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コンプライアンス意識の周知と教育の重要性

現代社会において、企業犯罪や社員の不祥事が頻繁に発生しています。これらの問題を未然に防ぐためには、企業におけるコンプライアンス教育が極めて重要です。
コンプライアンスとは、法令遵守のみならず、倫理観や社会的規範に基づいた公正・公平な業務遂行を意味します。本記事では、コンプライアンス教育の重要性について、事例を交えながら解説します。
事例
コンプライアンス違反が企業に与える影響は甚大です。例えば、ある企業でのデータ漏洩事故は、顧客の信頼を大きく損ね、最終的には株価の大幅な下落につながりました。
コンプライアンス違反のリスクが単に法的な問題に留まらず、企業のブランド価値や経済的な損失に直結することが理解できます。また、社会的信用の失墜は、従業員のモラル低下や優秀な人材の流出を引き起こす可能性があり、企業の持続可能な成長を脅かす要因となり得ます。
この事例を踏まえ、次にコンプライアンス教育の必要性について詳しく解説していきます。
コンプラインス教育の必要性
現代社会では、情報の拡散速度が格段に速くなっています。
特にSNSの普及により、企業の不祥事や犯罪が発生した際、その情報が瞬時に広まり、企業の評判を大きく損なうことがあります。
このような背景から、コンプライアンス教育の重要性は年々高まっています。
企業が社会的責任を果たし、信頼を維持するためには、従業員一人ひとりが法令を遵守し、倫理的な判断ができるようになることが不可欠です。
そのためには、新入社員の初期研修から始まり、定期的な研修を通じて、コンプライアンスの知識と意識を高めることが求められます。
また、研修は単に法令やルールを暗記するのではなく、実際の事例をもとにしたディスカッションやワークショップを取り入れることで、より実践的な理解を深めることが重要です。
コンプライアンス教育を通じて、従業員が自らの行動が企業に与える影響を深く理解し、正しい判断ができるようになること。
これが、現代社会における企業が持続的に成長し、社会から信頼されるための基盤となります。
ご不安事やコンプライアンス体制についてご心配事のある方は,こちらからお問い合わせください。
コンプライアンス違反のリスク
コンプライアンス違反が企業に及ぼすリスクは計り知れません。
最も直接的な影響は、法的制裁や罰金などの財務的損失です。
しかし、それ以上に深刻なのが、企業の信用失墜による長期的な影響です。
一度失われた信頼を取り戻すことは非常に困難であり、不祥事が公になれば、顧客離れや不買運動に発展することもあります。
また、社内においても、不祥事によるモラルの低下や、優秀な人材の流出が起こる可能性があります。
これらはすべて、企業の持続可能な成長を著しく阻害する要因となり得ます。
さらに、コンプライアンス違反は、企業の社会的責任(CSR)に対する評価を下げることにも繋がります。
現代の消費者は、製品やサービスの品質だけでなく、企業が社会に対してどのような影響を与えているかにも敏感です。
そのため、コンプライアンス違反は、企業のブランドイメージに長期的な損害を与えることになります。
このように、コンプライアンス違反は、ただちに修復が困難な多方面にわたるリスクを企業にもたらします。
従って、企業はコンプライアンス教育を通じて、これらのリスクを最小限に抑える努力を怠ることができません。
コンプライアンス研修の実施方法
コンプライアンス研修の実施方法は、その対象となる従業員の役職や経験に応じて異なります。
新入社員には、社会人基礎としてのコンプライアンスの理解を深めるための研修が必要です。
一方で、役員や管理職には、リーダーとしての責任と役割に焦点を当てた研修が求められます。
研修の内容は、法令遵守だけに留まらず、企業倫理や社会的責任についてもカバーする必要があります。
また、実際の事例を用いたグループディスカッションやロールプレイングなど、参加者が積極的に関わることのできるプログラムを取り入れることが効果的です。
研修は、ただ情報を提供するだけではなく、参加者がコンプライアンスの重要性を自ら認識し、日常業務において正しい判断ができるようになることを目指すべきです。
そのためには、研修の内容を定期的に更新し、最新の法令や社会情勢に即した情報を提供することが重要です。
さらに、研修の効果を最大化するためには、研修後のフォローアップが欠かせません。
研修で学んだ内容を実務にどのように活かしているか、定期的なフィードバックや追加研修を通じて確認することで、コンプライアンス教育の持続的な改善を図ることができます。
コンプライアンス研修は、単なる義務遂行ではなく、企業文化の一部として根付かせることが最終的な目標です。従業員がコンプライアンスを自然と意識し、日々の業務に反映させることができるような研修プログラムの構築が求められます。
専門家によるアドバイスの重要性
コンプライアンス教育を成功させるためには、専門家によるアドバイスが不可欠です。
弁護士やコンプライアンス専門家は、法律の専門知識を持ち、企業が直面するリスクを正確に評価することができます。
彼らの知見を活用することで、企業は実効性のあるコンプライアンスプログラムを構築し、運用することが可能になります。
専門家によるリスク評価
専門家は、企業の業種や規模、過去の事例などを踏まえた上で、具体的なリスクを評価し、対策を提案します。
このプロセスを通じて、企業は潜在的な問題を事前に特定し、適切な予防策を講じることができます。
カスタマイズされた研修プログラムの開発
専門家は、企業の特定のニーズに応じた研修プログラムを開発することができます。
法律や規制の変更に迅速に対応し、最新の情報を研修に反映させることが可能です。
継続的なサポートとアップデート
コンプライアンスは一度きりの取り組みではなく、継続的な努力が必要です。
専門家は、定期的なレビューとアップデートを通じて、企業のコンプライアンスプログラムが常に最新の状態を保つようサポートします。
従業員への信頼性の高い情報提供
専門家による研修は、従業員に対して信頼性の高い情報を提供します。
法律や規制に関する正確な解釈を学ぶことで、従業員は自信を持って業務に取り組むことができます。
専門家によるアドバイスとサポートを受けることで、企業はコンプライアンス違反のリスクを最小限に抑え、社会的責任を果たすことができます。
コンプライアンス教育は、単に法律を遵守すること以上の意味を持ち、企業文化の根幹を形成するものです。
専門家の知見を活用することで、企業は持続可能な成長と社会からの信頼を築くことができます。
