生成AIの利用が招く企業のリスクと対応策〜SNS広告〜

生成AI(Generative AI)や画像技術の進歩により、SNS広告の表現力は飛躍的に高まりました。AIが自動生成する画像や動画、文章は、マーケティングの新境地を切り拓く一方で、その裏には見過ごせないリスクも潜んでいます。

近年、企業が生成AIやディープフェイクを広告に利用したことで炎上やコンプライアンス違反に発展するケースが現れ始めました。著作権法や不正競争防止法といった法令上の問題、ブランド価値の毀損、さらには法的責任の所在など、経営リスクとして無視できない課題が山積しています。

本記事では、具体的な事例と法的論点、企業側の対策、そしてそれらに強みを持つ弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所のサポートについて詳しく解説します。

生成AI・ディープフェイクとSNS広告の現状

生成AIを使った広告制作は世界的に一般化しており、日本でも多数の企業がAIで生成した画像や動画をSNSプロモーションに活用しています。しかし同時に、AI特有の不自然な描写(例えばキャラクターの指が6本に見えるなど)が「不気味」と感じられる場合もあります。

実際、AI活用の倫理面への不安から批判を受ける事例も増えています。例えば日本マクドナルドはAI生成の美少女キャラクターを用いたX(旧Twitter)動画広告が「気持ち悪い」「買う気が失せる」とSNS上で炎上しました。

このように、生成AI活用にはマーケティング上のメリットと共に、消費者の拒否反応というリスクの両面が存在しています。

事例

生成AI・ディープフェイク絡みの不祥事は国内外で相次いでいます。身近な例では、2023年に回転寿司チェーンが公式Twitter(現X)にAIで生成した画像を投稿したことに対し、著作権上の問題を指摘する声が上がり物議を醸しました。

また2025年8月には、日本航空(JAL)が関わる高額クレジットカードの公式サイトに掲載された生成AI画像に、ポップコーンにストローが刺さるなどの不自然な描写があるとSNS上で相次いで指摘され、同社が陳謝する事態となりました。

これらの事例は、生成AI活用の安易さが企業に深刻な信用リスクをもたらし得ることを示しています。

SNS広告におけるコンプライアンス違反のリスク

生成AIの便利さゆえに、広告表現が事実を逸脱してしまう危険があります。AIによって実物以上に魅力的な商品画像を作り込み、それを実際の商品写真として用いれば、景品表示法(不当表示)違反に問われる可能性があります。

たとえば食品や化粧品をAIで理想化しすぎれば「実際よりも優良に見せた」とみなされかねません。またAIが生み出した架空の人物に本物の利用者のように推薦させる広告も、消費者を誤認させる不当な表示とされるリスクがあります。

広告コンプライアンスの観点から、AI生成コンテンツであっても人間が最終確認を行い、誇大表現や虚偽表示が含まれていないか厳格にチェックすることが不可欠と言えます。企業はこの点に最大限の注意を払う必要があります。

著作権侵害・肖像権への抵触

生成AIは過去の膨大なデータから学習してコンテンツを作るため、うっかり他人の著作物と酷似した画像や文章を生み出してしまう場合があります。

実際、2024年2月には、中国の裁判所が、利用者の指示に応じて人気キャラクター「ウルトラマン」に酷似した画像を生成したAIサービスの提供者に対し、著作権侵害を認める判決を言い渡しています。

またディープフェイク技術で実在の人物そっくりの映像や音声を広告に使用すると肖像権やパブリシティ権の侵害になり得ます。特に本人の許諾なく有名人に酷似したAIモデルを登場させれば、パブリシティ権の侵害による氏名・肖像の無断商業利用として損害賠償請求を受けるリスクも否めません。

生成AI時代においても、既存の知的財産権や人格権のルールから逸脱しないことが求められます。

深刻なブランド価値毀損と風評被害

AI関連の不祥事は一度起これば企業の信用に甚大な打撃を与えます。前述のような炎上によって「AI頼みで誠実さに欠ける企業」とのレッテルを貼られれば、顧客離れや株価下落といった実害に直結します。

その一方で悪意の第三者がディープフェイクを用いて企業や経営者を装い虚偽情報を流布するケースも想定されます。例えば競合他社が当社製品の不良デマ動画を拡散したり、経営トップの架空スキャンダル音声をねつ造したりすれば、瞬く間にブランドイメージは失墜するでしょう。

そのような風評被害は、刑法上の信用毀損罪・業務妨害罪に該当し得る違法行為ですが、ひとたびその風評が流されれば被害回復には多大な時間とコストがかかります。

AI発のリスクにさらされる現代では、平時から自社に関するSNS動向のモニタリングを行い、怪しい情報の早期発見と対処に努める必要があります。また仮に発見した場合には早期に適切な対応が求められるといえるでしょう。

企業の対策と弁護士の役割

こうしたリスクに備え、企業は社内体制の整備と専門家の活用を進めるべきです。

まず生成AIやディープフェイクの利用について明確な社内ガイドラインを策定し、「顧客の個人情報や機密データは入力しない」「第三者の権利を侵害する用途は禁止」などルールを周知します。広告制作ではAI任せにせず、人間の目によるファクトチェックと倫理チェックを徹底し、必要に応じて法務部や顧問弁護士が内容を精査します。

万一社内での不祥事やトラブルが発生した場合には、隠蔽せず迅速に専門家へ報告し、被害拡大の防止策や法的対応を協議します。

弁護士は、違法なコンテンツの削除請求や発信者特定の法手続、被害届の提出などで企業をサポートし、また平時から契約書や利用規約の整備を通じてリスク発生を未然に防ぐ助言も行います。複雑化するAI関連の問題に対し、法律の専門家と連携することが企業防衛の鍵となるのです。

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