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企業経営者が知っておくべき「司法取引」について②

2025-01-17

前回の記事では、司法取引の概要と対象となる犯罪について解説させていただきました。
会社経営を行う上で密接に関連する法令のほとんどが司法取引の対象犯罪になることをご理解いただけたかと思います。
そのため刑事事件の当事者となった場合には、司法取引を実施するかについて検討しなければならないことも予想されます。
今回の記事では、司法取引の手続きの流れやその対応について解説させていただきます。

1 司法取引の流れ

日本で導入される司法取引の概要については前回の記事で解説させていただいた通りです。
改めて説明しますと、被疑者・被告人と検察官が、一定の犯罪について、弁護人の同意があることを条件として、被疑者・被告人が他人の刑事事件の解明に協力するのと引き換えに、検察官が被疑者・被告人の事件について有利な取扱いをすることなどを合意する制度です。
前提として対象者に対して弁護人が選任されていて、弁護人の同意があることが条件になっています。

司法取引の流れは大まかにいえば,

①弁護人(被疑者・被告人)または検察官からの協議の申し入れ
②三者による協議
③司法取引(合意)の成立

というものになります。
最も重要なのは、言わずもがなですが②でどのような内容の協議をして、どのような内容の合意をするかになります。

2 協議の内容

協議の内容についてはすべてが法律上規定されているわけではありません。
協議の内容には、たとえば、被疑者・被告人による協力行為の内容の提示、検察官による被疑者・被告人からの聴取、検察官による処分の軽減等の内容の提示などが行われるものと考えられます 。
具体的には、当該事件での取り調べを受けている際に、捜査機関としてこの事件の主犯を起訴したいから証言に協力してほしいというような打診があった場合に、どの範囲で供述の協力をするのかその見返りとしてどの程度の刑の軽減を求めるかなどが協議の内容になります。

会社の経営者から公務員に対して賄賂を渡していたという贈収賄事件を例にしてその対応について解説をさせていただきます。
仮にこの容疑が事実であるとして、双方が黙秘しているというケースでは、会社への悪影響を最小限にとどめるために、経営者の弁護人として罪を積極的に認め、司法取引の打診をすることが考えられます。
賄賂を贈った事実を認め公判での供述に協力することを約束する代わりに、経営者側は起訴しないように求める協議を持ち掛けることが協議の申し入れの一例です。
仮に合意が成立すれば、会社の経営者が起訴されて会社の名誉が毀損されるリスクを避けることができるかもしれません。

3 司法取引が問題になるケースについては

司法取引が問題になるケースについては刑事事件に精通した弁護士に依頼することをお勧めします
当該事案について司法取引の打診を被疑者側からするのかどうか、協力するとしてもどの範囲で協力し、見返りの内容をどうするかについては極めて難しい判断になります。

その判断においては、当該事案の事実関係からして問題となっている事案の証拠構造はどのようになっているのか、当事者の供述や証拠が捜査に与える影響の大きさ、量刑の見通しなどを正確に見通して判断する必要があります。

あいち刑事事件総合法律事務所はこれまで多数の刑事事件の弁護活動を経験してきた実績があり、事件の見通しや証拠構造の分析には自信があります。
司法取引を検討している、検察官から司法取引の打診があったというケースでは是非一度あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

次回は司法取引が導入されたことに対して、会社経営者は平時からどのような対応を検討すべきかについて解説させていただきます。

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【事例解説】インサイダー取引について② インサイダー取引の主体

2025-01-14

【事例】
子会社に関する未公表情報を基に太陽光パネル製造会社X社の株をインサイダー取引したとして、金融商品取引法違反容疑でX社の元執行役員のAさんが逮捕された事件で、情報が公表された直後に同社株が急激に上昇していたことが16日、分かった。
関係者への取材で、Aさんが以前勤務していた金融サービス会社の株式でもインサイダー取引をしたとして、金融庁から課徴金納付命令を受けていたことも判明した。
東京地検特捜部は、Aさんが株価上昇を見越して買い付けを進め、公表後に売却して利益を得た可能性があるとみて捜査している。
(共同通信令和6年5月16日 「子会社の情報公表後、株価急上昇 インサイダー取引、特捜部捜査」より一部引用)

