生成AIの利用が招く企業のリスクと対応策〜著作権法違反〜

会議

近年、生成AI(Generative AI)の活用が企業で広がる一方、その 誤使用や悪用によって刑事事件に発展するケース も現れ始めています。

実際に、2024年には生成AIでコンピュータウイルスを作成した人物が不正指令電磁的記録作成罪(刑法168条の2)で有罪判決を受けています。また2025年にはAIでわいせつ画像を生成・販売した人物がわいせつ図画頒布容疑(刑法175条)で逮捕される事案も発生しています。

その他にも他人の顔を合成したディープフェイク動画により名誉毀損罪や著作権法違反 で逮捕・起訴された例も国内で確認されています。

本記事では、知的財産権の侵害、ディープフェイクによる名誉毀損、ディープフェイクポルノ といった生成AI利用に関連して起こり得る刑事事件の具体例と、そうした事態への企業としての対応策について、企業法務に詳しい弁護士の視点から解説します。

あわせて、このようなリスクに備える上での 顧問弁護士の必要性についても説明していきます。

生成AIを利用することによる著作権法違反のおそれ

まず生成AIを利用することにって著作権法に違反してしまうリスクやその対処法について解説します。

生成AIによる知的財産権侵害(著作権法違反など)となる事例

生成AIが既存の文章や画像、プログラムコードを学習している性質上、企業がAIに生成させたコンテンツが他者の知的財産権を侵害してしまうリスクがあります。例えば、AIが作成した文章が他社記事の一部を無断引用しているケース、生成画像に有名キャラクターや他社ロゴが紛れ込むケースなどです。

無断引用の態様などが悪質な場合には著作権法違反や商標法違反として刑事罰が科される可能性も否定できません。実際、ディープフェイク技術で既存のアダルト動画を無断改変した事例では、著作権侵害に問われ逮捕者が出ています。

また2025年11月には、生成AIを用いて制作された他人の画像を無断で複製し、自身が販売した書籍の表紙に使用したとして、千葉県警が著作権法違反の疑いで男性を書類送検しました。生成AIに具体的な指示を繰り返して制作された画像には著作物性が認められると判断したもので、AI生成画像の著作権侵害を立件したのは全国で初めてとみられます。「AIが作った画像だから自由に使ってよい」とはいえないことを示す事例といえます。

著作権法では故意に他者の著作権を侵害することに対し、「10年以下の拘禁刑若しくは1000万円以下の罰金(又はその併科)」という重い刑罰が規定されています(著作権法119条1項。2025年6月1日の改正刑法の施行により、従来の「懲役」は「拘禁刑」に改められました)。

また、法人の業務として侵害行為が行われた場合には、法人にも3億円以下の罰金刑が科されえます(同法124条1項1号)。作成に生成AIを使用していたとしても、それを認識しながら、生成AIの作成したコンテンツを利用すれば、当然ながらそれを利用した者や法人に著作権侵害の責任を負うことになります。

生成AIの利用が安易な著作物の流用につながれば、企業や担当者が 刑事責任を問われるリスク があることに注意が必要です。

生成AIを使用することによる著作権法違反への対策

次に、生成AIを使用することによる著作権法違反への対策について解説します。

①社内ガイドライン整備とチェック体制の導入

まず、生成AIに入力してよいデータや出力物の社外利用可否について明確なガイドラインを設けましょう。他者の著作物や機密情報をAIに安易に入力・利用しないことを社員に徹底します。

また、AIが生成したコンテンツを社外公表・商品化する前に、顧問弁護士と連携して知的財産権侵害の有無をチェックする仕組みを作ることが有効です。例えば、生成画像に第三者のキャラクターや商標が含まれていないか、生成文章が特定の資料を盗用していないかをレビューします。

②著作権侵害が発覚した場合の早期対応

万が一生成AIの利用によって他社の権利侵害が発覚した場合、速やかに 利用中止・該当コンテンツの削除を行い、被害拡大を防止します。

その上で、被害者との協議や謝罪、必要に応じて損害賠償などの民事対応を検討します。同時に、刑事告訴・告発に発展しそうな重大事案では、早期に顧問弁護士へ相談し、捜査機関への対応方針について助言を仰ぐことが重要です。

刑事事件化した場合でも、弁護士のサポートの下で誠実に対応することで、最終的な処分の軽減や円満解決につながる可能性があります。

まとめ

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、ガイドラインの作成や有事の対応のために会社の顧問弁護士として活動させていただきます。

顧問契約を結んでいただくことで著作権法違反事件を含む刑事事件について豊富な経験を有する弊所が、充実したガイドラインの作成に関与させていただき、有事の際の迅速な対応についてもお約束させていただきます。

生成AIを業務に導入されている企業の方は是非一度ご相談ください。

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