Archive for the ‘不祥事・危機管理’ Category

契約書の重要性⑧

2025-03-05

【事例】
Aさんは、山口県下関市で飲食業を営む会社であるⅩ社の従業員です。
Ⅹ社では、来年度からインターネットでの通販を利用して自社のレトルト食品を日本全国に販売することを目指しています。
しかし、Ⅹ社は、これまで自社店舗での販売と地元の小売店への販売しかしていませんでした。
そこで、このような事業拡大にともなって生じる課題に対応するために、Ⅹ社では法務部門を新設することになりました。
そして、Aさんが新設される法務部門の責任者となりました。
X社の法務部門では、事業拡大の際に様々な業者と取り交す契約書のチェックも業務となっています。
しかし、Aさんは弁護士資格を有しているわけではありませんし、他の社員も弁護士資格は有していません。
また、X社にはこれまで顧問弁護士もいませんでした。
そこで、Aさんは、今後予想される契約書チェック業務に対応するために、あいち刑事事件総合法律事務所に相談することにしました。
(事例はフィクションです。)

1 はじめに

前回の記事では、契約書のタイトルについてみてきました。

今回は、印紙税や収入印紙について解説をしていきます。「印紙」と聞いたことはあっても,正確に説明できる人は少ないのではないのでしょうか。

2 印紙税とは

印紙税という税金を聞いたことがあるでしょうか。
印紙税とは、取引をした場合に作成する契約書や領収書などといった文書を作成した場合に課される税金で、印紙税法という法律に規定されています。
印紙税法の別表第一には、契約書や領収書の他にも、定款や株券など印紙税が課される文書が20種類定められています。
また、具体的な印紙税額は契約金額等によって変動します。
具体的な印紙税額は印紙税法に規定されていますが、国税庁のホームページでも確認することができます。

もっとも、そのような文書が全て印紙税の対象となるわけではありません。
例えば、不動産に関する契約書や消費貸借に関する契約書については、契約金額が一万円未満であれば対象外となります(印紙税法別表第一番号1)。
また、領収書であれば領収金額が5万円未満であれば対象外となります(印紙税法別表第一番号17)。

3 収入印紙とは

このように課される印紙税をどのように納めるかというと、収入印紙という郵便切手のようなもので納めます。
収入印紙は、郵便局やコンビニエンスストアなどで購入することもできます。

収入印紙は、切手と同じ要領で貼り付けることになります。
契約書や領収書のどこに貼らなければならないということまでは法律で定められていませんので、余白部分に貼り付ければ問題はありません。
ただし、貼り付けるのはどこでも構いませんが、消印はしなければなりません(印紙税法8条)。

4 印紙税を怠った場合の効果

それでは、印紙税の納付を怠ってしまった場合、どうなるのでしょうか。
印紙税の納付を怠った場合、過怠税を徴収されることになります(印紙税法20条)。
過怠税の金額は、「納付しなかつた印紙税の額とその二倍に相当する金額との合計額」とされていますから、本来の印紙税の3倍の額を納めなければならなくなります(印紙税法20条1項)。

もっとも、印紙税を怠った場合でも、印紙税を納めなければならない契約書の効力が否定されるわけではありません。
契約自体は有効に成立することになります。

今回は、収入印紙が必要かどうか、怠った場合にどうなるのかなどについて解説していきました。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件に関わってきた経験を活かし、そもそも会社内でのトラブルを回避するための対応・アドバイスにも力を入れています。
契約書の確認をしてほしい、継続的に弁護士からアドバイスを受けたいなどといったご要望の方も、一度、あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

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廃棄物処理法の許可③

2025-02-28

【事例】
Aさんは、京都市内で産業廃棄物の収集運搬を行う会社であるⅩ社に長年勤めていました。
Aさんは、家庭の事情をきっかけに、それまで勤めていた会社を退職し、地元である滋賀県高島市で、自ら産業廃棄物の収集運搬を行う会社を立ち上げようと考えました。
AさんはX社に勤めていた経験から、役所で手続きが必要だったり、細かなルールが定められていたりするのは知っていましたが、具体的にどのような手続きをすればいいのかまではわかりませんでした。
そこで、Aさんは、今後必要な手続きなどを相談するために、あいち刑事事件総合法律事務所に相談することにしました。
(事例はフィクションです。)

1 はじめに

前回の記事では、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下では「廃棄物処理法」といいます。)が、事業を細分化し、許可ごとに行える事業を分けたうえで、事業を行う会社にはその事業に対応する許可を取ることをお伝えしました。

そして、廃棄物処理法が細分化している事業の種類のうち、廃棄物の種類に着目した分類と業態に着目した分類を見てきました。

今回は、許可の条件についてみていきます。

2 産業廃棄物収集運搬業許可の条件

産業廃棄物収集運搬業許可を得るためには、十分な施設や能力があるかといった条件(廃棄物処理法14条5項1号)や一定の者に許可を与えないとする欠格要件(廃棄物処理法14条5項2号)といった条件が定められています。

