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はじめに
飲食店等の経営者にとって、従業員の給与やその他の報酬から所定の源泉所得税額を天引きして納税する「源泉徴収」(従業員等に対する給与等の支払に当たり所定の源泉所得税額を天引きした上、これを国に納付する所得税法上の義務:以下同じ)は、従業員等に対する給与等の支払事務の一環として行われている基本的な事業経理ないし税務上の事務処理です。
しかし、うっかり源泉徴収漏れが生じた場合、その影響はかなり深刻です。事業者等に課されている法律上の徴収義務であるだけに、単なる経理処理上のミスでは済まされず、追徴課税と延滞税の賦課が行われることはもちろん、税務当局から悪質だと見做された場合には刑事責任まで問われるリスクもあります。
本記事では、飲食業界等でまま見受けられる源泉徴収漏れの事態を基に、税務調査開始から刑事告発に至るまでの流れ、法人の代表者等の事業者(源泉徴収義務者)又はその命を受けた経理担当者等の刑事責任の概要、そして、刑事事件に強い弁護士に早期に相談・依頼する必要性について、専門的な見地から丁寧に解説します。
事態の深刻さについて正しく理解された上、万一にも源泉徴収漏れが生じている場合には迅速且つ適切な対応に努めるべく参考にしてください。
1.飲食業界等で頻発する源泉徴収漏れの事例
飲食店等では、アルバイト従業員等に対する給与等の支払について源泉所得税の徴収漏れが生じやすいと言われています。例えば、事業者1人又は家族経営の小規模飲食店でアルバイトに対する給与の支払に当たり手渡ししており、源泉所得税の天引きをしていないケース、また、「パート職員・学生アルバイトに対するパート代等の支払についてまで源泉徴収をする必要はない。」と誤解して源泉所得税が徴収漏れとなっているケースが多々見受けられます。
また、飲食店等で日払い・現金払いで従業員にパート賃金等を支払うこともありますが、その際に帳簿類の記帳が的確に行われておらず、その結果として源泉徴収漏れが生ずるケースも見受けられます。さらに、店舗で調理補助等を行うフリーランスや個人事業主に対する支払を外注費として経理処理している場合に、本来は雇用主として源泉徴収義務があるにもかかわらず、従業員に対する給与の支払ではないので源泉徴収義務はないとの誤解の下に源泉徴収漏れが生ずるケースも報告されています。
こうしたケースは、特に飲食業界等ではままあることのようですが、他の業種も含め、税務当局から源泉徴収漏れで所得税法違反(ないしは意図的な脱税)との指摘を受ければ「知らなかった」では済まされない重大な問題となります。
このほか、従業員に賄い(無料の食事)を提供する場合、その経済的価値が給与の一部(みなし給与)に該当するとされて課税対象となる場合もあります(注:税務上の取扱いの詳細については税理士又は税務当局に確認することが必要です。)。
このように、業界の慣行を背景に又は事業者等の認識の甘さなどから源泉徴収漏れが生ずる例は少なくありません。平素から日々的確な経理処理及び税務上の処理を心がけ、源泉徴収漏れが生じないように注意を払うことが必要であり且つ大切です。
2.源泉徴収漏れの発覚と税務調査の流れ
源泉徴収漏れが発覚する端緒としては、税務署の定期的な税務調査の外、従業員・取引先からの通報等により特別に実施された税務調査による場合もあります。
税務署は、法人及び個人事業者に対する税務調査の際には従業員等に対する給与等の支払につき源泉徴収漏れはないかどうかという観点からも帳簿類のチェックを行いますので、税務調査で源泉徴収漏れが見逃されることは殆どないと言って良いと思われます。
また、最近では、国税庁のウェブサイトに誰でも脱税や徴収漏れについて通報することができるフォームが公開されていますので、そのような通報を基に税務調査が行われる場合もあるようです。
税務調査で源泉徴収漏れを指摘された場合の一般的な流れについて説明します。
ア 指摘と追徴課税の通知
税務調査で源泉徴収漏れの指摘があった場合、源泉徴収の対象となる給与等の支払額を確定し、これに係る源泉所得税額を算出して納付するよう求められます。不納付となっていた源泉所得税額が確定すれば、これに伴い生ずる延滞税や各種の加算税の額も確定され、追徴課税されることになります。