コンプライアンスの相談は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所へ
コンプライアンスに関する課題は、企業運営において避けて通れない重要な要素です。
不確実な法的環境の中で、適切なコンプライアンス体制を構築・維持することは、企業にとって大きな挑戦となります。
このような状況において、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件について豊富な経験と専門知識を持つ弁護士による確かなサポートを提供します。
私たちは、コンプライアンス違反によるリスクを最小限に抑えるための戦略的アドバイス、法律相談を通じて、企業の皆様を全面的にサポートいたします。
また、不祥事が発生した際の対応策や、事後のリスク管理に関しても、専門的な視点から具体的なソリューションを提案します。
コンプライアンスは、単に法律を遵守すること以上の価値を企業にもたらします。
企業文化としてのコンプライアンスを根付かせることで、社会からの信頼を獲得し、持続可能な成長を実現することができます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、その過程で企業の皆様を強力にバックアップします。
コンプライアンスに関するご相談がございましたら、ぜひ弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までお気軽にお問い合わせください。
私たちは、企業の皆様が直面するあらゆる課題に対して、最適な解決策をご提案いたします。
こちらからお問い合わせください。

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企業の贈収賄事件-東京オリンピックの贈収賄事件を基に

企業が公務員に賄賂を贈ってしまった事件について解説。
東京オリンピックにおける贈収賄事件など、贈収賄が大きな問題となっています。
ここでは、企業のかかわる贈収賄事件について解説します。
贈賄
収賄、受託収賄および事前収賄(刑法第197条)、第三者供賄(同法第197条の2)、加重収賄および事後収賄(同法第197条の3)、あっせん収賄(同法第197条の4)の罪において規定する賄賂を供与し、又はその申込み若しくは約束をした者は、3年以下の懲役又は250万円以下の罰金に処されます(刑法第198条)。
賄賂とは
「賄賂」とは、公務員の職務行為と対価関係にある利益を言います。この対価関係は、職務行為に対するものであれば足り、個々の職務行為と賄賂との間に対価関係のあることは必要とされていません(昭和33年9月30日最高裁第三小法廷判決)。職務に関するものであれば、交付時期や利益の多寡にかかわらず、賄賂となります。
賄賂の内容は金銭に限られず、人の欲望や需要を満たす一切の利益が含まれます。判例では、芸妓の演芸や、酒食の饗応、異性間の情交、公私の職務等の有利な地位の保証、株式の取得の利益、など、様々なものが賄賂と認定されています。このような利益を公務員に提供すれば公務員の職務の公正は害され、あるいは公務員の職務の公正に対する社会の信頼は損なわれてしまうため、処罰する必要があります。
東京オリンピックの贈収賄事件においても、会社の代表取締役であった者が、みなし公務員である組織委員会の元理事に賄賂を供与したとして起訴され、有罪判決を受けています(東京地裁令和5年7月12日判決)が、この事件では、元理事が、被告人が代表取締役を勤める会社との間のコンサルティング契約に基づき毎月のコンサルティングフィーを支払うという形で賄賂の供与がされていたと認められました。
「職務に関し」たといえるか
前述のとおり、賄賂は職務行為と対価関係にある必要がありますので、職務とは無関係な利益の提供は賄賂には当たりません。東京オリンピックの汚職事件で参考人として聴取を受けた元総理大臣は贈賄で有罪判決を受けた被告人の属する会社から現金の提供を受けたという報道がありましたが、これは病気に対する見舞金の可能性もあると言われていました。
また、単なる社交儀礼上の贈答は「賄賂」にあたりません。
東京オリンピック組織委員会元理事は、コンサル契約に基づいてコンサル料が支払われたもので賄賂ではないと主張しているとのことですが、これまでの収支はどうであったか、コンサル依頼があったとしてもそれ自体職務に関係するものか、依頼があった後の活動実態はどうだったか、などを考慮して、賄賂かどうかが判断されるでしょう。
収賄罪の成立の可能性
これまで贈賄罪について解説してきましたが、公務員でない会社の役員・従業員だからといって、収賄罪が成立しないとは限りません。公務員と共謀して賄賂を収受したと認められれば、収賄の共犯者として、収賄罪により処罰されます。
例えば、贈賄側の企業と交渉をしたり、公務員の代わりに賄賂を受け取って公務員から分け前をもらうような場合です。この場合、公務員に協力した者自身には公務員という身分がなくても、共犯となります(刑法第60条第1項)。東京オリンピックの贈収賄事件においても、会社の代表取締役であった者が、元理事と共謀の上、元理事の職務に関し賄賂を収受したとして、有罪判決を受けています(東京地裁令和5年7月4日判決)。
企業の責任
以上は、実際に贈収賄に加担した個人に成立する犯罪の問題です。
贈賄罪は特別法のような両罰規定がないため、企業は責任を問われません。
一方で、こうした案件では、企業の経営者が状況を把握したうえで指示をしていたと認められるでしょう。そうすると、単に個人の暴走ではなく、企業として行ったものとみなされ、強い社会的非難にさらされるでしょう。
また、会社の代表役員等が贈賄の容疑により、逮捕され、又は逮捕を経ないで起訴される等した場合、官公庁から公共事業の入札等で指名停止措置を受けることがあります。各省庁や各地方公共団体が、指名停止について基準を定めています。
・参考
国土交通省「工事請負契約に係る指名停止等の措置要領」
https://www.mlit.go.jp/common/001067886.pdf
まとめ
このように、企業が公務員に対し利益を供与すると、贈収賄に該当し、重大な事態に陥る可能性があります。自社の行っていることが贈賄等に当たらないかお悩みの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所へご相談ください。
お電話の方は0120-631-881から,HPの方はこちらからお問い合わせください。

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産地偽装による不正競争防止法違反の事例
