【事例】
東京・歌舞伎町のコンセプトカフェで未成年の従業員に接待させたとして、警視庁は、店の経営者の男Aと店長の女Bの両容疑者を風営法違反(無許可営業)などで逮捕し、26日に発表した。
いずれも容疑を認めているという。
少年育成課によると、両容疑者は共謀して(中略)コンセプトカフェXで、未成年の少女(17)を女性従業員として雇ったうえ、都公安委員会から風俗営業の許可を得ずに、客の30代男性に酒をついだり、話し相手をしたりするなどの接待をさせた疑いがある。
男は、この女性従業員が未成年と知りながら雇っていたといい、「店で未成年を5~6人ほど雇っていた」と供述しているという。
店は(中略)、これまでも無許可の接待行為について行政指導を受けていた。
(朝日新聞DIGITAL 令和6年9月26日「歌舞伎町のコンカフェで無許可接待、従業員に未成年も 警視庁が摘発」より一部抜粋)
今回は風営法違反で逮捕された事例を基に、風営法ではどのような規定があるのか、規定違反に関する行政指導を無視した場合にどうなるかについて解説します。
この記事では風営法の規定について、次回の記事では風営法違反の行政指導の意義や、それを放置することによる影響を解説します。
1 風営法の規定について
風営法は正式名称を「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」といいます。
この記事ではこの正式名称ではなく、風営法と略称を用いて解説させていただきます。
風営法では法律名にもある通り、「風俗営業」に関する法律になっています。
そして「風俗営業」については風営法第2条に規定があります。
第二条この法律において「風俗営業」とは、次の各号のいずれかに該当する営業をいう。
一キヤバレー、待合、料理店、カフエーその他設備を設けて客の接待をして客に遊興又は飲食をさせる営業
二喫茶店、バーその他設備を設けて客に飲食をさせる営業で、国家公安委員会規則で定めるところにより計つた営業所内の照度を十ルクス以下として営むもの(前号に該当する営業として営むものを除く。)
三喫茶店、バーその他設備を設けて客に飲食をさせる営業で、他から見通すことが困難であり、かつ、その広さが五平方メートル以下である客席を設けて営むもの
四まあじやん屋、ぱちんこ屋その他設備を設けて客に射幸心をそそるおそれのある遊技をさせる営業
五スロットマシン、テレビゲーム機その他の遊技設備で本来の用途以外の用途として射幸心をそそるおそれのある遊技に用いることができるもの(国家公安委員会規則で定めるものに限る。)を備える店舗その他これに類する区画された施設(旅館業その他の営業の用に供し、又はこれに随伴する施設で政令で定めるものを除く。)において当該遊技設備により客に遊技をさせる営業(前号に該当する営業を除く。)
通常の飲食店との違いでは風営法第2条1号の「客の接待をして客に遊興または飲食をさせる営業」であるかが重要な違いになります。当然「風俗営業」にあたるかは、お店の実態によって判断されます。
したがって表向きは「居酒屋」としていても、実際にはキャバクラのように、女性に接客をさせているようであれば、「風俗営業」を行っていると判断されます。
2 上記事例で問題になった風営法違反
記事の内容からの推測になりますが記事で摘発された店舗については、
①風俗営業の許可を得ずに営業したこと(無許可営業)
②18歳未満のものを雇用していたこと(年少者雇用)
の2点で風営法の規定に違反していたと考えられます。
以下でそれぞれの規定に関して説明させていただきます。
①無許可営業
風営法3条で風俗営業を行う場合は、風俗営業の種別に応じて許可を受けなければならないと定められています。
先ほど説明したように「風俗営業」を行っているかは、お店の業務の実態により判断されます。
実際には「風俗営業」行っているのに、「風俗営業」を行うための許可を取っていない場合(例:飲食店営業の許可しか取っていない)には、無許可営業にあたります。
②年少者使用
「風俗営業」に該当するお店では、18歳未満の者に客の接待をさせることを禁止しています(風営法第22条3号)。
これも先ほどと同様に、表向きは居酒屋のように飲食店を装い、実際には風俗営業にあたるような営業をして、その営業に際して18歳未満の者に接待をさせた場合には、この規定に違反することになります。
このように営業内容が風俗営業にあたるかによって、営業の際に必要な許可や働かせてよい者の年齢規制が変わってきます。
このような店舗を開業される経営者の方や風営法に関して調査や捜査を受けられた経営者、労働者の方は、風営法に詳しいあいち刑事事件総合法律事務所の弁護士に是非一度ご相談ください。
次回の記事では風営法違反が明らかになった場合の手続きの流れや、行政処分を無視してしまった場合の流れについて解説させていただきます。
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