イ 修正申告と納付
事業者(源泉徴収義務者)は、適正な源泉徴収税額について修正申告を行うとともに、速やかに本来の納税額(差額分)を納付します。
源泉徴収義務者は、法律上の源泉徴収・納付義務を負っている訳ですから、従業員等に対する給与等の支払に当たり実際に源泉徴収を行っていなかったという場合であっても、算定される本来の源泉徴収税額を納付する義務がありますので、事業者側で負担してでも不足分の源泉徴収税額を納付しなければなりません。
ただ、その際には、源泉徴収漏れとなっていた税額分を従業員から改めて徴収するのか否かについても検討事項となります。会社が後から従業員に負担を求める場合、所得税法第222条に基づきその後の支払給与から天引き控除することもできるものの、従業員との信頼関係に配慮して会社負担とするケースもあります。
しかし、会社負担とした場合、その追加納付に係る源泉徴収税額は従業員に対する手当とみなされますので、その分につき発生する源泉所得税についても再計算の上、再度、源泉所得税額の修正納付をする必要があります。
ウ 追徴課税(加算税・延滞税)の納付
源泉徴収漏れというのは、本来納付すべき税額に不足が生じている事態ですので、その不足税額分については延滞税及び加算税(不納付加算税)が課されます。
延滞税は納付遅延日数に応じて年利換算で算出される利息的な税金であり、本税の完納まで日々発生しますし、加えて、不適切な納税事務処理に対するペナルティである不納付加算税(原則として本税の額の10%)も課されるのです。
ただし、税務調査で税額が確定する前に自主的に不足分の税額を納付していれば、不納付加算税が5%に軽減される場合もあります。
エ 重加算税の賦課の可能性
仮に、税務調査の結果、源泉徴収漏れが故意による隠蔽(いんぺい)又は仮装工作によるものと判断された場合、通常の加算税に代えて重加算税が賦課されます。重加算税は、不納付加算税を賦課する代わりに、本来納めるべき税額の35%もの高率で賦課される懲罰的な税金です。
税務調査から是正指導・追徴課税までには、事案によって数ヶ月から1年程度の期間を要する場合もあります。そして、その過程では、源泉徴収義務者たる事業者等に多額の追徴税の賦課と追加的な経理・税務上の事務処理という大きな負担がのしかかります。
例えば、岡山県真庭市で発生した事案では、源泉徴収漏れとなっていた約535万円の税額について延滞税及び不納付加算税の計約68万8,100円(約税額の13%)が賦課されたと報じられていますが、実際には、これらの追加的な納税に係る事業者側の事務量の負担というのも相当なものとなっている筈です。
とはいえ、上記のように金銭的なペナルティ及び事務量の負担は相当重いものになるものの、税務当局の指摘に基づく一般的な納付税額の過少の事態は、本来の納税額の追加納付とこれに係る各種加算税の納付の手続を経て終結します。しかし、特に悪質な態様であると判断され且つ納付不足の税額が多額に上る場合には、税務調査とその結果に基づく(重加算税を含む)各種の加算税等の賦課という税務上の課税処分に止まらず、雑税事件としての刑事告発(脱税罪としての立件)という次のステージに進むことになります。
3.加算税・重加算税にとどまらない刑事告発の可能性
源泉徴収漏れが偶発的なミスではなく、意図的・継続的であり、不納付額も多額に上る悪質な脱税行為であると判断された場合、税務当局はその案件を検察庁に対し刑事告発することになります。
刑事告発の基準については、明確な形では公表されていませんが、実務的な感覚としては「隠蔽・仮装の意図があったか」、「補脱税額が多額に上るか」、「脱税期間が長期に亘るか」などが事態の悪質性を認定する上での判断要素とされます。
ですので、一般に、法人税や所得税で補脱税額1億円以上の所得隠しの事案の場合には刑事告発の対象となると言われていますが、補脱税額が数千万円程度であっても、悪質な所得隠しの事案に当たると判断されて刑事告発に至った例もあります。
飲食店等における源泉徴収漏れの場合、法人税等の巨額脱税事案(源泉徴収漏れを含む。)に比べれば補脱税額が比較的少額に止まる場合が多いものと思われますが、組織的・常習的な給与支払について秘匿するとか、源泉徴収を全く行わずに給与等の支払を行っていたような場合であって、補脱税額もある程度の金額に上る場合には、刑事事件に発展する可能性もないとは言えないでしょう。