参考報道 インサイダー疑いの東証元社員を告発 監視委、裁判官も

1 インサイダー取引規制の趣旨について

前回の記事ではインサイダー取引で社員が逮捕された場合の会社への不利益や、インサイダー取引にあたる行為の要件について解説しました。

今回の記事ではまずインサイダー取引の要件のうち、インサイダー取引の主体となる「会社関係者」の範囲について説明します。
その説明の前にインサイダー取引が禁止されている趣旨について解説させていただきます。
非公表の重要事実を知っている「会社関係者」などは、重要事実が公表された場合に、株価が上昇するか下落するかについてある程度予想することができます。
したがって重要事実の公表によって一般の投資家が知る前に会社の株式を売買した場合には確実に儲けることができることになります。
このような取引は一般の投資家に比べて内部者に特別に有利となりますので、投資家の間で不平等が生じ、証券市場への信頼を害することになり、市場の公正を守るためにインサイダー取引が規制されているのです。

2 インサイダー取引の主体について

インサイダー取引の主体にとなるものについては3種類の規定があります。
①会社関係者(金融商品取引法166条1項)、②公開買付者等関係者(同法第167条第1項)、③第一次情報受領者(同法第166条第3項、第167条第3項)の3種類です。
以下それぞれの類型に関して詳しく解説させていただきます。

「会社関係者」に当該上場会社の会社役員や管理借についている者だけでなく、役職のない従業員も含まれます。問題となる事実を知っていた場合には役職の有無は問いません。
すなわち重要な秘密情報が社内で漏洩してそれをたまたま知ってしまった従業員もインサイダー取引の主体になり得ます。
その他に「会社関係者」に該当する者については、
・役員、代理人、使用人その他の従業員で、重要な事実を知っている者
・帳簿閲覧権(議決権の3%以上の株式)を有する株主で、その未公表の重要事実を知っていた者
・上場会社等に対して法令に基づく権限を有し(許認可権を有する官庁の公務員等)、その未公表の重要事実を知っていた者
・取引先やその役員などで、その未公表の重要事実を知っていた者
・上記のいずれかに該当しなくなってから、1年以内の者
という規程があります。

②公開買付者等関係者に該当する者とは簡単に言えば、株式の公開買い付けを予定している場合にその情報を知り得る立場にいる者を指します。
具体的には公開買付者等と次のような関係にあるものが該当します。その関係性は上記の「会社関係者」と同一です。
・役員、代理人、使用人その他の従業員で、重要な事実を知っている者
・帳簿閲覧権(議決権の3%以上の株式)を有する株主で、その未公表の重要事実を知っていた者
公開買付者等に対する法令に基づく権限を有し、その未公表の重要事実を知っていた者
取引先やその役員などで、その未公表の重要事実を知っていた者
公開買付を受ける会社(被公開買付会社)やその役員等で、公開買付者等からの伝達でその事実を知った者
上記のいずれかに該当しなくなってから、6か月以内の者

③第1次情報受領者とは、①または②に該当する者から情報を受け取った者を指します。
ここで注意が必要なのは、この第1次情報受領者から情報を受け取った者については、「第2次情報受領者」と呼ばれ、インサイダー取引規制の対象ではなくなります。
なぜならば、受け取った情報の情報源がインサイダー取引の規制対象になる者からの情報であることを認識していないからです。

上記事案のAさんは以前勤務していたの株式でとあるので、①のうち従業員として「会社関係者」にあたるとされたのでしょう。
仮に子会社の情報について知っており、株式の取引をしたのが退職してから1年以内であれば、金融商品取引法166条1項の「上記のいずれかに該当しなくなってから、1年以内の者」に該当しインサイダー取引の規制対象となります。

このように,金融商品取引法は特に複雑な規定であり,一般の方にはとても分かりにくいものになっています。不安なことがある方は一度,弁護士にご相談ください。

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【事例解説】インサイダー取引に対する規制について①

2025-01-08

 

【事例】

子会社に関する未公表情報を基に太陽光パネル製造会社X社の株をインサイダー取引したとして、金融商品取引法違反容疑でX社の元執行役員のAさんが逮捕された事件で、情報が公表された直後に同社株が急激に上昇していたことが16日、分かった。
関係者への取材で、Aさんが以前勤務していた金融サービス会社の株式でもインサイダー取引をしたとして、金融庁から課徴金納付命令を受けていたことも判明した。
東京地検特捜部は、Aさんが株価上昇を見越して買い付けを進め、公表後に売却して利益を得た可能性があるとみて捜査している。
(共同通信令和6年5月16日 「子会社の情報公表後、株価急上昇 インサイダー取引、特捜部捜査」より一部引用)

1 インサイダー取引について正しく理解していますか?

