先述の消費者庁のページ(https://www.no-trouble.caa.go.jp/)も参考にしてください。

近年しばしば問題になる取引としては、記事にあったような、ある会社の商品を有償で提供するのでそれを販売して利益を得てくださいというような取引があり、これは⑦の類型にあたります。簡単に言うと「情報商材ビジネス」です。
コロナウイルスの流行やフリマサイトの普及などに伴い自宅で出来る副業として⑦のような取引や事業が増えているといえます。
また継続的にエステを受ける、語学を学ぶといった契約についても、⑥の類型にあたり特定商取引法の規制対象になります。
このように規制対象は当初の訪問販売に限らず非常に広範になっており、これから始めようとしている事業が特定商取引法の規制対象になることは珍しくありません。

次回の記事では、特定商取引法の具体的な規制内容について解説させていただきます。

経営されている業務が特定商取引法の規制対象となるか疑問に思われている方は是非一度あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
あいち刑事事件総合法律事務所では、特定商取引法に限らず幅広い分野について、企業の不祥事対策、不祥事対応の業務を行っております。

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企業と個人情報保護

2024-11-15

情報通信技術の発達により、企業も大量の情報を扱うようになりました。その中には個人の機微にかかわる重要な情報も含まれます。このような情報は厳重に管理する必要があり、違反があれば処罰も必要です。ここでは、企業の個人情報の保護について解説します。

個人情報保護法

個人情報の保護に関する法律(個人情報保護法)は、「デジタル社会の進展に伴い個人情報の利用が著しく拡大していることに鑑み、個人情報の適正な取扱いに関し、基本理念及び政府による基本方針の作成その他の個人情報の保護に関する施策の基本となる事項を定め、国及び地方公共団体の責務等を明らかにし、個人情報を取り扱う事業者及び行政機関等についてこれらの特性に応じて遵守すべき義務等を定めるとともに、個人情報保護委員会を設置することにより、行政機関等の事務及び事業の適正かつ円滑な運営を図り、並びに個人情報の適正かつ効果的な活用が新たな産業の創出並びに活力ある経済社会及び豊かな国民生活の実現に資するものであることその他の個人情報の有用性に配慮しつつ、個人の権利利益を保護することを目的」としています(第1条)。

個人情報とは、生存する個人に関する情報であって、氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの(第2条第1項第1号)や個人識別符号(第2条第2項)が含まれるもの(第2条第1項第2号)をいいます。

企業については「第四章 個人情報取扱事業者等の義務等」において定められています。

個人情報データベース等(個人情報保護法第16条第1項・個人情報の保護に関する法律施行令(個人情報保護法施行令)第4条。個人情報を含む情報の集合物であって、特定の個人情報を電子計算機を用いて検索することができるように体系的に構成したものなど)を事業の用に関している企業などは個人情報取扱事業者とされます(個人情報保護法第16条第2項)。

顧客の氏名などを検索すれば出せるようにすれば該当するので、顧客の氏名等の情報をデータとして保存している企業であれば、個人情報取扱事業者に該当するでしょう。

個人情報取扱事業者は、個人情報を取り扱うに当たっては、その利用目的をできる限り特定しなければならず(同法第17条第1項)、あらかじめ本人の同意を得ないで、この利用目的の達成に必要な範囲を超えて、個人情報を取り扱ってはなりません(同法第18条第1項)。
個人情報取扱事業者は、違法又は不当な行為を助長し、又は誘発するおそれがある方法により個人情報を利用してはなりません(同法第19条)。
個人情報取扱事業者は、偽りその他不正の手段により個人情報を取得してはなりません(同法第20条第1項)。

個人情報取扱事業者(法人の場合は、その役員)若しくはその従業者又はこれらであった者が、その業務に関して取り扱った個人情報データベース等(その全部または一部を複製し、又は加工したものを含みます。)を自己若しくは第三者の不正な利益を図る目的で提供し、又は盗用したときは、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処されます(個人情報保護法第179条)。

法人の代表者や従業者等がその法人の業務に関して上記のような違反をしたときは、法人も1億円以下の罰金に処されます(個人情報第184条第1項第1号)。

個人情報保護委員会

個人情報保護委員会は、個人情報取扱事業者等やその関係者に対し、個人情報等の取扱いに関し、必要な報告若しくは資料の提出を求め、又はその職員に、当該個人情報取扱事業者等その他の関係者の事務所その他必要な場所に立ち入らせ、個人情報等の取扱いに関し質問をさせ、若しくは帳簿書類その他の物件を検査させることができます(個人情報保護法第46条第1項)。