参考 東京都の産業廃棄物収集運搬業などの許可申請・届出等

⑴ 施設・能力に関する条件
廃棄物処理法は、「その事業の用に供する施設及び申請者の能力がその事業を的確に、かつ、継続して行うに足りるものとして環境省令で定める基準に適合するものであること」という条件を設定しています(廃棄物処理法14条5項1号)。
この「環境省令で定める基準」というのは、廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則10条に定められています。
その内容は次のとおりです。

一 施設に係る基準
イ 産業廃棄物が飛散し、及び流出し、並びに悪臭が漏れるおそれのない運搬車、運搬船、運搬容器その他の運搬施設を有すること。
ロ 積替施設を有する場合には、産業廃棄物が飛散し、流出し、及び地下に浸透し、並びに悪臭が発散しないように必要な措置を講じた施設であること。
二 申請者の能力に係る基準
イ 産業廃棄物の収集又は運搬を的確に行うに足りる知識及び技能を有すること。
ロ 産業廃棄物の収集又は運搬を的確に、かつ、継続して行うに足りる経理的基礎を有すること。

⑵ 欠格要件
例えば、一定の「心身の故障によりその業務を適切に行うことができない者」(廃棄物処理法14条5項2号イ、7条5項4号イ)、「破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者」(廃棄物処理法14条5項2号イ、7条5項4号ロ)、一定の前科がある者(廃棄物処理法14条5項2号イ、7条5項4号ハ、ニ)、以前に廃棄物処理法や関連法の許可を取り消されたことがある一定の者(廃棄物処理法14条5項2号イ、7条5項4号ホ)や処分に先立って事業の廃止の届出をした一定の者(廃棄物処理法14条5項2号イ、7条5項4号ヘ)、「暴力団員等」やその支配下にある者(廃棄物処理法14条5項2号ロ、ヘ)などです。
また、具体的に法律に例示されているものにかかわらず、「その業務に関し不正又は不誠実な行為をするおそれがあると認めるに足りる相当の理由がある者」も該当します(廃棄物処理法14条5項2号イ、7条5項4号チ)。
他にも、こういった方々が、法定代理人である未成年者(営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない場合)や(廃棄物処理法14条5項2号ハ)、役員などである法人(廃棄物処理法14条5項2号ニ)も含まれます。

今回は、廃棄物処理法の許可について解説していきました。この続きは今後の記事で解説していきます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件に関わってきた経験を活かし、そもそも法律に違反しないための対応・アドバイスにも力を入れています。
許認可申請についてアドバイスがほしい、継続的に弁護士からアドバイスを受けたいなどといったご要望の方も、一度、あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

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施術所の開設手続き①

2025-02-25
鍼灸院で背中の灸治療を行う

【事例】

Aさんは、一念発起して、自宅のある奈良県天理市内で、資格を取得して鍼灸整骨院を開業しようと考えました。
Aさんは、鍼灸整骨院を開業するのには資格がいるというのは分かっていましたし、資格取得のために通い始めた学校も卒業が近付いてきました。
また、患者として鍼灸整骨院に通っていた経験から、健康保険も使える場面もあるようだということも知っていました。
しかし、具体的にどのような手続きをする必要があるのかまでは分かっていませんでした。
そこで、Aさんは、今後必要な手続きなどを相談するために、あいち刑事事件総合法律事務所に相談することにしました。
(事例はフィクションです。)

1 はじめに

Aさんが鍼灸整骨院を開業に必要となる準備としては、①業務を行う資格を取得すること、②開業に必要な届出をすること、③健康保険が使えるようにする手続きに分けて考えるとよいでしょう。
まずは、①資格から解説していきます。

2 必要な資格

⑴ 定められている法律
鍼灸整骨院を開業するのにかかわる資格としては、Ⓐ柔道整復師の資格、Ⓑはり師の資格、Ⓒきゅう師の資格が考えられます。
Ⓐ柔道整復師の資格については、柔道整復師法という法律で資格取得や業務に関する規律が規定がされており、Ⓑはり師やⒸきゅう師の資格については、ん摩マツサージ指圧師、り師、ゆう師等に関する法律(以下では、各資格の頭文字をとって「あはき法」といいます。)で資格取得や業務に関する規律が規定されています。