産地偽装による不正競争防止法違反で会社が家宅捜索を受けた場合の対応についてあいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【事例】
愛知県にあるうなぎ店が中国や台湾産などのうなぎを三河産と偽って提供したとして、警察の家宅捜索を受けたことがわかりました。店主は産地偽装を認めています。
不正競争防止法違反の疑いで12月20日に警察の家宅捜索を受けたのは、愛知県にあるうなぎ料理店Aです。
警察や店主らによりますとAは店の看板に「三河産」と表示しているにもかかわらず、3年前から一部の料理に中国や台湾産などを使うようになったということです。
店主は、中京テレビの取材に対し偽装を認めた上で、「冬の時期は、出荷量が減るので三河産だけでは追い付かなくなった」などとしその後、三河産以外のものを使っているという掲示をするなどの対応をとったということです。
(令和5年12月26日 中京テレビニュース「うなぎ店“産地偽装”で家宅捜索 中国や台湾産などのうなぎを三河産と偽って提供」より引用)
産地偽装をした場合に成立する犯罪について
食品の産地偽装と言われる行為には、報道にあるような外食メニューに使用されている食材の産地を偽装するケース、生鮮食品の産地を偽装するケース、加工食品の原材料の産地を偽装するケースがあります。
そして、問題となるケースによって、不正競争防止法、不当景品類及び不当表示防止法、食品表示法の各違反行為が問題になります。
今回紹介している事例は不正競争防止法違反が問題になっていますので、以下では今回の事例に沿って不正競争防止法違反で問題になる条文の解説していきます。
今回の事例で問題になっているのは、不正競争防止法2条1項20号であると考えられます。
以下に条文をあげます。
不正競争防止法2条1項20号
商品若しくは役務若しくはその広告若しくは取引に用いる書類若しくは通信にその商品の原産地、品質、内容、製造方法、用途若しくは数量若しくはその役務の質、内容、用途若しくは数量について誤認させるような表示をし、又はその表示をした商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供し、若しくはその表示をして役務を提供する行為
不正競争防止法では上記の行為を「不正競争」として規定しており、これをした者について罰則等の定めがあります。
具体的に事例のような産地偽装行為は、条文上の「商品」の「原産地」について「誤認させる表示をする」場合にあたると考えられます。
実際には外国産のうなぎを使用していたにもかかわらず、うなぎ店の看板に「三河産」と表記すれば当然ながら、お店の利用客は店内のうなぎ料理にはすべて「三河産」のうなぎが使用されていると誤解してしまうためです。
産地偽装による不正競争防止法違反が発覚した場合の手続きの流れ
では次に事例のような食品の産地偽装が発覚した場合に予想される手続きの流れについて解説していきます。
不正競争防止法違反が発覚した場合には民事上の請求と刑事訴追の双方を受ける可能性があります。
民事上の請求
民事上の請求としては①差し止め請求と②損害賠償請求の2通りの可能性があります。
具体的には、差し止め請求については原産地を誤認させる産地偽装という「不正競争」によって、営業上の利益を侵害された・侵害されるおそれがある者は、侵害した・侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止・予防を請求でき(不正競争防止法3条1項)、侵害の行為を組成した物(侵害の行為により生じた物を含む)の廃棄、侵害の行為に供した設備の除却その他の侵害の停止・予防に必要な行為を請求できるとされています(同条2項)。
損害賠償請求については、故意・過失により原産地を誤認させる産地偽装というという「不正競争」を行って他人の営業上の利益を侵害した者の損害賠償責任が定められています(同法4条1項)。
そして、被侵害者が故意・過失のある侵害者に対し損害賠償請求をする場合に、侵害者が侵害行為により利益を受けているときは、その利益の額は、被侵害者が受けた損害の額と推定するとされています(同法5条2項)。
刑事訴追を受ける場合
被害が大きい、偽装の悪質性が高いと思われた場合には事例の場合のように、企業に捜索が入るなど刑事手続きが開始されます。
場合によっては産地偽装を主導した経営者らが逮捕される場合もあります。
逮捕された場合については、早期に弁護士が検察官や裁判官と交渉し釈放を目指す必要があります。
不正競争防止法違反の刑事罰については、5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金、またはその併科に処すると定められています(同法21条2項1号)。
また、法人については、両罰規定で3億円以下の罰金に処すると定められています(同法22条1項3号)。
起訴された場合については、事実を争う(産地偽装が故意ではなかった等)、ないしはより量刑が軽くなるような弁護活動が求められます。
産地偽装が発覚した場合の対応について
当然ですが企業としては産地偽装の問題が生じないように原材料の管理体制などを整えておくなどの事前の対策が重要です。
しかし産地偽装の問題が明らかになった場合については、原因を明らかにしてしかるべき再発防止策を立てる必要があります。
産地偽装は国民の生活の重要な一部である食に関する問題ですので紹介した事例のように大々的に報道されることもあります。
発覚後の報道対応、刑事訴追される場合の対応など弁護士に依頼するべき必要性は高いといえます。
あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件に精通した事務所です。不正競争防止法が問題になった案件も多数扱ってきました。
産地偽装などの不正競争防止法違反が発覚してしまった方や、自社で産地偽装問題がないか調査をされたい方、産地偽装がないように事前の対策を講じたい方は是非一度ご相談ください。
お電話の方は0120-631-881まで,HPからのお問い合わせはこちらからどうぞ。

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企業におけるメール監査の有用性について
事例はフィクションです。
A社の従業員Bさんは、連日残業を行っているのに、残業代を支給されていないとして、A社に対し、残業代を請求してきました。Bさんは、長時間労働を行っていたことの証拠として、業務で自分が送受信したメールの内容を印刷した書面をA社に提出してきています。