委員会は、第四章の規定の施行に必要な限度において、個人情報取扱事業者等に対し、個人情報等の取扱いに関し必要な指導及び助言をすることができます(個人情報保護法第47条)。

委員会は、個人情報取扱事業者に違反がある場合、個人の権利利益を保護するため必要があると認めるときは、当該個人情報取扱事業者等に対し、当該違反行為の中止その他違反を是正するために必要な措置をとるべき旨を勧告することができます(個人情報保護法第148条第1項)。

この勧告を受けた個人情報取扱事業者等が正当な理由がなくてその勧告に係る措置をとらなかった場合において個人の重大な権利利益の侵害が切迫していると認めるときは、個人上保護委員会は、当該個人情報取扱事業者等に対し、その勧告に係る措置をとるべきことを命ずることができます(個人情報保護法第148条第2項)。

また、個人情報保護委員会は、一定の違反の場合において個人の重大な権利利益を害する事実があるため緊急に措置をとる必要があると認めるときは、当該個人情報取扱事業者等に対し、当該違反行為の中止その他違反を是正するために必要な措置をとるべきことを命ずることができます(同条第3項)。これらの命令をした場合において、その命令を受けた個人情報取扱事業者等がその命令に違反したときは、その旨を公表することができます(同条第4項)。

これらの命令に違反した場合には、当該違反行為をした者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処されます(個人情報保護法第178条)。法人の代表者や従業者等がその法人の業務に関しこの違反をしたときは、法人も1億円以下の罰金に処されます(同法第184条第1項第1号)。

個人情報取扱事業者(法人の場合は、その役員)若しくはその従業者又はこれらであった者が、その業務に関して取り扱った個人情報データベース等(その全部または一部を複製し、又は加工したものを含みます。)を自己若しくは第三者の不正な利益を図る目的で提供し、又は盗用したときは、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処されます(個人情報保護法第179条)。法人の代表者や従業者等がその法人の業務に関しこの違反をしたときは、法人も1億円以下の罰金に処されます(同法第184条第1項第1号)。

まとめ

以上のように、企業は個人情報の適切な管理が求められます。
個人情報保護について不安のある方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所へご相談ください。

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福祉施設の職員による虐待事案について③

2024-11-12

福祉施設の職員による虐待事案について、施設側の不祥事対応の観点から弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

施設職員による虐待発生時、施設が負うリスク

市町村は虐待の通報を受けると当該施設に対して必要な調査を行います。そして、施設に対し虐待が判明すると改善を求める行政指導を行います。指導を行ったにもかかわらず、改善がみられない場合には、法令に基づき改善命令が下されたり、最悪指定取り消しという厳しい行政処分が下される可能性があります。加えて事件が報道されることによって、施設の信用が損なわれてしまうというリスクもあります。

施設職員による虐待が発生した場合における施設の対応

たとえば、施設内で職員から高齢者に対する虐待行為が行われている可能性がることが判明した場合、施設側は今後どのように対応すべきでしょうか。

① 施設内での聞き取り調査及び記録

高齢者本人やその家族、職員らから施設内における虐待の相談を受けた場合、担当の責任者へ報告した上で、施設長にも報告することが求められます。
その後、聴き取りが可能な場合には被害者である高齢者本人、加害者の職員、その他の職員への聴き取りを行って事実確認を行い、虐待事実をきちんと把握することがまずもって重要です。その際、被害者に外傷が見られた場合には、写真を撮影させていただくなど証拠の保全に努めるべきです。
また、施設内で調査を行った場合、調査を行った経緯や結果については記録として残しておくことが必要です。

② 市町村に対する通報

高齢者虐待防止法は、養介護施設従業者等に対して、自らが業務に従事する養介護施設又は養介護事業において、高齢者虐待を受けたと思われる高齢者を発見した場合は、速やかに市町村に通報しなければならないと定めています(法21条1項)。
ここで注意すべきことは、施設内における聴き取り調査の結果、確実に虐待があったと判断できる場合だけでなく、「虐待を受けたと思われる」時点、すなわち虐待の疑いが払しょくできない場合であっても速やかに通報しなければならないとされている点です。
虐待の事実を隠蔽した場合、後からその事実が発覚してしまうと、行政処分の判断が厳しくなるなど、結局、施設側にとってかえって不利になってしまいます。虐待の隠蔽は絶対に避けるべきでしょう。
次回は、虐待事実の把握の仕方、すなわち、虐待の有無の調査の仕方について掘り下げて解説します。

最後に

施設内で虐待行為が行われている可能性が判明した場合には、調査によって虐待の有無を明確にすること、事実関係を正確に認定することが極めて重要です。しかしながら、施設自らが事実確認の調査を行うことは簡単なことではありません。事実確認の調査を行い、事実関係を正確に認定するには、事実関係の調査について豊富な経験を持つ弁護士が行うことが適任といえます。

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契約書の重要性⑥ 押印がないと無効?