参考報道:産経新聞 鍼灸、接骨など不正広告が横行 厚労省、年内にも指針作成 

⑵ 柔道整復師の資格
柔道整復師となるためには、柔道整復師国家試験に合格して、柔道整復師の免許を得なければなりません(柔道整復師法3条)。
この試験は、柔道整復師として必要な知識及び技能を問うものです(柔道整復師法10条)。
誰でも受験できるわけではなく、高校を卒業するなどして大学に入学することができる人で、かつ、「文部科学省令・厚生労働省令で定める基準に適合する」学校や柔道整復師養成施設で、3年以上の期間、「解剖学、生理学、病理学、衛生学その他柔道整復師となるのに必要な知識及び技能を修得したもの」でなければ受験できません(柔道整復師法12条1項)。

また、試験に合格したとしても、一定の人に対しては、免許が与えられないことがあります(柔道整復師法4条)。
これを欠格事由といい、具体的には、「心身の障害により柔道整復師の業務を適正に行うことができない者として厚生労働省令で定めるもの」(同条1号)、「麻薬、大麻又はあへんの中毒者」(同条2号)、「罰金以上の刑に処せられた者」(同条3号)、それ以外にも、「柔道整復の業務に関し犯罪又は不正の行為があつた者」(同条4号)です。

⑶ はり師ときゅう師の資格
はり師やきゅう師となるためには、はり師国家試験やきゆう師国家試験に合格して(あはき法2条1項)、はり師免許やきゆう師免許を得なければなりません(あはき法1条)。
この試験も誰でも受験できるわけではなく、高校を卒業するなどして大学に入学することができる人で、かつ、「文部科学省令・厚生労働省令で定める基準に適合する」学校や養成施設で、3年以上の期間、「解剖学、生理学、病理学、衛生学その他あん摩マツサージ指圧師、はり師又はきゆう師となるのに必要な知識及び技能を修得したもの」でなければ受験できません(あはき法2条1項)。

また、はり師やきゅう師についても欠格事由が定められており、内容も柔道整復師法4条と概ね同じものです(あはき法3条)。

まとめ

今回は、柔道整復師やはり師、きゅう師の資格について解説していきました。この続きは今後の記事で解説していきます。

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「営業秘密」の裁判例解説②

2025-02-21
なぜ無罪となったのか

 本記事では、横浜地裁平成26年(わ)1529号平成28年10月31日判決について解説します。この判決については、控訴上告されていますが、有罪無罪の結論自体に変更はありません。

前回までの解説

 本件は、被告人が不正競争防止法で禁止されている営業秘密の領得を犯したものとして起訴されたものの、一部について有罪、一部について無罪となった事件です。このような結論が出ている判決をよく読むと、なぜ一部については有罪になるのに他は無罪となるのかが解ります。それが解ると、営業秘密を守るためには企業がどうするべきなのかも解ります。

参考 不正競争防止法違反事件の解説

 本件を簡単にいうと、自動車会社A社で働いていた被告人は、サーバーコンピューターに保存された営業秘密データを複製して持ち出したというデータ領得行為と営業秘密が含まれた教本を持ち出した複製して持ち出したという教本領得行為で起訴されました。

 データ領得行為については、営業秘密であるデータを不正の目的で持ち出したものだと認定されて有罪となっています。一方、教本領得行為については、秘密として管理されていたとはいえないとして無罪となりました。

 では、なぜデータは営業秘密なのに、教本は営業秘密と認められなかったのでしょうか?

 前回の記事では、データ領得行為について有罪となった過程について説明しました。その記事は以下のリンクから確認できます。

 今回は、教本領得行為が無罪となった理由を確認します。

 結論からいうと、領得された教本が営業秘密に該当するとはいえないという理由から無罪となりました。

 では、なぜ営業秘密と認定されなかったのでしょうか。確認していきます。

(1)裁判所の認定によると、教本は次のような管理の仕方で保管されていました。

・教本は、閲覧コーナーに、他の本と共に、表紙の全部又は一部が見えるように展示されていた。

・閲覧コーナーには監視員はおらず、周囲に監視をすることが可能な職員もいなかった。

・教本を紐や鎖でオープンラックとつなげるような措置もなく、閲覧するために氏名等を記載するなどの手続もなく、館内に入った人は誰でも自由に手に取って閲覧することができ、メモをすることも禁止されていなかった。

・教本は若手従業員の育成講座のテキストとして使用され、受講者には終了後に教本が配布され、持ち帰りも許されていた。

(2)本件教本には、社外秘であることを表す文字のスタンプが押されていた。

(3)(1)の事情を踏まえると、(2)があっても営業秘密として合理的な方法で管理されていたとはいえない。

 以上の理由から、教本についてはそもそも営業秘密と認めるだけの管理がされていないことから営業秘密として認められなかったのです。

 データ領得行為と教本領得行為とで結論が異なった理由から、営業秘密として保護を得るための管理体制について一定の方向性を考えることができます。

 まず当然のことながら、社外秘であることを示すマークなりスタンプなりは最低限必要なのでしょうが、それだけで営業秘密と取り扱ってもらえるわけではないようです。

 誰がそれを見てよいのか明確に示すこと、誰が確認したのか記録を残すことができるようにすること、他の秘密でないものと適切に分けて管理すること、こういった事情が必要になってくるといえます。