メール監査について、あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
メール監査とは、企業が、従業員の電子メールに対する調査を行うことです。
平時からのメール監査の有用性
不祥事が発生した企業では、その事後対応として、従業員の電子メールに対する調査が行われることがあります。日々の業務の中で飛び交うメールの内容を分析することは、それによって行われた情報伝達の内容について明確に特定する形で立証できる重要な手段だからです。
事例のように、長時間労働が問題となった場面では、業務メールの送受信は、労働時間の重要な証拠であり、本当にそれだけ長い時間働いていたのかは、メールを見れば調査できます。
もっとも、こうしたメール調査が有効なのは、不祥事が行った後とは限りません。
企業秘密などの大切な情報の漏洩も、メールによって起こることが多いといえます。そのため、従業員のメールを平時から調査しておけば、情報漏洩を未然に防ぎ、いざ起こったときには速やかに事後対応をすることができます。
また、事例の場合には、平時からメールを調査していれば、長時間労働を行っている従業員を早期に発見でき、未然に対処することも可能となります。
そのほか、目的は各企業によって異なるものの、平時からメールを調査する目的としては、業務と無関係のメールのやりとりがないか、不適切な取引を行っていないか、などについて早期に発見し対処できるようにすることがあげられます。
実際に、不祥事の予防・早期発見にために、内部監査の一環としてメール監査を実施している企業も多くあります。
プレスリリース Gmail送信ガイドラインに対応!法人向けクラウドメール『CYBERMAIL Σ』が、2月29日より3種類のセキュリティ機能を強化
メール監査を行う場合の注意点
以上のように、企業が平時からメール監査を行うことは、不祥事を未然に防止する意味でも有用ですが、メール監査をおこなうことが従業員らのプライバシーの侵害にならないか、注意する必要があります。
従業員が個人的に使用している機器については、原則、本人の同意がない限り内容を確認することはできませんし、企業が貸与した機器についても、従業員には一定の範囲でプライバシーが認められますので、その必要性が認められるときに、相当な手段・態様で実施する必要があります(調査等の必要性を欠いたり、調査の態様等が社会的に許容しうる限度を超えていると認められる場合には不法行為を構成することがあるとした裁判例として、東京地判平成14・2・26労判825号50頁があります)。
そこで、電子メ―ルに対する調査を行うためには、就業規則等にあらかじめ企業が貸与した機器の調査の要件や手続等について規定しておき、周知しておくことが望ましいといえます。メール監査の存在を予め明記しておくことにより、従業員のプライバシーへの期待が減殺され、メール監査が許容されやすくなるからです。
メール監査を企業が行おうとする場合には、メール監査の必要性、その範囲・態様の相当性等について弁護士等専門家に相談しておくことが必要でしょう。
企業内のコンプライアンス体制の構築,設計についてご相談のある方は,こちらからお問い合わせください。刑事事件を専門に扱う弁護士が対応いたします。

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企業と業務上過失致死傷事件
企業は従業員を使用して活動を広げ、より多くの利益を得ることができます。
その活動の中には、人の生命・健康にかかわるものもあります。こうした状況下では、企業は従業員や企業の体制について監督し、被害が生じないようにする必要があります。
これを怠り、被害が生じた場合、その責任を負わなければなりません。
事業活動の中で従業員が怪我や死亡した場合に,企業が刑事責任を負う代表的な事例として,業務上過失致傷事件が挙げられます。
参考報道:日本経済新聞 東京・八重洲の作業事故、業過致死傷容疑視野に捜査
業務上過失致死傷
故意ではなく過失により人を死傷させた場合、過失傷害罪(刑法第209条)又は過失致死罪(刑法第210条)が成立します。
さらに、業務上必要な注意を怠り、よって、人を死傷させた場合は、業務上過失致死傷罪が成立します(刑法第211条前段)。法定刑は、5年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金です。
過失とは、注意義務違反であり、法益侵害の結果の発生を予期し回避できたにもかかわらずこれを怠ったことをいいます。
業務上過失致死傷罪の「業務」とは、本来人が社会生活上の地位に基づき反復継続して行う行為であって、かつ、その行為は他人の生命身体等に危害を加えるおそれのあるものをいいます(最高裁第二小法廷昭和33年4月18日判決)。
なお、この判例では、この行為の目的がこれにより収入を得るものかその他の欲望を充たすためかどうかは問わないと判示されており、仕事の目的に限らず娯楽目的でも該当するとされています。
「業務上の過失」とは、この業務上の注意義務違反をいいます。
企業の責任
業務上過失致死傷罪には両罰規定がありません。業務上過失致傷罪は個人の犯罪で、店長等安全管理に責任を負っていた者が処罰を受けることになりますが、企業そのものは処罰されません。
また、現場が重大事故を起こしたとしても、会社役員が現場で生じる問題まで予見して対応するのは困難であり、その責任を負うことになるのは稀となります。
JR福知山線で列車が脱線転覆して乗客106名が死亡し、493名が負傷した事故において、工事やダイヤ改正により運転士が制限速度に近い速度で運転する危険性が高まり、運転士が適切な制動措置を取らないまま曲線に侵入し脱線転覆事故が発生する危険性を予見でき自動列車停止装置(ATS)を整備するよう指示するべき業務上の注意義務があったのにこれを怠り、事故が起きたとして、鉄道会社の歴代社長が強制的に起訴されました。
裁判は最高裁まで進みましたが、最高裁は、事故以前にはATSの整備は法令でも義務付けられておらず、他の鉄道会社も採用していなかったこと、曲線へのATSの整備は鉄道本部長の判断に委ねられており、代表取締役が個別の曲線の危険性に関する情報に接する機会は乏しかったこと、組織内において事故現場の事故発生の危険性が高いと認識されていた事情もうかがわれないなどとして、歴代社長らにおいて、鉄道本部長に対しATSを事故現場に整備するよう指示すべき業務上の注意義務があったということはできないとしました(最高裁第二小法廷平成29年6月12日決定)。
このように、重大事故が起きたからとって、直ちに社長などの役員が刑事責任を負うとまでは言い難いでしょう。