2024-11-08

【事例】
Aさんは、山口県下関市で飲食業を営む会社であるⅩ社の従業員です。
Ⅹ社では、来年度からインターネットでの通販を利用して自社のレトルト食品を日本全国に販売することを目指しています。
しかし、Ⅹ社は、これまで自社店舗での販売と地元の小売店への販売しかしていませんでした。
そこで、このような事業拡大にともなって生じる課題に対応するために、Ⅹ社では法務部門を新設することになりました。
そして、Aさんが新設される法務部門の責任者となりました。
X社の法務部門では、事業拡大の際に様々な業者と取り交す契約書のチェックも業務となっています。
しかし、Aさんは弁護士資格を有しているわけではありませんし、他の社員も弁護士資格は有していません。
また、X社にはこれまで顧問弁護士もいませんでした。
そこで、Aさんは、今後予想される契約書チェック業務に対応するために、あいち刑事事件総合法律事務所に相談することにしました。
(事例はフィクションです。)

1 はじめに

前回の記事では、契約書の押印についてみてきました。
今回は、契約書に押印があるということの法律的な意味について深掘りしていきます。

2 文章の成立の真正

契約が成立して契約書を取り交わし、契約のとおりに契約の内容が完遂できれば問題になることはあまりありません。
しかし、何かトラブルがあった場合に、当事者の間で争いが生じ、契約書どおりに契約が成立したかどうかが問題になることがあります。
そのように争いが生じた結果、民事裁判になったとしましょう。
このような民事裁判で契約書を証拠として提出する場合、「成立が真正であることを証明しなければならない」とされています(民事訴訟法228条1項)。

このように文書が真正に成立したものだと証明する必要が出てくることがあります。
この場面で、“二段の推定”と呼ばれる方法を使って証明することができます。
この二段の推定の場面で、契約書の押印が重要な意味を持ってきます。

3 二段の推定

まず、民事訴訟法228条4項には、「私文書は、本人又はその代理人の署名又は押印があるときは、真正に成立したものと推定する」という規定があります。
そして、この「本人又はその代理人の署名又は押印があるとき」というのは、この「署名又は押印」が「本人又はその代理人」の意思に基づいてされたといえる必要があります。
つまり、「本人又はその代理人」の意思に基づいてされた押印があれば、この民事訴訟法228条4項に基づいて、文書が真正に成立したものと推定されます。
これは二段の推定のうちの二段目の推定です。

そこで次に問題となるのは、その押印が「本人又はその代理人」の意思に基づいてされたのかどうかです。
しかし、日本の社会においては、印鑑は大切に保管するものですから、本人の印鑑を他人が勝手に使用するなどということは、通常はありえません。
そのため、反証がない限り、本人の印鑑で押印されていれば、それは本人の意思に基づいて押印されたのだと推定できるというのが判例の考えです。
これが一段目の推定です。

以上から、本人の印鑑による押印があれば、それは本人の意思に基づいた押印だと推定され、そのことと民事訴訟法228条4項により、文書全体が真正に成立したものだと推定されることになります。

ところで,なぜこのような規定が置かれているのでしょう。
文書が真正に成立したものだと証明するのは必ずしも容易ではありません。
嘘をついてでも裁判に勝ちたいと考える者は「その契約書にサインをしたのは自分ではない」と平気で主張することがあるからです。
しかし、契約書に相手の署名や押印がされているのに、それだけでは真正に成立したのだといえないのでは違和感があるのではないでしょうか。
その問題を解決するのがこの二段の推定なのです。

今回は、契約書に押印があることの持つ意味、特に二段の推定について解説していきました。この続きは今後の記事で解説していきます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件に関わってきた経験を活かし、そもそも会社内でのトラブルを回避するための対応・アドバイスにも力を入れています。
契約書の確認をしてほしい、継続的に弁護士からアドバイスを受けたいなどといったご要望の方も、一度、あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