具体的な事件や営業秘密の保護・整理について担当部門の方はこちらからお問い合わせください。

建設業法に違反して行政指導を受けた場合の対応②

2025-02-07

【事例】
X社はY県から建設業の許可を得て住宅の工事等を行う会社です。
X社では多くの仕事を受注するために下請けに対して、非常に厳しい工期を定めて工事を任せるということを常習的に行っていました。
そのことが内部告発により、Y県の担当者に知れることになり建設業法違反により立ち入り調査が行われました。
立ち入り調査の結果著しく短い工期を強いていたとしてX社は、工期の設定に関し是正するように行政指導を受けました。
突然行政指導を受けたことに驚いたX社のA社長は今後の対応に関してあいち刑事事件総合法律事務所の弁護士に相談しました

前回の事例では行政指導やその後に続く行政処分の意義について解説しました。

今回の記事では事例のような事態が生じた場合における対応について解説します。

1 立入検査への対応

立入検査は建設業法違反が行政機関側に発覚した場合に行われる場合があります。
立入検査が行われる場合には建設業法に基づく立ち入り検査を行う旨の通知が届くことがあります。
立ち入り検査が実施されると、国土交通省の検査職員が事業所に来ますので、検査当日に関係資料を確認できるよう事前に準備をしておく必要があります。

対応についても注意が必要です。
まず虚偽の説明は決してするべきではありません。発覚した場合に悪質性が高いとして直ちに行政処分を受ける場合があるからです。
また書類の偽造などは刑事罰が科される可能性が高いので決してしてはいけません。
その上で、立入検査時の質問対応が重要になります。
建設業法違反の疑いがかかっているといっても、疑われている事実に誤りがある場合や法令解釈に誤りがある場合もあります。
その場合は適切に反論することで疑いが晴れて行政指導や行政処分をを受けずに済む場合もあります。
法律や事実認定のプロである弁護士に立会いを依頼して、検査時の質問に適切に対応できる体制を整えておくことをおすすめします。

2 行政指導に対する報告書の作成

立入検査があった後に建設業法違反の事実が明らかになった場合には、違反の有無や程度により異なりますが、国土交通省から再発防止に向けた勧告や改善措置の内容を書面で報告するように言われることがあります。
これを行政上の勧告と言います。これに対しても適切な対応が求められます。
行政側との担当者とも協議しながら必要十分な内容で改善状況報告書が作成できるように、また必要な資料を準備できるように経験豊富な弁護士が対応することが望ましいでしょう。

3 再発防止策の策定のサポート

再発防止策のサポートについては今後同じような法令違反がないようにすることはもちろん、典型的な事例で法令違反がないように対策することが望ましいといえます。
その際に参考になるのが国土交通省が公開している、建設業法令順守ガイドライン(https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/1_6_bt_000188.html)です。
これを基に会社の法令チェック体制や従業員への指導マニュアルを改訂することで再発防止につながるといえます。
法令を扱うということで法律の専門家にアドバイスしてほしい、指導マニュアル等の作成を依頼したいという場合は是非一度弁護士にご相談ください。

4 処分に対する審査請求

行政指導を受けてもその内容に問題があると考える場合には、敢えて行政指導に従わない場合もあるかもしれません。
その上で行政処分を受けてしまった場合には、その処分に対して争うことになります。
処分内容に納得がいかない場合には、再調査請求を検討したり、審査請求という形で不服申し立てをすることが考えられます。
審査請求をする場合には、当該処分内容がどのような理由で(法律解釈に問題があるのか、事実認定に問題があるのか、処分が重すぎるのかなど)不当であるかを法的根拠を持って主張する必要があります。
この場合も法律のプロである弁護士に相談することが望ましいといえます。

このように行政指導を受けた場合、建設業法違反が指摘された場合に必要な対応は非常に多岐にわたります。
このような事態になってお困りの方、行政指導を受けることがないように会社の体制を見直したい方は是一度ご相談ください。
建設業法違反の事例も多く扱ってきたあいち刑事事件総合法律事務所の弁護士が初回無料で対応させていただきます。
継続的な対応をご希望の方には顧問契約も準備しております。

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会社内で起きた事件・犯罪への対応

2025-01-24

企業内部での犯罪は、被害者が実害・被害感情を被るだけでなく、従業員の安心感も損ない、職場への帰属意識を失い、不信感を抱くことになりかねません。また、事件が報道され、被疑者の実名だけでなく所属企業名まで出されてしまうと、起業まで信用を失いかねません。ここでは、企業内で起きうる犯罪について解説します。