インサイダー取引という言葉については報道機関やテレビドラマなどで一度は耳にしたことがある方が多いのではないでしょうか。
そして、インサイダー取引について自分が知った内部情報を利用して不正に金儲けをしたという程度では理解できている方が多いと思います。
しかしながらインサイダー取引の具体的な規制内容や規制範囲について明確に理解されている企業の経営者の方や役員の方は多くないでしょう。
例えば、インサイダー取引で問題となる内部情報はどのような情報を指すのか、どのような不正行為がインサイダー取引として刑事罰の対象になるのか、処罰対象になるのは誰かなど法律の規制についてご相談を受けることが多いです。

事例では自社の子会社の未公開情報を基に株の売買をして逮捕されたケースです。
実際の報道では社名も明らかになっていましたから報道により、会社の情報管理が甘かった、社員のコンプラ教育が不十分だったという印象を世間から受けてしまうかもしれません。
そのため特に株式を上場している企業の方は、このような事態が起こらないように情報管理、社員へのコンプラ教育を徹底するためにも規制について正しく理解することが必要になります。
経営者の方ご自身や会社役員の方、従業員の方がインサイダー取引をしてしまわないように、あいち刑事事件総合法律事務所がインサイダー取引について詳しく解説させていただきます。

2 インサイダー取引とは

今回の記事ではまずインサイダー取引の内容について解説させていただきます。
一般的にインサイダー取引と呼ばれる取引に対する規制については、金融商品取引法という法律に定めがあります。
インサイダー取引の定義については、「上場会社の役職員など会社関係者が、その会社における業務等に関する重要事実を自身の職務等に関して知った場合、重要事実が公表される前に、当該上場会社の株式を売買すること」とされています。
これを要件に分解するとすれば
①上場会社の役職員など「会社関係者」が
②上場会社における業務等に関する「重要事実」を
③自身の「職務に関し」て知って
④重要事実が「公表」される前に
⑤当該上場会社の株式を売買すること
と分解できます。特に「」で示した文言の意味や犯意が重要になります。
これからの記事ではそれぞれの要件について、具体的なケースもあげながら詳しく解説させていただきます。

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企業経営者が知っておくべき「司法取引」について①

2025-01-07

1 はじめに

平成28年に行われた刑事訴訟法の改正によって日本でも司法取引と呼ばれる制度が平成30年6月より導入されています。
司法取引で対象となる犯罪には企業経営とも密接にかかわる犯罪も含まれていますので、企業経営を行う者にとっても重要な制度であるといえます。
今回は司法取引制度の概要や、企業経営者としてどのような点に留意して対応するべきか、具体的な事例を用いて解説させていただきます。

参考 令和2年版犯罪白書 司法合意制度

2 司法取引制度の概要

日本で導入された司法取引制度は検察官と被疑者・被告人およびその弁護人が協議し、被疑者または被告人が「他人」の刑事事件の捜査・公判に協力するのと引換えに、自分の事件を不起訴または軽い求刑にしてもらうことなどを合意するという制度です。
この制度に関しては刑事訴訟法350条の2~350条の15に根拠があります。

日本で導入された司法取引制度の特徴を簡単に挙げるならば
・他人の犯罪の証明に対する協力を内容とすること(自分のした犯罪に対する自白などの協力には後述する見返りは得られません)
・見返りとしては自身の事件について不起訴や、求刑を軽くしてもらえる(罰金を求刑するないしは実刑判決を求刑しないなど)ことが規定されていること
・取引の相手方は検察官であり、警察官は取引の相手方にならないこと
・弁護人の関与が必須であること
という点です。日本で導入された司法取引制度はアメリカの制度を参考にして導入されたものですが、上記の点が日本で導入された司法取引制度の特徴になります。

3 司法取引の対象となる犯罪類型

司法取引の対象となる犯罪類型は多岐にわたりますが企業に密接に関連する犯罪や法令違反の一部を挙げると
・贈収賄などの公務員関連犯罪
・詐欺、横領、背任などの財産犯
・談合などの規制する独占禁止法違反
・インサイダー取引などの規制する金融商品取引法違反
・企業秘密の漏洩などを規制する不正競争防止法違反
・特許法違反
などがあります。
ご覧いただいて分かるように企業経営や取引に関して発生する刑事事件については基本的に司法取引制度の対象事件になると考えていただいて差支えないかと思います。

このように近年導入された司法取引は企業を経営する者にとって密接にかかわる制度にも拘らず、認知度はまだまだ高いとはいえません。
そして捜査対象となった場合に、安易に捜査機関からの誘いに応じて協力を申し出ることは自身のメリットになるばかりでなく、自分で自分の首を絞めることにもなりかねません。
そこで次回の記事では司法取引制度の利用方法やその注意点について詳しく解説させていただきます。