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第三者委員会について③

2024-11-05

第三者委員会について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

そもそも第三者委員会とは何か

日本弁護士連合会が公表した「企業不祥事における第三者委員会ガイドライン」(以下「ガイドライン」という。)では、第三者委員会について、「企業や組織(以下、「企業等」という)において、犯罪行為、法令違反、社会的非難を招くような不正・不適切な行為等(以下、「不祥事」という)が発生した場合及び発生が疑われる場合において、企業等から独立した委員のみをもって構成され、徹底した調査を実施した上で、専門家としての知見と経験に基づいて原因を分析し、必要に応じて具体的な再発防止策等を提言するタイプの委員会」と定義しています。

第三者委員会の活動の内容とは

ガイドラインでは以下の行為が第三者委員会の活動とされています(ガイドライン1、2頁・第三者委員会の活動)。

1.不祥事に関連する事実の調査、認定、評価

第三者委員会は、企業等において、不祥事が発生した場合において、調査を実施し、事実認定を行い、これを評価して原因を分析する。
(1)調査対象とする事実(調査スコープ)  
第三者委員会の調査対象は、第一次的には不祥事を構成する事実関係であるが、それに止まらず、不祥事の経緯、動機、背景及び類似案件の存否、さらに当該不祥事を生じさせた内部統制、コンプライアンス、ガバナンス上の問題点、企業風土等にも及ぶ。
(2)事実認定
調査に基づく事実認定の権限は第三者委員会のみに属する。
第三者委員会は、証拠に基づいた客観的な事実認定を行う。
(3)事実の評価、原因分析
第三者委員会は、認定された事実の評価を行い、不祥事の原因を分析する。
事実の評価と原因分析は、法的責任の観点に限定されず、自主規制機関の規則やガイドライン、企業の社会的責任(CSR)、企業倫理等の観点から行われる。

2.説明責任

第三者委員会は、不祥事を起こした企業等が、企業の社会的責任(CSR)の観点から、ステークホルダーに対する説明責任を果たす目的で設置する委員会である。

3.提言

第三者委員会は、調査結果に基づいて、再発防止策等の提言を行う。

ガイドラインでは、第三者委員会は、すべてのステークホルダーのために調査を実施し、その結果をステークホルダーに公表することで、最終的には企業等の信頼と持続可能性を回復することを目的とする、とされています(ガイドライン1頁・基本原則)。
そのため、第三者委員会は、関係者の法的責任を問うというよりも、原因の究明及び再発防止策の策定等の点に主眼を置き、これを関係者に公表することを主とする方がよいと考えられます。とりわけ、不祥事が発生した企業において、今後、安定的な経営を行っていくためには、再発防止策の策定は、企業にとって極めて重要な問題といえます。
なお、第三者委員会の調査は、法的な強制力をもたない任意調査であるため、企業は、全面的に協力することが不可欠です。

第三者委員会について、この続きは今後の記事で解説していきます。

最後に

第三者委員会のメンバーを構成するときに弁護士がその主要なメンバーとなるのが通常です。それは弁護士は、その職務上、事実調査や法的な判断などを日頃から業務として行っているので、調査が正確に行われる蓋然性が高いということにあります。
企業で不祥事が発生し、第三者委員会設置を考えておられる、あるいは、不祥事が起きていなくても、不祥事の事前の回避を真剣に考えておられる企業経営者等の方は、早めに弁護士にご相談ください。

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企業側のハラスメント対応② ハラスメントが発覚した場合に企業側がとるべき対応

2024-11-01

(事例)
X社に勤めるAさんは同じ部署の後輩女性であるBさんに対して好意を抱き、①たびたびBさんの体に触れる、②一緒に食事に行かなければ人事評価を下げると脅して食事に無理やり連れて行くなどの行為をしていました。
BさんはX社のセクハラ相談窓口に上記の被害を相談しました。X社の労務担当者としてはどのような対応をとるべきでしょうか。

1 ハラスメントに対応するために会社におくべき体制

まずは会社のあるべき体制として、本件X社が置いていたセクハラ相談窓口のように内部でハラスメントが発生し場合に備えて職場でのハラスメントに対する内部通報システムを設けておくことが望ましいといえます。
なぜならば会社にそのような体制があれば問題が大きくなる前に早期に発覚し、適切かつ迅速に対応することが可能になるからです。
当然問題によっては外部の機関にも相談することが適切な場合もありますが、ハラスメントの問題が大きくなる前に自社内で解決することができれば会社の評判等への影響も少なく、また当事者にとっても被害が浅いうちに適切に対応してもらえることで、その後も会社に残りやすくなるなど穏便な解決を図りやすいといえます。