刑事以外の責任
しかしながら、このような重大な事故を招いたこと自体、組織としての安全配慮を怠っていたのではないかと非難されます。事故について社会に説明し、再発防止の手段を尽くさなければ、会社が社会的制裁を受けることになります。
また、従業員等の被用者がその事業の執行の執行に関して第三者に損害を与えた場合、使用者たる企業が賠償責任を負います(民法第715条第1項)。
まとめ
以上のように、業務上の過失により人を死傷させても、企業は刑事責任を負いませんし、役員が責任を負うことも稀です。
しかしながら、企業は社会的責任や民事責任を負うことになりますので、企業は人名や財産に危害を与えることがないように組織内体制を整備することが必要不可欠となります。
役員や従業員が業務上過失致死傷罪に問われた場合や、企業犯罪抑止のためにどのように体制を整備すればよいかお悩みの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所へご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,刑事事件を専門に扱う法律事務所です。業務上過失致傷事件についてご不安なことがある方,事業において従業員の安全について法的リスクにご懸念がある方は,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部までご連絡ください。
お問い合わせについてHPの方はこちらのお問い合わせから,お電話の方は24時間365日受付中の弊所フリーダイヤル(0120-631-881)までご相談ください。

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不祥事を起こした社員の退社を求めることができるのか③
関連記事として,不祥事を起こした社員の退職についてはこちらもご覧ください。
【事例】
Aさんは、福岡市早良区で、輸送用機械の部品を製造している会社、X社を営んでいます。
X社は、常時20人の従業員を雇っています。
Bさんは、このX社の従業員で、営業の仕事をしています。
ある土曜日の夜、Bさんは、休みだったので友人と福岡市内の繁華街にお酒を飲みに行っていました。
休みではあったのですが、ちょうどよいからと、BさんはX社のロゴの入ったジャンバーを羽織って出かけていました。
そして、Bさんはお酒を飲み過ぎてしまい、隣でお酒を飲んでいた男性客Cさんと口論になってしまいます。
怒りを抑えられなかったBさんは、Cさんの顔面を殴り、地面に倒れたCさんに馬乗りになって何度も殴り続けました。
その様子を見た店員が警察に通報し、駆けつけた警察官はBさんを現行犯逮捕しました。
この際、たまたまお店に居合わせた別の客であるDさんは、BさんがCさんに馬乗りになって殴り続けている様子を、Bさんの背中側から動画撮影し、SNS上にアップロードしてしまいました。
もちろん、この動画には、Bさんが着ていたジャンバーにあしらわれたX社のロゴが映っています。
翌朝、Bさんの名前やX社の名前こそ伏せられていたものの、Bさんが事件を起こしたというニュースが新聞で報道されてしました。
Bさんが出勤しておらず、報道で流れた情報がBさんと一致していたことから、この事件の犯人がBさんと察しがついたAさんは、Bさんの家族を問い詰め、Bさんが傷害事件で逮捕されているという事情を把握しました。
また、X社の取引先であるY社からは、DさんがアップロードしたSNSを見たとして会社に連絡が来てしまいました。
会社への影響を考えたAさんは、Bさんを解雇したいと考え、解雇しても問題がないのか、もしも問題があるのなら、今後の似たような事態に対応するにはどうしておけばいいのかを、あいち刑事事件総合法律事務所に相談することにしました。
(事例はフィクションです)
1 はじめに
以前の記事で、解雇権の濫用や解雇予告、就業規則への記載といった会社が従業員を解雇するためのルールについて解説をしてきました。
そして、そのルールの1つである就業規則への記載に関連して、そもそも就業規則とは何なのか、どのような手続きで定めるのかといった点について解説をしてきました。
今回は、その就業規則に定めるべき内容について解説していきます。
2 就業規則の内容
また、就業規則の作成にあたっては、労働時間や賃金の関係、退職に関する事項については、絶対に定めなければなりません(労働基準法89条)。この退職に関する事項には、どのような場合に解雇となるかということも含まれています(労働基準法89条3号かっこ書)。
より具体的には、会社として懲戒解雇を含めた懲戒処分の種類を定めたうえで、どのような場合に懲戒処分の対象になるかという形で定められることが多いでしょう。
例えば、①「犯罪に該当する行為を行い、会社の信用を傷つけた場合」という規定を設けたり、②「会社の業務中に犯罪に該当する行為を行った場合」という規定と「それに準ずる行為を行って会社の利益を害した場合」という規定の両方を設けたりすることが考えられます。
そして、Bさんの場合に解雇になるのかは、
①私生活上で犯罪行為に及んでしまった場合に解雇となるのか
②そのことが報道された場合に解雇になるのか
③第三者のSNSへの投稿によっても解雇になるのか
などについて、就業規則から読み取れるのかどうかが問題となります。
このように、従業員が不祥事を行い、会社としてその従業員を解雇したいと思っても、解雇できるのかが就業規則の記載によって変わってくることがあります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件に関わってきた経験を活かし、会社内で不祥事が起こった場合の対応・アドバイスにも力を入れています。
こちらからお問い合わせいただけます。
今回のケースで従業員を解雇できるのか、現在の就業規則の規定で十分なのかなどについてアドバイスをご希望の方は、一度、あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

元裁判官、元検察官、元会計検査院の官房審議官など企業案件の知識・経験の豊富な弁護士が、企業犯罪・不祥事対応等のコンプライアンス事案に対応します。
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企業犯罪・不祥事に関するお問い合わせ、ご相談のご予約は24時間365日受け付けております。
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【事件解説】封印破棄事件について詳しく解説