窃盗

企業の備品だけでなく、従業員個人の荷物が被害品となることもあります。
窃盗罪が成立すると、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処されます(刑法第235条)。
更衣室内のロッカーや共有スペースなどで起きると、犯人の特定が困難となります。また、これが取り締まられずにいると、やっても問題ない、バレないと思われ、他の者までこうした行為を行いかねません。これは職場内全体のモラルの低下を招き、従業員の安心感や企業への帰属意識を崩壊させかねません。

盗撮

社内のトイレの個室や、更衣室のロッカーで行われることが多いですが、皆がいる執務室でデスクの下にカメラを仕掛けている場合などもあります。スマートフォンなどで直接撮影するほか、スマートフォンやカメラを仕掛けて撮影する場合もあります。
盗撮は、多くが「性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律(性的姿態撮影等処罰法)」の性的姿態等撮影罪(同法第2条第1項)に該当し、3年以下の懲役又は300万円以下の罰金に処されます。スマートフォンを差し向けたりカメラを仕掛けたが撮影できなかった場合は、未遂罪となります(同条第2項)。この法律違反には該当しなかったとしても、都道府県の迷惑防止条例違反に該当する可能性があります。東京都の迷惑防止条例違反となった場合、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処されます(東京都公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例第8条第2項第1号第5条第1項第2号)。他の道府県の迷惑防止条例でも同様の規定が設けられています。
更衣室内のロッカーやトイレなどで行われた場合、建造物侵入となり、その建物の管理者(店長などがあたります)も被害者となります。建造物侵入罪が成立した場合、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処されます(刑法第130条)。この場合、建造物侵入罪が犯罪の手段となり性的姿態等撮影罪等が結果となる関係にある場合が多く、このような場合は牽連犯といって、重い刑により処断されます(刑法第54条第1項)。

盗撮が発覚したときには既に被害者が複数にのぼっていることも多々あります。逮捕した直近の事件では被害者が特定されていることが多いでしょうが、それ以前のものとなると画像があっても被害者が特定できず、立件できない場合もあります。

横領

企業の金銭を勝手に費消することが考えられます。金銭を占有、つまり金銭を管理する権限がある場合は業務上横領罪(刑法第253条)が成立しますが、権限がない場合は窃盗(刑法第235条)など別の種類の犯罪に該当します。
発覚した段階では、被害金額が数千万円に達している場合もあります。また、横領は決算書類の改ざんなどにより行われますが、他の従業員が気付ける状況にもかかわらず放置されている様を見て、他の従業員も手を付け始めることも多々あります。このような状況が放置されれば、横領が蔓延し、職場のモラルは崩壊してしまいます。
被害が莫大だと報道され、企業内統治が崩壊しているとみなされ、企業の社会的信用が低下するおそれもあります。

報道事例:元職員による業務上横領が刑事裁判となった事例

まとめ

上記の違法行為を完全に防ぐことは容易ではありません。しかし、各項で述べたように、このような犯罪が行われることを放置していれば、更なる犯罪を招き、経済的損失だけでなく、従業員のモラルや企業への帰属感も損なわれ、企業統治が崩壊しかねません。
企業内部でも監視カメラの導入を検討するほか、書類チェックなどを厳として行い、コンプライアンスを高めていく必要があります。
企業内の犯罪防止、コンプライアンス向上についてお悩みの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所へご相談ください。

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会社が被害者となる窃盗事件② 加害者が事実を認めない場合の対応

2025-01-21

【事例】
X社は金属加工業を営んでおり、会社内の倉庫には大量の銅線や鉄線を保管していました。
X社では3か月ほど前から倉庫内に保管している金属線の在庫の記録と実際にある金属線の数が合わないということがありました。
X社を経営するAさんは顧問弁護士である,あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士に相談して、倉庫の出入り口に防犯カメラを設置しました。
そうすると、誰かが倉庫内に出入りしている様子が写っており、その日時とX社の勤務表を照らし合わせると社員であるBさんが怪しいのではないかという結論に至りました。
弁護士協力の下、X社が事実調査をしたところBさんは自分はそのような犯行はしていないと事実を認めませんでした。
(事例はフィクションです)

参考プレスリリース NEXCO東日本 グループ会社元社員による着服について

1 捜査機関に協力してもらうことを検討しましょう

以前の記事でも本事例と同様の窃盗事件への対応について解説しましたが、本事例では犯人と目される人物が事件への関与を否認している点が異なります。
刑事事件でもそうなのですが、容疑者が事実を認めない場合には調査(捜査)を行うことがより困難になります。
本人が事実を認めない限りは、犯人が本人に間違いないことを本人の話以外で裏付ける必要があるためです。
今回の事例でもまずは弁護士など事件調査に精通した専門家に相談して証拠の収集を行う、関係者からの話を聞くといった対応が求められることになります。
その上で、証拠上は犯人と目される人物が事実を一向に認めない場合や証拠上犯人が絞り切れないというような場合には、警察に被害を届け出て捜査を行ってもらうことを検討するべきです。