厚生労働省も,各種ハラスメントに関しては対策マニュアルを策定して公表しています。

しかしながらそのような体制を敷いていたとしても通報があった際に不適切な対応をとってしまっては本末転倒となってしまいます。そこで次に、通報があった場合の対応や、不適切な対応をした場合の会社の責任について解説させていただきます。

2 会社側の対応で会社が負う可能性のある責任

前回の記事ではハラスメントの加害者が刑事責任を負う可能性がある場合について解説しました。
本件の事例では、①の行為について暴行罪や不同意わいせつ罪の成立が考えられます。②については強要罪が成立する可能性があり、刑事処罰の対象となる可能性が高い事例であると言えます。

加害者の行為が刑事処罰の対象となるとしても会社側、経営者側が刑事責任を負う場合は稀になります(ハラスメントを苦に被害者が精神障害を負った場合や自殺した場合に業務上過失致死傷罪の責任を負う可能性はあります)。
その一方で不適切な対応をとった場合には民事上の善管注意義務や安全配慮義務に違反したとして会社側が損害賠償責任を負う可能性はあります。
代表的な例を挙げると、事例のように通報があって被害を把握しながら事態を放置した場合などです。

他にもセクハラ被害を通報した被害者に対して逆に「セクハラを受けたのはお前のせいだ」などと会社側がセクシャルハラスメントに該当するような言動をした場合には、会社が不法行為をしたとして損害賠償責任を負ってしまう可能性もあります。

このように会社に責任がある場合は金銭的負担が発生することはもちろん、会社側が不適切な対応をとったことが世間に公表されることで企業イメージが大きく損なわれかねません。それだけ被害を認識した会社の対応には責任やリスクが伴いますので特に慎重な対応が求められるのです。

3 ハラスメントが発覚した場合の対応

(1) 内部調査

まずは通報のあった事例について関係者や当事者からの聴き取りなど通じた内部調査を行うことが重要になります。
特にハラスメントの被害者からの聴取は慎重に行う必要があります。
聴き取りが不適切であれば会社に対する信頼を害し外部機関へ相談することも検討するでしょうし、先述のように対応や言動に不適切なものがあればそれ自体新たなハラスメントになり、会社側も責任を負うリスクがあります。

(2) 当事者への懲戒処分

内部調査の結果ハラスメントの事実が確認できた場合には当事者に対する懲戒処分も検討されるべきです。
懲戒処分を下すことが適当なのか、下すとしてもどのような処分とするべきなのかは法的に専門的な判断が必要になります。
不適切な処分を下してしまえば後の紛争のリスクもあります。反対に処分が軽すぎれば被害者側からの反発も予定されます。
ハラスメントがあった場合の処分の有無や処分内容に関してはハラスメントなどの不祥事対応に詳しい弁護士に相談されることお勧めします。

(3)捜査機関への被害申告
被害者の処罰感情が高い場合、事例が重大な場合、内部調査のみでは事実関係がはっきりせず専門的な捜査が必要な場合などが警察などの捜査期間に申告を検討するべき要素になります。
ただし、捜査期間への申告は操作能力の点などで大変頼もしい反面当事者や会社への負担は大きくなるなどリスクもある選択になります。
当該事情に応じて捜査機関への申告が妥当かは慎重に判断するべきです。


当該ハラスメントが刑法上の犯罪にあたるかは法律的に慎重な判断が求められ、その後の対応にも大きくかかわりますので、是非刑事事件を専門に扱う弁護士に相談されることをおすすめします。

契約書の重要性⑤ 印鑑の意味・種類を解説

2024-10-29

【事例】

Aさんは、山口県下関市で飲食業を営む会社であるⅩ社の従業員です。
Ⅹ社では、来年度からインターネットでの通販を利用して自社のレトルト食品を日本全国に販売することを目指しています。
しかし、Ⅹ社は、これまで自社店舗での販売と地元の小売店への販売しかしていませんでした。
そこで、このような事業拡大にともなって生じる課題に対応するために、Ⅹ社では法務部門を新設することになりました。
そして、Aさんが新設される法務部門の責任者となりました。
X社の法務部門では、事業拡大の際に様々な業者と取り交す契約書のチェックも業務となっています。
しかし、Aさんは弁護士資格を有しているわけではありませんし、他の社員も弁護士資格は有していません。
また、X社にはこれまで顧問弁護士もいませんでした。
そこで、Aさんは、今後予想される契約書チェック業務に対応するために、あいち刑事事件総合法律事務所に相談することにしました。
(事例はフィクションです。)