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営業秘密の侵害―企業と不正競争防止法

2025-01-03

企業の営業秘密が外部からの侵入により奪われたり、退職者が営業秘密を持ち出すことが問題となっています。
先日報道された事案としても,回転ずしの運営会社の社長が転職前の競合他社の食材の原価や仕入れ先に関するデータを持ち出していた事件は社会に衝撃を与えました。
営業秘密の侵害は個人だけでなく企業も責任を負うことになります。ここでは、不正競争について解説します。

営業秘密とはなにか

「営業秘密」とは、「秘密として管理されている生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であって、公然と知られていないもの」をいいます(不正競争防止法第2条第6項)。
まとめますと、以下の3つの用件を備えるものが営業秘密にあたります。
○有用性:当該情報自体が客観的に事業活動に利用されていたり、利用されることによって、経費の節約、経営効率の改善等に役立つものであること
○秘密管理性:秘密保有企業の秘密管理意思が、秘密管理措置によって従業員等に対して明確に示され、当該秘密管理意思に対する従業員等の認識可能性が確保されていること
○非公知性:保有者の管理以外では一般に入手できないこと
参照:経済産業省HP「営業秘密~営業秘密を守り活用する~」

自社の技術データ、ノウハウ、顧客名簿などが営業秘密に当たります。

営業秘密の侵害とはなにか

不正競争防止法では、「不正競争」と定められている行為がいくつもあります(不正競争防止法第2条第1項第1号から第22号)。営業秘密を侵害する行為は、第4号から第9号に規定されています。
窃取、詐欺、強迫その他の不正の手段により営業秘密を取得する行為は「営業秘密不正取得行為」とされています(同法第2条第1項第4号)。
営業秘密と知ってて不正に取得したり使用や開示をする場合(同法第2条第1項第4号)だけでなく、営業秘密不正取得行為であることを重大な過失により知らなかったり、後に営業秘密不正取得行為が介在したことを知りながら営業秘密を使用した場合等も「不正競争」に当たります(同法第2条第1項第5号から第9号)。
冒頭の回転ずしの社長の事案は、不正の手段により営業秘密を取得する営業秘密不正取得行為又は営業秘密不正取得行為により取得した営業秘密を使用し、若しくは開示する行為(同法第2条第1項第4号)に当たるものと考えられます。

営業秘密侵害に対する罰則

このような営業秘密の侵害には重い刑罰が加えられます。
不正の利益を得る目的で、又はその営業秘密保有者に損害を加える目的で、詐欺等行為又は管理侵害行為により、営業秘密を取得した者(同法第21条第1項第1号)、詐欺等行為又は管理侵害行為により取得した営業秘密を、不正の利益を得る目的で、又はその営業秘密保有者に損害を加える目的で、使用し、又は開示した者(同項第2号)、営業秘密を営業秘密保有者から示された者であって、不正の利益を得る目的で、又はその営業秘密保有者に損害を加える目的で、その営業秘密の管理に係る任務に背き、①営業秘密記録媒体等(営業秘密が記載され、又は記録された文書、図画又は記録媒体)又は営業秘密が化体された物件を横領する、②営業秘密記録媒体等の記載若しくは記録について、又は営業秘密が化体された物件について、その複製を作成する、③営業秘密記録媒体等の記載又は記録であって、消去すべきものを消去せず、かつ、当該記載又は記録を消去したように仮装する、のいずれかの方法で領得した者(同項第3号)等は、10年以下の懲役若しくは2000万円以下の罰金に処され、又はこれを併科されます(同法第21条第1項柱書)。

「詐欺等行為」とは、人を欺き、人に暴行を加え、又は人を脅迫する行為をいい、「管理侵害行為」とは、財物の窃取、施設への侵入、不正アクセス行為(パスワード等によりアクセス制限をしているパソコン等に他人のパスワードやIDを使ってアクセスする行為を指します。不正アクセス禁止法第2条第4項)、その他の営業秘密保有者の管理を害する行為をいいます(不正競争防止法第21条第1項第1号)。

日本国外において使用したり開示する等の目的で、詐欺等行為等により営業秘密を取得した場合は、10年以下の懲役若しくは3000万円以下の罰金に処され、又はこれを併科されます(同法第21条第3項柱書)。日本国外に流出するような場合は、さらに被害が大きくなり、経済安全保障の観点から、罰金額もより大きくなっています。

営業秘密侵害に対する会社の責任

役員や従業員が営業秘密を侵害する行為をした場合、企業も責任を問われます。法人の代表者や従業者等が、法人の業務に関し、違反行為をした場合は、法人も罰金刑を科されます(同法第22条第1項柱書)。日本国外で使用する目的等のため、不正の利益を得る等の目的で、詐欺等行為等により営業秘密を取得する等の場合は、上記のように被害の大きさや経済安全保障の観点から、罰金額は高くなっており、10億円以下の罰金刑を科されます(同法第22条第1項第1号)。それ以外の営業秘密の取得等の場合は、5億円以下の罰金刑を科されます(同法第22条第1項第2号)。