封印破棄について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が具体例を交えながら詳しく解説します。
事件の概要
(以下の事例はフィクションです)
甲は、ある印刷会社のA社の代表取締役であり、同社が複数の印刷機械類についてそれぞれ担保を付して、融資を受けて購入していましたが、経営不振から、同融資について返済不能の状態に陥り、債務者に使用を許す執行官保管としての占有移転禁止の仮処分が執行されていました。
しかし,甲は,同仮処分の執行直前に,仮処分の対象となる印刷機械類の一部を売却処分していたり、執行官の貼付した封印を毀損したりしていました。そうした行動が債権者に知れるところとなり、甲は、債権者から、刑事告発も辞さないとの通知を受けました。
さて、甲にはどんな刑事責任が生ずるでしょうか
まず、担保が付されいる動産を勝手に転売した場合ですが、これは担保の性質によって変わってきます。債権者が当該動産について所有権を留保しているような場合に、その動産を占有して使用している債務者が勝手に転売したとなると、横領罪(刑法第252条)が成立する可能性があります。要するに,他人から預かっていただけの物を勝手に処分してしまったということになるからです。
所有権も債務者に移すタイプの譲渡担保の場合であれば、背任罪(刑法第247条)が成立する可能性もあります。
その他に考えられるところとしては、封印等破棄罪(刑法第96条)でしょうか・・・。
それでは,A社の事例のように「占有移転禁止」という仮処分を受けた状態の場合はどのようになるのでしょうか。
封印等破棄罪とは・・・
過去,有名芸能人が強制執行妨害目的財産損壊罪などで懲役刑の判決を受けたという事件もありました。強制執行という場面は,私人間での対立が非常に強まる場面の一つであるといえます。
封印等破棄罪も,強制執行妨害罪そのものではありませんが,これに類する犯罪の一種です。封印等破棄罪とは、公務員が施した封印若しくは差押えの表示を損壊し、又はその他の方法によりその封印若しくは差押えの表示に係る命令若しくは処分を無効にすることです。
ここでいう公務員とは、国又は地方公共団体の職員等であり、本事案における裁判所の執行官も、当然に本罪の公務員に該当します。
また、封印若しくは差押えの表示とは、民事執行法上の動産の仮差押えや仮処分も含まれます。
本事案のような動産についての占有移転禁止の仮処分の場合、執行官保管による場合と債務者保管による場合などがありますが、執行官保管では保管場所までの運搬や保管料などの費用がかさむこともあることなどから、実務的には、債務者使用を許す占有移転禁止の仮処分になることがよくあります。
その場合、誰の目から見てもわかるように、裁判所の執行官によって、印刷機器類に公示書なるものが貼付されて、その占有を第三者に移転することが禁止されるのです。付箋のようなものを貼って「勝手に持ち主を変更してはいけませんよ」と表示しておくのです。
この公示書に、これを損壊などすると刑事罰に処されることがあるとの記載もありますし、わざわざ裁判所から執行官が出向いて、法令に基づき、そのような処分をするわけですから、常識的に考えても何らかの罪にはなりそうというのはお分かりかと思います。
しかし、債務者としては、「こんなことまでされて・・・!」と怒りに任せて、エイや!と破ってしまうこともあるかもしれません。どうせ、駐車違反で貼り紙されるのと大して変わらないだろうし、罰金くらいはらってやるよと軽い気持ちだったのかもしれません。
封印等は基材に対する刑罰
実は封印等破棄罪は、犯罪としては重いものになっています。
封印等破棄罪の法定刑は、3年以下の懲役若しくは250万円以下の罰金又はその併科です。
平成23年の改正以前は、2年以下の懲役又は20万円以下の罰金でしたが、同改正・施行以降、法定刑、中でも罰金刑が大幅に引き上げられただけでなく、懲役と罰金を併科できるようになりました。
これは、公務員による封印・差押えの表示によって達成されるべき公務の効力を、より一層保護していかなければならないという社会的な要請の現れということができるでしょう。
封印等破棄罪だけでなく、民事事件の権利を公権力によって強制的に実現していく過程を妨害していくことについては、とても重い刑事責任が課せられる可能性があります。
思い余ってやった、感情的になってやったでは済まされず、本事案のように会社のトップや役員がこうした行為に及んだ場合、最悪のケースでは、逮捕・勾留といった身柄拘束を受け、会社の運営そのものに致命的なダメージを及ぼすおそれさえあります。
こうした事態にいたった場合には、少しでも早く弁護士に相談し、事態の収拾を図るようにすべきでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,刑事事件を専門に扱うバックグラウンドを持った法律事務所です。封印等破棄事件でご家族や会社の方が警察に逮捕されてしまった方,ご不安なことがある方やご心配なことがある方は,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご連絡ください。
逮捕され身柄が拘束されている場合には,最短当日に弁護士を警察署まで派遣する「初回接見サービス」(有料)をご提供しています。24時間365日受付中の弊所フリーダイヤル(0120-631-881)までご相談ください。HPからの方は,こちらからお問い合わせください。

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不祥事を起こした社員の退社を求めることができるのか②
【事例】
Aさんは、福岡市早良区で、輸送用機械の部品を製造している会社、X社を営んでいます。
X社は、常時20人の従業員を雇っています。
Bさんは、このX社の従業員で、営業の仕事をしています。
ある土曜日の夜、Bさんは、休みだったので友人と福岡市内の繁華街にお酒を飲みに行っていました。
休みではあったのですが、ちょうどよいからと、BさんはX社のロゴの入ったジャンバーを羽織って出かけていました。
そして、Bさんはお酒を飲み過ぎてしまい、隣でお酒を飲んでいた男性客Cさんと口論になってしまいます。
怒りを抑えられなかったBさんは、Cさんの顔面を殴り、地面に倒れたCさんに馬乗りになって何度も殴り続けました。
その様子を見た店員が警察に通報し、駆けつけた警察官はBさんを現行犯逮捕しました。
この際、たまたまお店に居合わせた別の客であるDさんは、BさんがCさんに馬乗りになって殴り続けている様子を、Bさんの背中側から動画撮影し、SNS上にアップロードしてしまいました。