1 はじめに

前回の記事では、契約が誰と誰の間で締結されたものなのか(契約の当事者が誰なのか)や署名の重要性についてみてきました。
今回は、契約書の押印について深掘りしていきます。

2 印鑑の種類

実印や認印という言葉を聞いたことがあると思います。
まずはそれらがどのようなものかをみていきましょう。

実印というのは、法務局や市区町村長などに事前に届出をしていて、印鑑証明書の交付を受けられるようにしてある印鑑のことをいいます。
つまり、例えば手彫りの印鑑であったとしても、届出をしていなければ実印ではありません。

その一方で、認印というのは、実印とは違って、事前に届出等をしていない印鑑のことです。
100円ショップや文具店で購入できるような、機械で大量生産している安価な印鑑(いわゆる三文判)だけが認印というわけではありません。
逆に言うと、いわゆる三文判であったとしても、実印として登録すること自体は可能です。
もっとも、いわゆる三文判は複製やなりすましが容易ですから、三文判を実印とすることはリスクが高くなってしまいますので、お勧めはしません。

押印というのは非常に重要なもので,法務省もHP上でQ&Aを公開しています。

3 契約書で押印する場面

⑴ 契約印

契約印とは、契約を締結する際に押す印鑑のことです。
特に会社の場合、契約を締結すると、多くのお金が動いたり、権利義務が生じたりするわけですから、実印(代表取締役印など)を使う方が望ましいでしょう。
もっとも、認印ではいけない、契約が無効になってしまうなどといったことはありません。

⑵ 契印

契印というのは、契約書が2ページ以上にわたる場合に、ページを見開きにして、前のページと後のページとにまたがる部分に印鑑を押すことです。
このようにする理由は、後日ページを差し替えるなどして改ざんされるのを防止するためです。
このような目的で行うものですから、契約当事者双方が押すのが望ましいです。
また、通常は契約印と同じ印鑑を使うことになります。

⑶ 消印

契約書には収入印紙を添付しなければならない場合があります。
その場合には、添付された収入印紙彩紋と契約書の紙にまたがるように押印します(印紙税法8条2項、印紙税法施行令5条)。
この消印は、当事者のどちらかが押せば足りますし、契約印と異なる印鑑を使っても構いません。

今回は、契約書の押印について解説していきました。この続きは今後の記事で解説していきます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件に関わってきた経験を活かし、そもそも会社内でのトラブルを回避するための対応・アドバイスにも力を入れています。
契約書の確認をしてほしい、継続的に弁護士からアドバイスを受けたいなどといったご要望の方も、一度、あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

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不祥事発生時における広報対応の留意点について④

2024-10-25

企業内部で不祥事が発生した場合における広報対応の留意点について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

以前の関連記事はこちら

そもそも広報とは

広報とは、企業が社会の人々に向けて企業の情報を発信することです。

参考 「不祥事」に関するプレスリリースの一覧

不祥事が発生した場合の広報対応

企業内で不祥事が発生したとき、特にそれが犯罪に関わるときには、新聞報道されたり、インターネット上で掲載されるなどして、不特定多数の人々に知られてしまう場合があります。その際、企業側に取材がなされ、時には、記者会見を実施する必要が生じるかもしれません。メディアからの取材依頼は広報が担当します。

前回までに、企業内部で不祥事が発生した場合における広報対応(危機管理広報)の重要性やその基本的な手順について解説しました。今回は、実際に危機管理広報を行う場合にどのような態度で臨むべきかなど、特に注意する点について解説します。

誠実な対応とは

企業で不祥事が発生した場合、何よりも重要なことは、誠実に対応することです。

企業によっては、積極的な広報活動を行わず、放置し、世間から忘れられるのを待つという方針を選択する場合があります。しかし、このような対応をとると、企業が不祥事に対する説明も行わずに逃げたという印象を与える危険性があり、企業の社会的信用が更に低下する可能性があります。

事態を軽くみて忘却を待つという不誠実な対応は、世間の印象を悪くする可能性が高い一方、積極的な広報活動を行うことによって誠実かつ真摯な説明をした企業については、長い目でみれば、企業の社会的信用を回復し、また従前以上に向上させることも不可能ではありません。