2 捜査機関への協力を依頼するメリットとデメリット

しかしながら捜査機関に被害を訴えるとなれば何となく抵抗を感じる方も多いのではないのでしょうか。
次に捜査機関に協力を依頼すること、具体的には被害を訴えて捜査を行ってもらうことのメリットとデメリットについて解説させていただきます。
メリットの1つ目は、警察が介入することでより専門的な捜査手法を用いた捜査が可能になり事案の究明の可能性が高くなることです。
警察は一般人では行えないような指紋の採取及び鑑定や防犯カメラ映像を分析し人物の同一性の鑑定をするなど専門的捜査を行うことが可能になります。
そのため会社や弁護士の調査力だけでは行えなかった捜査も行うことができ、より決定的な証拠を収集できる場合があります。
メリットの2つ目は実際に犯行をしていた犯人に対して自白をするようにプレッシャーをかけることができる点です。
警察が介入した場合よりしっかりと捜査が行えることに加え、犯人が発覚した場合に逮捕される可能性があります。
事例の場合でも仮に社内に犯人がいて、警察による捜査が開始されたことを知れば犯人の特定や逮捕される可能性が高くなったとして正直に事実を認めようとする可能性が高くなるといえます。
少なくとも警察が介入したと知ってさらに罪を重ねる犯人はいないでしょう。

反対にデメリットとしては警察の動きを社内でコントロールすることが難しいことです。
当然ですが警察の使命は事案の究明です。
犯人が分かれば警察の都合で逮捕するかを決める場合が多いですし、捜査手法について会社内で事件がばれないように配慮してほしいと要望してもおそらく聞き入れてはくれないでしょう。
事案の内容によっては社内に広まることが事件の被害よりも経営に与える影響が大きくなることもあるでしょう。
また犯人が誰かによっては逮捕されてしまえば会社の経営に打撃があり、内内の処分で済ませた方が傷が浅くなるケースもあるでしょう。
このような場合には警察に協力してもらうことがかえって会社の不利益につながることもあるのです。
捜査機関に協力を求めるかどうかは以上のメリットとデメリットを慎重に考慮して判断するべき問題なのです。

3 まとめ

会社が被害者となる事件が発生した場合の対応、特に事例のように犯人が社内いる可能性が高いケースでの対応は一筋縄ではいきません。
事件の解決に加えて将来の会社への影響も考慮しながらの対応が求められます。
あいち刑事事件総合法律事務所は調査会社とも連携しながら刑事事件に精通した弁護士が事案に対する最良の解決に向けてお手伝いさせていただきます。
また事件が発生する前の予防法務についても顧問契約にて対応させていただいております。
初回相談は無料ですので、まずは一度ご相談してみてください。

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企業経営者が知っておくべき「司法取引」について②

2025-01-17

前回の記事では、司法取引の概要と対象となる犯罪について解説させていただきました。
会社経営を行う上で密接に関連する法令のほとんどが司法取引の対象犯罪になることをご理解いただけたかと思います。
そのため刑事事件の当事者となった場合には、司法取引を実施するかについて検討しなければならないことも予想されます。
今回の記事では、司法取引の手続きの流れやその対応について解説させていただきます。

1 司法取引の流れ

日本で導入される司法取引の概要については前回の記事で解説させていただいた通りです。
改めて説明しますと、被疑者・被告人と検察官が、一定の犯罪について、弁護人の同意があることを条件として、被疑者・被告人が他人の刑事事件の解明に協力するのと引き換えに、検察官が被疑者・被告人の事件について有利な取扱いをすることなどを合意する制度です。
前提として対象者に対して弁護人が選任されていて、弁護人の同意があることが条件になっています。

司法取引の流れは大まかにいえば,

①弁護人(被疑者・被告人)または検察官からの協議の申し入れ
②三者による協議
③司法取引(合意)の成立

というものになります。
最も重要なのは、言わずもがなですが②でどのような内容の協議をして、どのような内容の合意をするかになります。

2 協議の内容

協議の内容についてはすべてが法律上規定されているわけではありません。
協議の内容には、たとえば、被疑者・被告人による協力行為の内容の提示、検察官による被疑者・被告人からの聴取、検察官による処分の軽減等の内容の提示などが行われるものと考えられます 。
具体的には、当該事件での取り調べを受けている際に、捜査機関としてこの事件の主犯を起訴したいから証言に協力してほしいというような打診があった場合に、どの範囲で供述の協力をするのかその見返りとしてどの程度の刑の軽減を求めるかなどが協議の内容になります。