まとめ

このように、営業秘密を侵害すると、行為者だけでなく企業も大きな責任を負わされます。
営業秘密の侵害ではないかなど不安な方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所へご相談ください。

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第三者委員会について⑤

2024-12-31

第三者委員会について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

前回記事⇒

https://compliance-bengoshi.com/daisansyatyousaiinkai4

そもそも第三者委員会とは何か

日本弁護士連合会が公表した「企業不祥事における第三者委員会ガイドライン」(以下「ガイドライン」という。)では、第三者委員会について、「企業や組織(以下、「企業等」という)において、犯罪行為、法令違反、社会的非難を招くような不正・不適切な行為等(以下、「不祥事」という)が発生した場合及び発生が疑われる場合において、企業等から独立した委員のみをもって構成され、徹底した調査を実施した上で、専門家としての知見と経験に基づいて原因を分析し、必要に応じて具体的な再発防止策等を提言するタイプの委員会」と定義しています。

第三者委員会について、顧問弁護士の立場との違い

結論から言いますと、第三者委員会は、企業に対する助言者や味方という立場にはありません。
もちろん、第三者委員会が企業との間でコミュニケーションを図ることは必要かつ重要なことです。そして、第三者委員会は、調査を進めるにつれ、当該不祥事の事案の内容等を詳しく把握していきますので、調査が進むにつれて、企業の側も各ステークホルダーへの対応方針等について、第三者委員会から助けを求めたくなる場合もあると考えられます。
しかし、第三者委員会は、事実関係の調査、事実の評価、原因分析及び再発防止策の提言を目的としており、経営陣は第三者委員会にとってあくまで調査対象としての位置づけです。そうであれば、第三者委員会の立場は、企業の助言者ないし味方的な立場にある顧問弁護士の立場とは異なるものです。
そのため、企業としては、危機対応を進めるためには、第三者委員会を設置したとしても、それとは別に、顧問弁護士等から適切な助言を得る体制を整えておく必要があります。

第三者委員会と顧問弁護士との役割分担

不祥事により第三者委員会を設置した企業には、企業に寄りそって経営陣から相談を受けて危機対応を助言してくれる人が必要になります。この役割を担うのに最適なのは従前から企業の実情に詳しい顧問弁護士です。その必要性は、第三者委員会を設置した場合でも、いささかも変わることはありません(なお、ガイドライン4頁では、顧問弁護士は企業と利害関係があるため、第三者委員会の委員として就任すべきでないとれています)。

最後に

企業で不祥事が発生し、第三者委員会の設置を考えておられる企業経営者等の方、あるいは、未だ不祥事が起きていなくても、企業でおこる法律相談や不安ごとについて、平素から継続的に相談を受けてくれる顧問弁護士を真剣に探しておられる企業経営者等の方は、早めに弁護士にご相談ください。

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契約書の重要性⑦

2024-12-27

【事例】
Aさんは、山口県下関市で飲食業を営む会社であるⅩ社の従業員です。
Ⅹ社では、来年度からインターネットでの通販を利用して自社のレトルト食品を日本全国に販売することを目指しています。
しかし、Ⅹ社は、これまで自社店舗での販売と地元の小売店への販売しかしていませんでした。
そこで、このような事業拡大にともなって生じる課題に対応するために、Ⅹ社では法務部門を新設することになりました。
そして、Aさんが新設される法務部門の責任者となりました。
X社の法務部門では、事業拡大の際に様々な業者と取り交す契約書のチェックも業務となっています。
しかし、Aさんは弁護士資格を有しているわけではありませんし、他の社員も弁護士資格は有していません。
また、X社にはこれまで顧問弁護士もいませんでした。
そこで、Aさんは、今後予想される契約書チェック業務に対応するために、あいち刑事事件総合法律事務所に相談することにしました。
(事例はフィクションです。)

1 はじめに

前回までの記事では、契約書に関する基本的なルール、署名や押印の重要性などについてみてきました。


今回は、契約書のタイトルに関して解説していきます。

2 書類のタイトルと契約書の関係

一般の方も、書類のタイトルが「賃貸借契約書」、「消費貸借契約書」、「売買契約書」など「〇〇契約書」というタイトルの書類が契約書に当たるのは容易にご理解いただけると思います。
逆に「〇〇契約書」といったタイトルでない書類は、契約書ではないというイメージをお持ちではないでしょうか。
しかし、この理解は誤りです。