広報は早く行う

企業で不祥事が発生した場合、広報は可能な限り迅速に行うべきです。

もし広報が遅くなってしまうと、憶測によるデマが流れて世間に誤った情報が広がってしまい、いわゆる風評被害に遭う可能性があります。とりわけSNSやネット掲示板を利用して、誰でも情報が発信できるようになった今、誤った情報もあっという間に広がる可能性があります。

そうなると、企業に対して寄せられた批判的な情報が事実でなければ、企業は被害者といえますから、事実とは異なる情報が拡散されている旨を記載した声明文を速やかに出さなければならなくなるなど、作業が増えて、正確な情報開示が更に遅れる可能性があります。

対応の遅れは世間を不安にし、世間の印象を悪くするため、広報はできるだけ早く行うことが重要です。

弁護士など専門家に相談する

企業での不祥事発生時における広報について、対外的に開示する文書の内容や記者会見で説明する内容については、弁護士などの専門家に事前にチェックを受けることも重要です。このようにして外部に出る情報については、消費者、株主等が訴訟を提起する場合の証拠となりうるからです。

また広報を行う場合、リスクマネジメントの専門家などからの助言が必要となる場合もあるでしょう。

福祉施設の職員による虐待事案について②

2024-10-22

福祉施設の職員による虐待事案について、施設側の不祥事対応の観点から弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

施設職員による虐待事案は、刑事事件になり得る

前回、解説しましたように、虐待の種別として種々のものがありますが、なかでも責任が重大で、施設として最も起こしてはならない虐待事案として、刑事罰相当の虐待事案があります。

身体的虐待

高齢者等に対して、叩く、蹴るなどの暴行を加えれば暴行罪、それによって怪我をさせれば傷害罪となります。また、最悪、死なせてしまった場合、傷害の故意しかなければ傷害致死罪、殺すことの故意が認められれば殺人罪になります。

介護的放棄

介護の放棄は、保護責任者遺棄罪、不保護罪に該当し得ます。保護責任者遺棄罪に該当する行為には、「遺棄」と「不保護」があり、ここで「遺棄」とは、被害者を移動させること、すなわち置き去りにすることであり、「不保護」とは、場所的な隔離を伴わずに、生存に必要な保護をしないことです。

性的虐待

高齢者等に、同意しない意思を形成し、表明し、若しくは全うすることが困難な状態のもとでわいせつな行為をすれば不同意わいせつ罪、また、同様の状態のもとで性交等をすれば、不同意性交等罪になります。

経済的虐待

高齢者等の財産を勝手に処分して利益を得た場合、物について加害者が占有していれば横領罪、被害者が占有していれば窃盗罪になります。

具体例

施設職員による刑事罰相当の事件といえば、平成26年に起きた川崎市の有料老人ホームでの連続転落死事件が有名です。この事件は、介護付有料老人ホームの職員であった被告人が、約2か月間に、3回にわたって、同施設の夜勤業務に従事している際に、入居者ら3名をそれぞれベランダからその身体を抱えてフェンスを乗り越えさせ、施設裏庭に転落させて殺害したという事件であり、被告人は地方裁判所において死刑を宣告されました(令和5年5月11日付けで死刑が確定)。

虐待をすれば逮捕されるのか

虐待行為は、既に述べましたように、刑法の各犯罪に該当し得ます。
しかし、虐待をすればすぐに逮捕されるかと言えば、必ずしもそうではありません。
もちろん、当該虐待行為が、刑法の条文の犯罪に本当に該当するか否かについては厳格に判断されますし、虐待の程度が軽い場合には、たとえ実際に犯罪に該当したとしても、逮捕までされず、在宅捜査ということもあります。

福祉施設の職員による虐待事案について、この続きは今後の記事で解説していきます。

最後に

福祉施設の職員による虐待は後を絶たず、近年増加傾向にあります。虐待防止の取り組み、あるいは、実際に虐待が疑われる事案が発生した際の対応等については、刑事事件について豊富な経験を持つ弊社の弁護士にご相談ください。

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【事例紹介】風俗営業法違反での行政処分を放置していた結果逮捕された事例①