会社の経営者から公務員に対して賄賂を渡していたという贈収賄事件を例にしてその対応について解説をさせていただきます。
仮にこの容疑が事実であるとして、双方が黙秘しているというケースでは、会社への悪影響を最小限にとどめるために、経営者の弁護人として罪を積極的に認め、司法取引の打診をすることが考えられます。
賄賂を贈った事実を認め公判での供述に協力することを約束する代わりに、経営者側は起訴しないように求める協議を持ち掛けることが協議の申し入れの一例です。
仮に合意が成立すれば、会社の経営者が起訴されて会社の名誉が毀損されるリスクを避けることができるかもしれません。

3 司法取引が問題になるケースについては

司法取引が問題になるケースについては刑事事件に精通した弁護士に依頼することをお勧めします
当該事案について司法取引の打診を被疑者側からするのかどうか、協力するとしてもどの範囲で協力し、見返りの内容をどうするかについては極めて難しい判断になります。

その判断においては、当該事案の事実関係からして問題となっている事案の証拠構造はどのようになっているのか、当事者の供述や証拠が捜査に与える影響の大きさ、量刑の見通しなどを正確に見通して判断する必要があります。

あいち刑事事件総合法律事務所はこれまで多数の刑事事件の弁護活動を経験してきた実績があり、事件の見通しや証拠構造の分析には自信があります。
司法取引を検討している、検察官から司法取引の打診があったというケースでは是非一度あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

次回は司法取引が導入されたことに対して、会社経営者は平時からどのような対応を検討すべきかについて解説させていただきます。

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【事例解説】インサイダー取引に対する規制について①

2025-01-08

 

【事例】

子会社に関する未公表情報を基に太陽光パネル製造会社X社の株をインサイダー取引したとして、金融商品取引法違反容疑でX社の元執行役員のAさんが逮捕された事件で、情報が公表された直後に同社株が急激に上昇していたことが16日、分かった。
関係者への取材で、Aさんが以前勤務していた金融サービス会社の株式でもインサイダー取引をしたとして、金融庁から課徴金納付命令を受けていたことも判明した。
東京地検特捜部は、Aさんが株価上昇を見越して買い付けを進め、公表後に売却して利益を得た可能性があるとみて捜査している。
(共同通信令和6年5月16日 「子会社の情報公表後、株価急上昇 インサイダー取引、特捜部捜査」より一部引用)

1 インサイダー取引について正しく理解していますか?

インサイダー取引という言葉については報道機関やテレビドラマなどで一度は耳にしたことがある方が多いのではないでしょうか。
そして、インサイダー取引について自分が知った内部情報を利用して不正に金儲けをしたという程度では理解できている方が多いと思います。
しかしながらインサイダー取引の具体的な規制内容や規制範囲について明確に理解されている企業の経営者の方や役員の方は多くないでしょう。
例えば、インサイダー取引で問題となる内部情報はどのような情報を指すのか、どのような不正行為がインサイダー取引として刑事罰の対象になるのか、処罰対象になるのは誰かなど法律の規制についてご相談を受けることが多いです。

事例では自社の子会社の未公開情報を基に株の売買をして逮捕されたケースです。
実際の報道では社名も明らかになっていましたから報道により、会社の情報管理が甘かった、社員のコンプラ教育が不十分だったという印象を世間から受けてしまうかもしれません。
そのため特に株式を上場している企業の方は、このような事態が起こらないように情報管理、社員へのコンプラ教育を徹底するためにも規制について正しく理解することが必要になります。
経営者の方ご自身や会社役員の方、従業員の方がインサイダー取引をしてしまわないように、あいち刑事事件総合法律事務所がインサイダー取引について詳しく解説させていただきます。

2 インサイダー取引とは

今回の記事ではまずインサイダー取引の内容について解説させていただきます。
一般的にインサイダー取引と呼ばれる取引に対する規制については、金融商品取引法という法律に定めがあります。
インサイダー取引の定義については、「上場会社の役職員など会社関係者が、その会社における業務等に関する重要事実を自身の職務等に関して知った場合、重要事実が公表される前に、当該上場会社の株式を売買すること」とされています。
これを要件に分解するとすれば
①上場会社の役職員など「会社関係者」が
②上場会社における業務等に関する「重要事実」を
③自身の「職務に関し」て知って
④重要事実が「公表」される前に
⑤当該上場会社の株式を売買すること
と分解できます。特に「」で示した文言の意味や犯意が重要になります。
これからの記事ではそれぞれの要件について、具体的なケースもあげながら詳しく解説させていただきます。

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営業秘密の侵害―企業と不正競争防止法

2025-01-03

企業の営業秘密が外部からの侵入により奪われたり、退職者が営業秘密を持ち出すことが問題となっています。
先日報道された事案としても,回転ずしの運営会社の社長が転職前の競合他社の食材の原価や仕入れ先に関するデータを持ち出していた事件は社会に衝撃を与えました。
営業秘密の侵害は個人だけでなく企業も責任を負うことになります。ここでは、不正競争について解説します。