契約書とは、あくまで2人以上の当事者が結ぶ権利や義務に関する合意の内容を書面にしたものです。
つまり、「契約書」というタイトルである必要はないのです。
例えば、「合意書」などといったタイトルはもとより、「覚書」や「念書」などといったタイトルであったとしても、当事者同士が権利や義務について合意した内容を記載しているのであれば契約書といえるのです。

3 契約書のタイトルと法的な効果、拘束力

それでは、どのようなタイトルであっても契約書といえるのだとして、タイトルによって法的な効果や拘束力は変わるのでしょうか。
例えば、「覚書」よりも「合意書」や「契約書」といったタイトルの書類の方が、法的な効果や拘束力が強い書類だという印象を持つのではないでしょうか。
しかし、これも誤りです。

契約書がどのような法的な効果を持つのか、どの程度の拘束力を持つのかというのは、あくまで契約書の中身、つまり、どのような内容の合意をしたのかどうかで決まります。
そのため、契約書のタイトルが「〇〇契約書」であろうと「〇〇に関する合意書」であろうと「〇〇に関する覚書」であろうと、その中身が同じなのであれば、法的な効果や拘束力は基本的に同じなのです。

もっとも、当事者が合意を結んだ経緯などから、例えば強い拘束力を持たすつもりがなく、そのことを反映させるために、契約書の中にそのような事項を記載するのに加えて、タイトルもあえて「契約書」ではなく「覚書」にしたというような場合もあるかと思います。
しかし、この場合も、あくまで当事者が合致した意思がどのような内容だったか(この例でいえば強い拘束力を持たさないという意思)、契約書の内容がどうだったかというのが重要で、タイトルのみで一義的に決まっているわけではないのです。

最後に

今回は、契約書のタイトルについて解説していきました。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件に関わってきた経験を活かし、そもそも会社内でのトラブルを回避するための対応・アドバイスにも力を入れています。
契約書の確認をしてほしい、継続的に弁護士からアドバイスを受けたいなどといったご要望の方も、一度、あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

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第三者委員会について④

2024-12-24

第三者委員会について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

前回記事⇒

そもそも第三者委員会とは何か

日本弁護士連合会が公表した「企業不祥事における第三者委員会ガイドライン」(以下「ガイドライン」という。)では、第三者委員会について、「企業や組織(以下、「企業等」という)において、犯罪行為、法令違反、社会的非難を招くような不正・不適切な行為等(以下、「不祥事」という)が発生した場合及び発生が疑われる場合において、企業等から独立した委員のみをもって構成され、徹底した調査を実施した上で、専門家としての知見と経験に基づいて原因を分析し、必要に応じて具体的な再発防止策等を提言するタイプの委員会」と定義しています。

第三者委員会の調査報告書の記載内容は誰が決めるのか

ガイドラインでは、調査報告書の起案権は第三者委員会に専属するとされています(ガイドライン3頁)。
これは、第三者委員会の独立性と中立性を担保するために設けられたものです。
第三者委員会が作成した報告書に対して、企業側からその記載内容についていろいろと意見を述べるなどし、第三者委員会がそれに応じるようでは、ステークホルダーに来する説明責任を果たすという第三者委員会の役割は到底期待できません。企業は、調査を受ける立場に徹すべきです。ただし、明らかな誤記や、勘違いに基づく事実認定を発見した場合は別であり、第三者委員会にその旨申告して、調査報告書の訂正を求めるべきことは当然といえます。これは調査報告書の記載の正確性の問題だからです。

調査報告書の記載内容について

ガイドラインでは、第三者委員会は、調査により判明した事実とその評価を、企業の現在の経営陣に不利となる場合であっても、調査報告書に記載するとされています(ガイドライン3頁)。

調査報告書の取扱いについて(ガイドライン3頁)

第三者委員会は、ステークホルダーに対する説明責任を果たす目的で設置する委員会であることから、調査結果(調査報告書)の提出を受けた企業は、これを遅滞なく、不祥事に関係するステークホルダーに対して開示することが原則であるとされています。
なお、ステークホルダーに対する説明責任を果たすという観点からは、関係者の役職名がわかれば足り、個人名は必ずしも必要ではない場合があります。第三者委員会の調査報告書が公表されることを踏まえると、実名の公表は、その者に対する名誉毀損となる可能性もあります。そのため、このような場合には、調査報告書の一部を非開示とし、あるいは匿名化する等の対応が考えられます。第三者委員会は、必要に応じて、調査報告書(原文)とは別に開示版の調査報告書を作成することができます。非開示部分の決定は、企業の意見を聴取して、第三者委員会が決定します。