刑事告発された場合、当該案件は国税局の査察部(マルサ)の調査を経た後に検察庁に送致され、事業者側(代表者ないし経営者、経理関係者等)は脱税事件の被疑者として取調べを受けることになります。
刑事告発された脱税事件については、起訴率及び有罪判決率が非常に高いと言われており、つまり、税務当局に刑事告発された場合には、代表者ないし経営者等に前科の付く可能性が極めて高いということになります。
なお、刑事事件化した場合の罪名としては、源泉徴収漏れの事態が生じた態様により、大きく分けて次の二つになるものと考えられます。
- 不納付犯(所得税法第240条)
事業者等が給与等の支払に当たり源泉徴収を行っていたものの、それを国に故意に納付していなかった場合に成立します。
例えば、事業者に於いて支払給与等から天引きしていた源泉所得税を納税せずに、他の用途に使い込んでしまった結果として滞納しているようなケースです。
この不納付犯の法定刑は、10年以下の懲役又は200万円以下の罰金(又は併科)という重いもので、刑法犯に匹敵する厳罰となっていますが、罪質の実態として一種の業務上横領に近いものであるとの評価に基づくものとも思われます。
- 不徴収犯(所得税法第242条 等)
本来源泉徴収すべき所得税額を最初から徴収していなかった場合に成立します。例えば、給与等の支払等を行いながら、一切の源泉徴収を行っていなかったケースなどが該当します。不徴収犯も刑事罰の対象で、場合によっては不納付犯と同様に拘禁刑が科される可能性もあります。不徴収それ自体は税の徴収を妨げる行為(租税秩序犯)ですが、特に悪質な脱税と判断されるような場合には刑事訴追される場合もあるということです。
事業者の責任としては、法人代表者のみならず、経理担当者の刑事責任についても注意が必要です。
源泉徴収漏れは、源泉徴収義務者(事業者・代表者等)の当該徴収義務違反ですので、例えば、社長自ら「バイトの給与は帳簿に載せるな」と指示していたような場合に社長個人が刑事責任を負うことになるのは当然ですが、2019年に発覚した「青汁王子」の脱税事件では、社長のみならず、脱税に関与した従業員や取引先の役員までが法人税法違反事件の幇助犯として逮捕されています。
また、両罰規定により事業者(法人)に対して罰金刑が科される場合もあります。このように、源泉徴収漏れが故意の脱税であって悪質な所得隠しであると判断される場合には、いわば会社ぐるみで刑事処分を受けるリスクが生じるのです。
4.過去の摘発事例から見る源泉徴収漏れの深刻さ
飲食業等における源泉徴収漏れそれ自体がクローズアップされた報道事例は多くないようですが、次のような事案に意図的・継続的な源泉徴収漏れなどが含まれる場合には、業種等の相違に拘わらず、事業者(経営者等)が源泉聴取漏れに係る所得税法違反としても刑事告発される恐れがあるように思われます。
- 乗馬クラブ運営会社の刑事告発の例(無申告): 2018年に乗馬クラブの運営会社が2年間にわたり確定申告を行わず、約2,673万円(金額は消費税等)を脱税したとして刑事告発された事例。
この事例では無申告の悪質性が問われ、千葉地検特別刑事部が強制捜査に動いたものですが、補脱税額が3,000万円に達していないような事案でも、意図的・組織的に納税義務を果たさない悪質性から刑事告発されたものと考えられます。
- 解体工事業者の脱税事件(8800万円の所得隠し): 2011年には茨城県の解体工事業者が2年間で約8,791万円の所得隠しを行い、悪質性が高い事案であると判断されて、刑事告発された事例。
このように、悪質な税逃れは業種や金額に関係なく刑事告発される可能性があります。飲食店等における源泉徴収漏れも、意図的・継続的に「従業員に払った給与を帳簿に記載していなかった」、「現金支給していた給与等に係る源泉徴収を行っていなかった」などの事例があれば、刑事事件に発展するリスクはあります。
刑事事件となれば、報道等により社会的信用は失墜し、営業継続も困難になるでしょう。税務当局も、従来、飲食業界の無申告ないし源泉徴収漏れ事案には注目しています。