営業秘密とはなにか

「営業秘密」とは、「秘密として管理されている生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であって、公然と知られていないもの」をいいます(不正競争防止法第2条第6項)。
まとめますと、以下の3つの用件を備えるものが営業秘密にあたります。
○有用性:当該情報自体が客観的に事業活動に利用されていたり、利用されることによって、経費の節約、経営効率の改善等に役立つものであること
○秘密管理性:秘密保有企業の秘密管理意思が、秘密管理措置によって従業員等に対して明確に示され、当該秘密管理意思に対する従業員等の認識可能性が確保されていること
○非公知性:保有者の管理以外では一般に入手できないこと
参照:経済産業省HP「営業秘密~営業秘密を守り活用する~」

自社の技術データ、ノウハウ、顧客名簿などが営業秘密に当たります。

営業秘密の侵害とはなにか

不正競争防止法では、「不正競争」と定められている行為がいくつもあります(不正競争防止法第2条第1項第1号から第22号)。営業秘密を侵害する行為は、第4号から第9号に規定されています。
窃取、詐欺、強迫その他の不正の手段により営業秘密を取得する行為は「営業秘密不正取得行為」とされています(同法第2条第1項第4号)。
営業秘密と知ってて不正に取得したり使用や開示をする場合(同法第2条第1項第4号)だけでなく、営業秘密不正取得行為であることを重大な過失により知らなかったり、後に営業秘密不正取得行為が介在したことを知りながら営業秘密を使用した場合等も「不正競争」に当たります(同法第2条第1項第5号から第9号)。
冒頭の回転ずしの社長の事案は、不正の手段により営業秘密を取得する営業秘密不正取得行為又は営業秘密不正取得行為により取得した営業秘密を使用し、若しくは開示する行為(同法第2条第1項第4号)に当たるものと考えられます。

営業秘密侵害に対する罰則

このような営業秘密の侵害には重い刑罰が加えられます。
不正の利益を得る目的で、又はその営業秘密保有者に損害を加える目的で、詐欺等行為又は管理侵害行為により、営業秘密を取得した者(同法第21条第1項第1号)、詐欺等行為又は管理侵害行為により取得した営業秘密を、不正の利益を得る目的で、又はその営業秘密保有者に損害を加える目的で、使用し、又は開示した者(同項第2号)、営業秘密を営業秘密保有者から示された者であって、不正の利益を得る目的で、又はその営業秘密保有者に損害を加える目的で、その営業秘密の管理に係る任務に背き、①営業秘密記録媒体等(営業秘密が記載され、又は記録された文書、図画又は記録媒体)又は営業秘密が化体された物件を横領する、②営業秘密記録媒体等の記載若しくは記録について、又は営業秘密が化体された物件について、その複製を作成する、③営業秘密記録媒体等の記載又は記録であって、消去すべきものを消去せず、かつ、当該記載又は記録を消去したように仮装する、のいずれかの方法で領得した者(同項第3号)等は、10年以下の懲役若しくは2000万円以下の罰金に処され、又はこれを併科されます(同法第21条第1項柱書)。

「詐欺等行為」とは、人を欺き、人に暴行を加え、又は人を脅迫する行為をいい、「管理侵害行為」とは、財物の窃取、施設への侵入、不正アクセス行為(パスワード等によりアクセス制限をしているパソコン等に他人のパスワードやIDを使ってアクセスする行為を指します。不正アクセス禁止法第2条第4項)、その他の営業秘密保有者の管理を害する行為をいいます(不正競争防止法第21条第1項第1号)。

日本国外において使用したり開示する等の目的で、詐欺等行為等により営業秘密を取得した場合は、10年以下の懲役若しくは3000万円以下の罰金に処され、又はこれを併科されます(同法第21条第3項柱書)。日本国外に流出するような場合は、さらに被害が大きくなり、経済安全保障の観点から、罰金額もより大きくなっています。

営業秘密侵害に対する会社の責任

役員や従業員が営業秘密を侵害する行為をした場合、企業も責任を問われます。法人の代表者や従業者等が、法人の業務に関し、違反行為をした場合は、法人も罰金刑を科されます(同法第22条第1項柱書)。日本国外で使用する目的等のため、不正の利益を得る等の目的で、詐欺等行為等により営業秘密を取得する等の場合は、上記のように被害の大きさや経済安全保障の観点から、罰金額は高くなっており、10億円以下の罰金刑を科されます(同法第22条第1項第1号)。それ以外の営業秘密の取得等の場合は、5億円以下の罰金刑を科されます(同法第22条第1項第2号)。

まとめ

このように、営業秘密を侵害すると、行為者だけでなく企業も大きな責任を負わされます。
営業秘密の侵害ではないかなど不安な方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所へご相談ください。

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