もちろん、この動画には、Bさんが着ていたジャンバーにあしらわれたX社のロゴが映っています。
翌朝、Bさんの名前やX社の名前こそ伏せられていたものの、Bさんが事件を起こしたというニュースが新聞で報道されてしました。
Bさんが出勤しておらず、報道で流れた情報がBさんと一致していたことから、この事件の犯人がBさんと察しがついたAさんは、Bさんの家族を問い詰め、Bさんが傷害事件で逮捕されているという事情を把握しました。
また、X社の取引先であるY社からは、DさんがアップロードしたSNSを見たとして会社に連絡が来てしまいました。
会社への影響を考えたAさんは、Bさんを解雇したいと考え、解雇しても問題がないのか、もしも問題があるのなら、今後の似たような事態に対応するにはどうしておけばいいのかを、あいち刑事事件総合法律事務所に相談することにしました。
(事例はフィクションです)
はじめに
以前の記事で、解雇権の濫用や解雇予告といった会社が従業員を解雇するためのルールについて解説をしてきました。
今回は、そのルールの1つである就業規則への記載に関連して、そもそも就業規則とは何なのか、どのような手続きで定めるのかといった点について解説していきます。
就業規則とは
就業規則とは、労働者(従業員)の労働条件や待遇の基準などをはっきりと定めて、会社と従業員との間でトラブルが生じないように定める規則です。
就業規則の作成手続き
就業規則は、会社と従業員との間のトラブルを防止するためのものですから、会社側が一方的に定めることはできません。
会社(使用者)が、就業規則を作成したり、変更したりした場合、「労働者の過半数で組織する労働組合がある場合」には労働組合に対して、そのような労働組合がない場合には「労働者の過半数を代表する者」に対して、「意見を聴かなければならない」とされています(労働基準法90条1項)。
なお、後者の「労働者の過半数を代表する者」は、①労働時間等に関する規定が適用外となる「監督若しくは管理の地位にある者」(労働基準法41条2号)ではなく、かつ、②「法に規定する協定等をする者を選出することを明らかにして実施される投票、挙手等の方法による手続により選出された者であつて、使用者の意向に基づき選出されたものでないこと」が条件となります(労働基準法施行規則6条の2第1項)。
また、このように定められた就業規則は、従業員に周知されなければなりません(労働基準法106条1項)。
このように、従業員が不祥事を行い、会社としてその従業員を解雇したいと思っても、解雇できるのかが就業規則の記載によって変わってくることがあります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件に関わってきた経験を活かし、会社内で不祥事が起こった場合の対応・アドバイスにも力を入れています。
今回のケースで従業員を解雇できるのか、現在の就業規則の規定で十分なのかなどについてアドバイスをご希望の方は、一度、あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

元裁判官、元検察官、元会計検査院の官房審議官など企業案件の知識・経験の豊富な弁護士が、企業犯罪・不祥事対応等のコンプライアンス事案に対応します。
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誤嚥事故の裁判例紹介
【事例】
A社は介護施設事業を行っており複数の老人介護施設を運営・管理していました。
A社が運営・管理を行っている施設の1つであるB園において、この度誤嚥事故が発生し、利用者の1人であるCさんが亡くなってしまいました。
A社が原因を調査したところ、B園では、被害者であるCさんの嚥下能力に問題があることを把握しながら漫然とのどに詰まりやすいお餅を出していたこと及び食事の際に職員がCさんの様子をよく確認していなかったことが明らかになりました。
またA社では、誤嚥のおそれのある場合の対応についてマニュアルなどが整備されておらず職員個人の判断に任せられていたことも明らかになりました。
事故後Cさんのご遺族からは責任の所在を明らかにしてしかるべき賠償をするように求められています。
A社の代表は今後の見通しについてあいち刑事事件総合法律事務所に相談しました。
(事例はフィクションです)
以前の記事では、誤嚥事故が発生した場合の刑事責任の可能性や、誤嚥事故が発生した場合の対処法について解説させていただきました。
以前の記事についてはこちらからご覧ください。
今回の記事では、施設側、施設を管理する事業者側の賠償責任について裁判例を紹介しながら詳しく解説させていただきます。
誤嚥事故により事業者が負う賠償責任
誤嚥事故によって事業者側が負う可能性のある責任としては、民事上の損害賠償支払い義務があります。
介護サービスを提供するにあたって、介護事業者は利用者に対する安全配慮義務を負い、事故の危険を予見できる状況において事故結果回避のための措置を取らなければこうした義務を尽くさなかったとされます。
そして、事故が安全配慮義務を尽くさなかったことが原因で起こったとき、介護事業者が利用者に生じた損害についての賠償責任を負います(民法第415条)。
また、安全配慮義務を怠った行為が介護を担当する従業員の過失と評価されて不法行為(民法第709条)が成立し、その使用者である事業者が使用者責任に基づく損害賠償責任を負うことにもあります(民法第715条)。
以下では、事業者に対する賠償義務が肯定された例と否定された例を紹介します。
誤嚥事故において事業者の賠償責任が肯定された裁判例(熊本地方裁判所平成30年2月19日判決)
事案の概要
AさんはB社が運営していた特別養護老人ホームを利用していた。
Aさんは施設作成の治療計画書に「誤嚥性肺炎に注意が必要」との記載があった。
Aさんは食事中にBの職員が目を離していた隙に誤嚥による肺炎を発症し、緊急搬送されたものの低酸素脳症を発症し後遺障害が残った。
裁判所の判断
裁判所では次のような事実を認定した上で、事業者側であるB社の損害賠償義務を肯定した。
すなわち、B社が運営していた事業所では本件事故当時、Aさんが誤嚥を起こしやすいという事実を把握していた。
そして食事中にAさんがしゃっくりをするなど誤嚥の危険があったことを認識しながら漫然と食事を継続させていた。
最終的には食事終了時にAさんの口の中に食物が残っていないことを確認することなく部屋に戻していた。
このような食事介助の態様は誤嚥を引き起こす危険の大きい不適切なものである。
したがって、B社の履行補助者である職員は上記義務を履行しなかったものといわざるを得ず、B社には、本件入所契約上の義務違反が認められる。