国税庁の発表によれば、令和5年度中に全国で告発された脱税事件は総額89億円、1件あたり平均約0.88億円(8800万円)とされています。刑事告発された事件の逋脱税額は数千万円台から1億円前後のものが中心ですが、中小規模事業者の事件も少なくなく、また、逋脱税額だけの刑事告発の有無が定まっている訳でもありません。
中小規模の飲食店等においても、経営者(源泉徴収義務者)は危機感を以てリスク管理を徹底する必要があります。
5.刑事事件に強い弁護士の役割と対応例
万一源泉徴収漏れが税務当局から指摘を受け、刑事処分の可能性が出てきた場合、弁護士(特に、刑事事件に強い弁護士)はどのような役割を果たすのかについて解説します。
先ず強調したいのは、刑事事件化される芽を摘むべく、早い段階から弁護士が関与することが極めて重要だという点です。
具体的には、税務調査の段階で「これは悪質な事案だ」と判断されると国税局の査察部に引き継がれますが、この段階から弁護士が刑事告発の回避を意識して防御活動を行うことが可能であり大切です。
刑事事件に強い弁護士であれば、税務調査の段階でも査察官等との応対についても適時適切なアドバイスを行い、必要に応じて修正申告、追加納税等について迅速に対応することにより「刑事告発までは不要」と判断してもらえるよう働きかけることになります。
実際、刑事事件の経験豊富な刑事弁護士であれば、重加算税の賦課又は刑事告発の検討段階で税務当局と交渉しますので、相談者に有利な状況を作り出すことも期待できます。
また、税務当局が刑事告発し、検察による捜査に移行する場合には、刑事事件で弁護人を務める弁護士は大きな役割を果たすことができます。
主な対応例として次のとおりです。
- 任意の事情聴取への同行・対応指導
事業者等(代表者、経営者等)が検察から事情聴取(任意の取調べ)を求められた場合、刑事弁護士は適切な取調べ対応のために事前打合せを行います。また、必要に応じて弁護士が検察官の取調べに同行し、取調べ中の相談者(取調べを中断・中座した相談者から)随時の相談を受けることにより、不当な誘導その他の違法・不適切な取調べが行われないよう注意を払うとともに、適時のアドバイスをすることが可能です。
特に税務案件では複雑な事実関係についての詳細な説明が求められることから、何処までどのような説明をするのかなどについて戸惑うことが多い筈です。ですので、専門的な知識を有する刑事弁護士から適時のサポートを受けることは、孤立無援のような状況下に置かれる取調べにおいて心強い支えとなる筈です。
- 身柄拘束の回避
刑事告発された後、逮捕状が発布されることも考えられます。しかし、刑事弁護士が付いていれば、検察官に対し、在宅捜査で十分であることを主張し、逮捕の必要性が乏しいことを示す資料を提出するなどして、逮捕・勾留を回避する可能性を高めることも可能となります。実際に、弁護士の迅速な働きかけにより、脱税事件の被疑者とされる本人が自主的に出頭し、取調べにも誠実に対応することで逮捕が見送りとなったという例も報告されています。
- 不起訴処分・起訴猶予の獲得
刑事弁護士は、検察官に対し、依頼者が深く反省し、既に追徴税については完納していること、有効な再発防止策を講じている点などを詳細に説明することを通じて不起訴処分(正式な刑事裁判を求める「起訴」を行わないという処分)を求めます。
特に、初犯で補脱税額が比較的少額に止まるケースでは、不起訴処分(起訴猶予)となる可能性があることから、刑事弁護士の適切な弁護活動が起訴猶予という結果を招来する大きな要因となる場合が少なくない筈です。
- 起訴後の減刑・執行猶予獲得
仮に起訴され刑事裁判(公判)が行われる場合には、刑事弁護士は公判で情状酌量の余地を強く訴えます。例えば、脱税額については、全額修正申告の上で納付済みであること、家族や従業員の生活がかかっており事業を存続させる社会的な必要性があること、公判で再発防止について誓約していることなどを指摘し、執行猶予付き有罪判決(又は罰金刑の判決)に止めるよう尽力します。
法人の代表者等が脱税犯として起訴された場合、実刑判決を受けて服役することとなれば事業の継続が困難になることから、執行猶予月の有罪判決に止めてもらうことには大きな意義があります。
- 将来への助言と再発防止策
刑事弁護士は、その場しのぎ的に量刑の軽減のためだけに弁護活動をするのではではなく、発将来を見据えた再発防止のための弁護活動を行います。例えば、税理士とも連携しながら経理体制の改善(複数人によるチェック体制の構築、クラウド会計の導入等)について助言し、将来に亘り同様の事態の発生を防止するための態勢構築について提案し、サポートします。