第三者委員会について、この続きは今後の記事で解説していきます。

最後に

第三者委員会のメンバーを構成するときに弁護士がその主要なメンバーとなるのが通常です。それは弁護士は、その職務上、事実調査や法的な判断などを日頃から業務として行っているので、調査が正確に行われる蓋然性が高いということにあります。
企業で不祥事が発生し、第三者委員会設置を考えておられる、あるいは、不祥事が起きていなくても、不祥事の事前の回避を真剣に考えておられる企業経営者等の方は、早めに弁護士にご相談ください。

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外国人の雇用について

2024-12-20

グローバル化が進み、外国人の日本での就業が多く見られるようになっています。その一方で、文化の違いなどから日本人の生活者とのトラブルも見受けられます。
外国人が適正に就労できるよう、外国人の雇用についても厳格な規制が設けられています。
ここでは、外国人の雇用の際のルールについて解説します。

外国人の雇用が可能な在留資格

永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者は、日本人と同様にわが国で暮らしていますので、就労活動に制限はありません。これらは出入国管理及び難民認定法(入管法)別表第二の在留資格で、別表第一の在留資格のような制限はありません。

一方、別表第一の在留資格ですと、どのような在留資格の外国人でも雇用できるわけではありません。

以下の一定の活動を目的として在留する外国人(別表第一の一、第一の二、第一の五)は、その在留資格に定められた範囲で終了が認められます(入管法第19条第1項第1号)。
外交、公用、教授、芸術、宗教、報道、高度専門職、経営・管理、法律・会計業務、医療、研究、教育、技術・人文知識・国際業務、企業内転勤、興行、技能、特定技能、技能実習、特定活動(ワーキングホリデー等)

文化活動、短期滞在、留学、研修、家族滞在の資格(入管法別表第一の三、第一の四)は、日本での就労を予定していない資格なので、そのままでは就労が認められません。これらの資格の者がアルバイト等の就労活動を行う場合、資格外活動の許可を受けることが必要です(入管法第19条第1項第2号・第2項)。

外国人雇用状況の届出

事業主は、新たに外国人を雇い入れた場合又はその雇用する外国人が離職した場合には、以下の事項について確認し、当該事項を厚生労働大臣に届け出なければなりません(労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律第28条第1項、労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律施行規則第10条第1項)。

氏名,在留資格,在留期間,その者が在留資格を有しない者であって監理措置や仮滞在による許可を受けて報酬を受ける活動を行う者である場合(報酬活動許可者)はこれらの許可を受けている旨及び被管理者又は仮滞在許可者のいずれに該当するか,生年月日,性別,国籍の属する国・地域,資格外活動許可を受けている場合はその旨,中長期在留者(3か月以下の在留期間の者や短期滞在者等以外を指します。入管法第19条の3)の場合は在留カードの番号,特定技能の場合は特定産業分野,特定活動の場合はその特に指定された活動,住所,雇入れ又は離職に係る事業所の名称及び所在地,賃金その他の雇用状況に関する事項

事業主は、先述の氏名や在留資格、在留期間などの事項を、在留カードや旅券・在留資格証明書などにより確認しなければなりません(労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律施行規則第11条第1項)。
資格外活動の許可を受けて就労する場合、在留カードや就労資格証明書により確認する必要があります(同施行規則第11条第2項)。
特定技能や特定活動の在留資格の場合、指定書により確認する必要があります(同施行規則第11条第3項・第4項)。
被監理者や仮滞在許可者である報酬活動許可者の場合、監理措置決定通知書や仮滞在許可書により確認する必要があります(同施行規則第11条第5項)。

外国人雇用状況の届出は、新たに外国人を雇い入れた場合は雇い入れた月の翌月10日までに、その雇用する外国人が離職した場合は離職した日の翌日から起算して10日以内に、当該事業所の所在地を管轄する公共職業安定所(ハローワーク)に提出することにより行います(労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律施行規則第12条第1項)。

違反した場合の罰則

この届出をしなかったり、虚偽の届出をした場合、30万円以下の罰金に処されます(労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律第40条第1項第2号)。
法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、この違反行為をしたときは、その行為者を罰するだけでなく、その法人又は人も同様に処罰されます(同条第2項)。

まとめ

このように、外国人の雇用については確認するべき書類が多々あり、違反によっては刑罰を科されることになります。
外国人の雇用についてお悩みの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所へご相談ください。

