【事例紹介】風俗営業法違反での行政処分を放置していた結果逮捕された事例②

【事例】
東京・歌舞伎町のコンセプトカフェで未成年の従業員に接待させたとして、警視庁は、店の経営者の男Aと店長の女Bの両容疑者を風営法違反(無許可営業)などで逮捕し、26日に発表した。
いずれも容疑を認めているという。
少年育成課によると、両容疑者は共謀して(中略)コンセプトカフェXで、未成年の少女(17)を女性従業員として雇ったうえ、都公安委員会から風俗営業の許可を得ずに、客の30代男性に酒をついだり、話し相手をしたりするなどの接待をさせた疑いがある。
男は、この女性従業員が未成年と知りながら雇っていたといい、「店で未成年を5~6人ほど雇っていた」と供述しているという。
店は(中略)、これまでも無許可の接待行為について行政指導を受けていた。
(朝日新聞DIGITAL 令和6年9月26日「歌舞伎町のコンカフェで無許可接待、従業員に未成年も 警視庁が摘発」より一部抜粋)

前回の記事では風営法違反の規制内容について解説させていただきました。
今回の記事では、紹介した事例のように風営法違反が明らかになった場合の手続きの流れや、風営法違反による行政指導を無視した場合について詳しく解説させていただきます。

参考記事 風営法の違反とは:弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所

1 風営法違反が明らかになった場合の手続き

風営法違反が明らかになった場合には、行政上の手続きと刑事上の手続きの2つが考えられます。
風営法違反における処分には「刑事処分」と「行政処分」の2つがありますが、令和4年での処分状況をみると、刑事処分に該当する検挙件数は874件、一方の行政処分の件数は3,820件と、圧倒的に行政処分の方が多くなっています。
このように風営法違反が明らかになっても直ちに、刑事処分を受けるわけではなく、行政上の手続きを経る可能性の方が高いといえます。

行政上の手続きについて簡単に説明すると、「行政処分」は、行政庁(公安委員会)が適正な営業をするよう指示監督するための処分行為です。
違反行為が発覚したときに報告徴収、立入検査を行い、行為の悪質性を考慮した上で行政指導または行政処分を行います。
立入検査には警察が行う捜索とは異なり強制力はありません。ただしこれを拒否すれば刑事処分に移行する可能性も、拒否しないことが得策と言えます。
ですので風営法違反の発覚後の端緒としては内容の悪質性にもよりますが、まず検査に関する立入検査の通知が来ることからが多いように思います。

行政指導と行政処分の違いは「行政処分」とは、法律の定めに従い、一方的な判断に基づいて、国民の権利や義務に直接影響を及ぼす行為のことをいいます。
それに対して行政指導は、一方的に強制するものではなく「このようにしてください」というようなお願いベースのものになります。
本件事例における行政指導は「これまでも無許可の接待行為について行政指導を受けていた」という報道の内容から、調査などから無許可の風俗営業が明らかになり
「風俗営業にあたるのでちゃんと許可取ってくださいね」
といった内容の行政指導を受けていたのではないかと推測されます。

風営法違反をした場合の行政処分には、軽いものから順に「許可の取り消し」「営業停止」「指示処分」の3つの処分があります。
多くのケースは「指示処分」に該当しますが、その処分内容に従わない場合には「許可の取り消し」「営業停止」といった重い処分が科されることになります。

2 行政指導に従わないとどうなるのか

先ほど説明したように、風営法違反が明らかになっても余ほど悪質なケースを除けば最初は行政指導を受けるにとどまることが多いです。
しかしながらそれに従わないでいれば、営業に影響の出る行政処分を受けたり、刑事処分に移行したりすることになります。
最悪の場合、事例のように経営者が逮捕されることになります。
行政処分を受けた場合や、逮捕された場合には公表や報道により社名や店舗名が明らかになり、社会的信用を失うことになります。
経営者が身体拘束を受けることで経営の継続が困難になる場合もあります。
これらの不利益は事後的に回復することが容易ではありません。

当然違法行為をしないことが大前提ですがもしも違法行為を指摘され行政指導を受けた場合には、違法な状態を改善するために早期の対応をとる必要があります。
行政指導への対応は、まず事実関係を正確に判断した上で対応が必要であれば早期に適切な対応をとることが重要です。
専門家である弁護士に早期に相談されることをおすすめします。

あいち刑事事件総合法律事務所ではこれまで多くの刑事事件を扱ってきた経験やノウハウを生かして、刑事事件になる前段階である行政指導の段階から問題解決に向けてサポートをさせていただきます。
行政指導や行政による調査が行われてお困りの経営者の方は是非一度ご相談ください。

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