以上のように、悪質な脱税事案であるとして刑事告発されて刑事事件化する可能性もあることを踏まえると、源泉徴収漏れを税務当局に指摘された場合、かかる事態を回避すべく早い段階で刑事弁護士の関与を求め、サポートを受けることが有効です。
6.弁護士に相談・依頼するタイミングとメリット
「自分の店で源泉徴収漏れがあったのかも知れない」、「税務調査が長引いており、所得隠し等の脱税を疑われているかも知れない」などと感じたら、迷わず刑事弁護士に早めに相談すべきでしょう。
刑事事件を専門的に取扱う弁護士(刑事弁護士)であれば、過去の経験値等を踏まえ、現在相談者が直面している状況について客観的に分析し、今後執り得る最善の対応策を提案してアドバイスすることになります。
ですので、相談のタイミングが早ければ早いほど、相談者の不安が減少するばかりでなく、選択肢も広がり、重大なリスクの発生(最悪の場合には有罪の実刑判決)を軽減させる余地も大きくなります。
具体的なメリットとしては、次のような点が挙げられます。
- 刑事告発又は強制捜査の回避
刑事弁護士が早期に活動することで、刑事告発等を回避することが期待できます。
即ち、「悪質性の程度は高くなく、修正申告と追加納税等も済ませ、経理及び税務の事務処理体制の改善・整備により事業自体の改善により将来の再犯防止も見込まれる」などと主張して当局の理解を得られれば、刑事告発又は逮捕等の強制捜査に発展することを回避することを期待できます。
令和5年度に刑事裁判に至った脱税事件189件中、無罪になったのはわずか7.6%(国側敗訴率)というデータがあり、そもそも刑事事件に発展させないことが何よりも重要であることが分かります。
また、③社会的信用の回復ということを期待することができます。
即ち、刑事弁護士が早期の問題解決に動くならば、その過程で「社長逮捕」、「脱税で起訴」といった報道が行われることを回避できる可能性も高まり、取引先や顧客の信用失墜を最小限にとどめることを期待することができます。
特に、飲食店等では地域の評判が大切でしょうから、社会的な耳目を集める前段階での解決を少しでも図る努力が大切です。
税務調査、査察、捜査等のプレッシャーで追い詰められ、孤立無援のような状況下に置かれている事業者にとって、刑事弁護士の存在は大きな精神的な支えともなります。深い反省の上での事業の立て直しにも注力しやすくなるでしょう。
- 税理士との連携支援
税務に強い弁護士の事務所は、税理士等と連携して対応することも可能です。実際、修正申告の手続、過去帳簿の記帳整理などは税理士の仕事になりますが、その段取りも含め刑事弁護士が調整します。
結果として、最悪の事態に発展することの回避を目指しつつ、税理士等とも連携し、指摘に係る税務上の不適切な事態の改善等を図ることができます。
税理士は税務の専門家ですが、刑事事件化の過程における弁護活動としての当局との交渉等は弁護士の職域です。
7.早めの相談が危機管理のリスク最小化の鍵
源泉徴収漏れはどの事業者の方にも起こり得るミスですが、源泉徴収漏れを指摘され、その納付漏れ又は逋脱税額が多額に上る場合には、その時から刑事事件化の回避という危機管理が始まります。
そして、対応が遅れれば遅れるほど、税務当局の態度も硬化するでしょうし、刑事告発のリスクも高まり、信用問題が生じて来る可能性もあります。
飲食店の経営者の方々その他従業員等に対する源泉徴収義務者である皆様には、日頃から的確で適切な経理事務及び税務処理を行うことはもとより、万一問題が生じた場合には信頼できる専門家に相談されることをお勧めします。
特に、刑事事件に強く、検察当局等との折衝経験等の豊富な弁護士(刑事弁護士)であれば、刑事告発され、逮捕・勾留等を伴う強制捜査が行われ、更には起訴されて刑事裁判が始まることの回避等に向けて全力でサポートします。
初動対応一つでその後の展開が大きく変わるというのが刑事事件の特徴であり、当初から迅速且つ適切に対応すれば重大なリスクも最小限に抑えることも可能です。

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