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外国公務員贈賄罪

2024-12-17

経済のグローバル化に伴い、日本の企業が国外に進出することが増えました。その中では、外国の公務員が関わる事業もあります。その際に、外国の公務員から賄賂を求められることもあります。このようなことを許せば国際的な競争条件が歪められ、国際取引の公正な競争が害されてしまいます。これを防ぐために、外国公務員贈賄罪が定められています。

外国公務員贈賄罪の趣旨

国際商取引における外国公務員への不正な利益供与が問題となっていたため、1997年12月にパリにおいて、我が国を含む33か国により、「国際商取引における外国公務員に対する贈賄の防止に関する条約」が締結されました。

この条約では、締約国は、「ある者が故意に、国際商取引において商取引又は他の不当な利益を取得し又は維持するために、外国公務員に対し、当該外国公務員が公務の遂行に関して行動し又は行動を差し控えることを目的として、当該外国公務員又は第三者のために金銭上又はその他の不当な利益を直接に又は仲介者を通じて申し出、約束し又は供与することを、自国の法令の下で犯罪とするために必要な措置をとる。」(第1条第1項)、「外国公務員に対する贈賄行為の共犯(教唆、ほう助又は承認を含む。)を犯罪とするために必要な措置をとる。外国公務員に対する贈賄の未遂及び共謀については、自国の公務員に対する贈賄の未遂及び共謀と同一の程度まで、犯罪とする」(第1条第2項)、「自国の法的原則に従って、外国公務員に対する贈賄について法人の責任を確立するために必要な措置をとる」(第2条)などと定められています。

これを受けて、日本では、不正競争防止法において、「外国公務員等に対する不正の利益の供与等の禁止」が定められています(同法第18条)。

(外国公務員等に対する不正の利益の供与等の禁止)
第十八条 何人も、外国公務員等に対し、国際的な商取引に関して営業上の不正の利益を得るために、その外国公務員等に、その職務に関する行為をさせ若しくはさせないこと、又はその地位を利用して他の外国公務員等にその職務に関する行為をさせ若しくはさせないようにあっせんをさせることを目的として、金銭その他の利益を供与し、又はその申込み若しくは約束をしてはならない。
2 前項において「外国公務員等」とは、次に掲げる者をいう。
一 外国の政府又は地方公共団体の公務に従事する者
二 公共の利益に関する特定の事務を行うために外国の特別の法令により設立されたものの事務に従事する者
三 一又は二以上の外国の政府又は地方公共団体により、発行済株式のうち議決権のある株式の総数若しくは出資の金額の総額の百分の五十を超える当該株式の数若しくは出資の金額を直接に所有され、又は役員(取締役、監査役、理事、監事及び清算人並びにこれら以外の者で事業の経営に従事しているものをいう。)の過半数を任命され若しくは指名されている事業者であって、その事業の遂行に当たり、外国の政府又は地方公共団体から特に権益を付与されているものの事務に従事する者その他これに準ずる者として政令で定める者
四 国際機関(政府又は政府間の国際機関によって構成される国際機関をいう。次号において同じ。)の公務に従事する者
五 外国の政府若しくは地方公共団体又は国際機関の権限に属する事務であって、これらの機関から委任されたものに従事する者

規制の内容

「国際的な商取引」とは、国際的な商活動を目的とする行為、すなわち貿易及び対外投資を含む国境を超えた経済活動に係る行為を意味するとされています。

「営業上の利益」とは、事業者が営業を遂行していく上で得られる有形無形の経済的価値その他の利益一般とされています。「不正の利益」とは、公序良俗又は信義則に反するような形で得られる利益とされています。

取引の獲得や許認可の取得を目指して利益供与をするだけでなく、通関等の手続の遅延等の差別的な不利益な取り扱いを避ける目的で利益を供与することも該当します。

一方で、支払を行わないと暴行されたり殺害される可能性がある場合など、生命・身体に対する危険の回避を主な目的として、やむを得ずに行った利益供与等は、「不正の利益」を得る目的がないと判断される可能性があります。
参照 「外国公務員贈賄罪Q&A」

この規定に違反したときは、違反行為をした者は、10年以下の懲役若しくは3000万円以下の罰金に処し、又はこれらを併科されます(不正競争防止法第21条第4項第4号)。日本国内で行われた場合だけでなく、刑法第3条の例に従い、日本国外において違反行為をした日本国民についても適用されます(同条第10項)。
法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関してこの違反行為をしたときは、法人も10億円以下の罰金刑を科されます(同法第22条第1項第1号)。

まとめ

このように、外国の公務員に対して利益供与をすると、行為者も企業も重い処罰を受けることになります。
企業の国際活動についてお悩みの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所へご相談ください。

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