2024-10-22

【事例】
東京・歌舞伎町のコンセプトカフェで未成年の従業員に接待させたとして、警視庁は、店の経営者の男Aと店長の女Bの両容疑者を風営法違反(無許可営業)などで逮捕し、26日に発表した。
いずれも容疑を認めているという。
少年育成課によると、両容疑者は共謀して(中略)コンセプトカフェXで、未成年の少女(17)を女性従業員として雇ったうえ、都公安委員会から風俗営業の許可を得ずに、客の30代男性に酒をついだり、話し相手をしたりするなどの接待をさせた疑いがある。
男は、この女性従業員が未成年と知りながら雇っていたといい、「店で未成年を5~6人ほど雇っていた」と供述しているという。
店は(中略)、これまでも無許可の接待行為について行政指導を受けていた。
(朝日新聞DIGITAL 令和6年9月26日「歌舞伎町のコンカフェで無許可接待、従業員に未成年も 警視庁が摘発」より一部抜粋)

今回は風営法違反で逮捕された事例を基に、風営法ではどのような規定があるのか、規定違反に関する行政指導を無視した場合にどうなるかについて解説します。
この記事では風営法の規定について、次回の記事では風営法違反の行政指導の意義や、それを放置することによる影響を解説します。

1 風営法の規定について

風営法は正式名称を「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」といいます。
この記事ではこの正式名称ではなく、風営法と略称を用いて解説させていただきます。
風営法では法律名にもある通り、「風俗営業」に関する法律になっています。

そして「風俗営業」については風営法第2条に規定があります。

第二条この法律において「風俗営業」とは、次の各号のいずれかに該当する営業をいう。
一キヤバレー、待合、料理店、カフエーその他設備を設けて客の接待をして客に遊興又は飲食をさせる営業
二喫茶店、バーその他設備を設けて客に飲食をさせる営業で、国家公安委員会規則で定めるところにより計つた営業所内の照度を十ルクス以下として営むもの(前号に該当する営業として営むものを除く。)
三喫茶店、バーその他設備を設けて客に飲食をさせる営業で、他から見通すことが困難であり、かつ、その広さが五平方メートル以下である客席を設けて営むもの
四まあじやん屋、ぱちんこ屋その他設備を設けて客に射幸心をそそるおそれのある遊技をさせる営業
五スロットマシン、テレビゲーム機その他の遊技設備で本来の用途以外の用途として射幸心をそそるおそれのある遊技に用いることができるもの(国家公安委員会規則で定めるものに限る。)を備える店舗その他これに類する区画された施設(旅館業その他の営業の用に供し、又はこれに随伴する施設で政令で定めるものを除く。)において当該遊技設備により客に遊技をさせる営業(前号に該当する営業を除く。)

通常の飲食店との違いでは風営法第2条1号の「客の接待をして客に遊興または飲食をさせる営業」であるかが重要な違いになります。当然「風俗営業」にあたるかは、お店の実態によって判断されます。
したがって表向きは「居酒屋」としていても、実際にはキャバクラのように、女性に接客をさせているようであれば、「風俗営業」を行っていると判断されます。

2 上記事例で問題になった風営法違反

記事の内容からの推測になりますが記事で摘発された店舗については、
①風俗営業の許可を得ずに営業したこと(無許可営業)
②18歳未満のものを雇用していたこと(年少者雇用)
の2点で風営法の規定に違反していたと考えられます。
以下でそれぞれの規定に関して説明させていただきます。

①無許可営業
風営法3条で風俗営業を行う場合は、風俗営業の種別に応じて許可を受けなければならないと定められています。
先ほど説明したように「風俗営業」を行っているかは、お店の業務の実態により判断されます。
実際には「風俗営業」行っているのに、「風俗営業」を行うための許可を取っていない場合(例:飲食店営業の許可しか取っていない)には、無許可営業にあたります。

②年少者使用
「風俗営業」に該当するお店では、18歳未満の者に客の接待をさせることを禁止しています(風営法第22条3号)。
これも先ほどと同様に、表向きは居酒屋のように飲食店を装い、実際には風俗営業にあたるような営業をして、その営業に際して18歳未満の者に接待をさせた場合には、この規定に違反することになります。

このように営業内容が風俗営業にあたるかによって、営業の際に必要な許可や働かせてよい者の年齢規制が変わってきます。
このような店舗を開業される経営者の方や風営法に関して調査や捜査を受けられた経営者、労働者の方は、風営法に詳しいあいち刑事事件総合法律事務所の弁護士に是非一度ご相談ください。
次回の記事では風営法違反が明らかになった場合の手続きの流れや、行政処分を無視してしまった場合の流れについて解説させていただきます。

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