誤嚥事故において事業者の賠償責任が否定された裁判例(津地方裁判所令和3年9月1日判決)
事案の概要
Aさんは要介護認定1の認定を受けてB施設でデイサービスを利用していた。
Aさんは施設においてデイサービスを利用する15人と一緒に昼食を取っていたところ、口腔内に食物を含んだ状態で心肺停止状態になってしまった。
Aさんはすぐに緊急搬送されましたが低酸素脳症により死亡した。
裁判所の判断
裁判所は事業者側の過失の有無について次のような説明をし、過失を認定せず損害賠償義務を否定しました。
B施設側の体制は常時目を離さないような体制とはいえなかったが、食堂の状況等から利用客に異常がないかを定期的に確認することはできたといえ、もし明らかな異常があれば視覚的・聴覚的に察知できる体制は構築出来ていたといえる。
そして施設側には食事中に条一全体の見守りをするまでの体制の構築義務はない。
またAさんには誤嚥傷害の存在は認められず誤嚥のおそれが高いとまではいえなかった。
異常発見後の対応についても過失を認めるほどに遅れたとはいえない。
よってB施設側に過失は認められない。
まとめ
裁判例を2例あげさせていただきましたが、この判断が分かれた理由は何だったのでしょうか。
それぞれの裁判例は事例に対する判断ではありますがポイントとしては2点あったと思われます。
1点目は、被害者の方が誤嚥を起こす危険性が高いことを事前に予見できたかどうかです。
前者のケースでは治療計画書などから重度の障害があり誤嚥を起こしやすいことが明らかになっていました。
この場合では誤嚥事故が起こる危険性が高いと事前に認識できるので、食事中に求められる注意義務の程度が厳しく判断された可能性があります。
実際に利用される方が誤嚥事故を起こすリスクの高さや、それに応じた職員の配置や出す食事の内容については慎重に判断するべき点です。
担当医などと協議の上必要な措置を取っていく必要があります。
2点目は事故が起きた際の状況が誤嚥をしたと疑うべき状況であったかどうかです。
前者のケースでは、しゃっくりなど誤嚥の疑いのある症状があったにもかかわらず食事を続けさせ、口腔内の確認をしていないことを注意義務違反、すなわち過失であったと認定しています。
施設側としては、誤嚥の疑いがある場合の症状を事前に職員に対し周知させ、そのような疑いがある場合の対処を事前に研修する、マニュアル化しておくなどの対応が求められると考えられます。
参考 食品による窒息事故
あいち刑事事件総合法律事務所ではこれまで過失の認定について問題のある件も豊富に扱ってきました。過失の判断が問題になるケースに備えて、ひいては事例のような悲惨な事故が発生することがないように事前の対策は非常に重要になります。
誤嚥事故の発生防止、そして万が一誤嚥事故が発生してしまったとしても施設側に責任が追及されるリスクが低くなるような事前対応を是非ご相談ください。
HPの方は,こちらの「お問い合わせ」からどうぞ。
お電話の方は03-5989-0893までお問い合わせください。

元裁判官、元検察官、元会計検査院の官房審議官など企業案件の知識・経験の豊富な弁護士が、企業犯罪・不祥事対応等のコンプライアンス事案に対応します。
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企業犯罪・不祥事に関するお問い合わせ、ご相談のご予約は24時間365日受け付けております。
企業犯罪・不祥事が起きてしまった場合の対応にお困りの方、予防法務も含めたコンプライアンス体制の構築・見直しをお考えの経営者の方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に一度ご相談ください。
風俗営業の名義貸しの捜査のポイント解説
(事例)なお上の事例はフィクションです。
Aさんは、キャバクラの経営者です。ある日、Aさんの店の元従業員BさんがAさんのお店から独立して似たようなお店を作りました。AさんとBさんは、仲が悪くて離反したというわけではなく、お互い独立して営業をしていました。
しかし、ある日、AさんとBさんは、名義貸しで風俗営業を営んだものとして逮捕されてしまいました。
どうすれば良いでしょうか、またどうしておけば良かったでしょうか。
今回は、どうすれば良いかという点を解説していきます。
風俗営業法の違反とは?
一般的に風俗営業法といわれている法律がありますが、その内容はとてもボヤっとしています。例えば客引きが規制されていますが、皆さんが繁華街を歩いていると声をかけてくるキャッチの人は、普通に考えると客引きでしょう。
先ほどの事例でAさんが逮捕された名義貸しも難しい話です。AさんとBさんの関係でいう名義貸しとは、風俗営業の許可を受けた者が自ら風俗営業等を営むことなく他人にこれを営ませることです。
Aさんとは異なり、例えば、風俗営業法違反で前科があるCさんは自分では風俗営業の許可をとれないので代わりにDさん名義で許可を取らせて、実際の運営はCさんがしていたというような事案であれば、明らかな名義貸しとして摘発されても仕方ないでしょう。
今回のAさんやBさんが名義貸しとして逮捕された理由としては、「Bさんの名前で風俗営業の許可が取られているけど、Bさんは名ばかりで、Aさんが実質的な経営者なのではないか」と警察に疑われたからだと考えられます。
そして風俗営業法の名義貸し事案でメインとなる捜査事項は、だいたい決まっています。先にあげたCさんの事例のような風俗営業法違反の前科の有無というのはとても大きいです。そのほかにも、Bさんの店との関係で営業方針の決定をしていたのはAさんかBさんか、AさんやBさんはBさんの店で仕事をしていたのか否か、お金の管理をしていたのは誰か、AさんやBさんは普段何と呼ばれていたか、取引先と商談をしていたのはどちらか、といった事項が調べられていきます。
したがって、AさんやBさんの弁護士として,実質的に誰が店舗の経営者,責任者なのかという点を明確にして供述するようアドバイスすること想定されます。
もちろん口裏を合わせて嘘を言うことはできないので、AさんもBさんも自分の弁護士としっかり打合せをして、最良の結果を得られるよう動いていくことになります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、風俗営業法違反という難しい事案でも弁護の経験を豊富に有しております。名義貸し含め風俗営業法違反で捜査を受けた場合には、ぜひご相談ください。

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