不祥事を起こした社員の退社を求めることができるのか③

関連記事として,不祥事を起こした社員の退職についてはこちらもご覧ください。

【事例】
Aさんは、福岡市早良区で、輸送用機械の部品を製造している会社、X社を営んでいます。
X社は、常時20人の従業員を雇っています。
Bさんは、このX社の従業員で、営業の仕事をしています。
ある土曜日の夜、Bさんは、休みだったので友人と福岡市内の繁華街にお酒を飲みに行っていました。
休みではあったのですが、ちょうどよいからと、BさんはX社のロゴの入ったジャンバーを羽織って出かけていました。
そして、Bさんはお酒を飲み過ぎてしまい、隣でお酒を飲んでいた男性客Cさんと口論になってしまいます。
怒りを抑えられなかったBさんは、Cさんの顔面を殴り、地面に倒れたCさんに馬乗りになって何度も殴り続けました。
その様子を見た店員が警察に通報し、駆けつけた警察官はBさんを現行犯逮捕しました。
この際、たまたまお店に居合わせた別の客であるDさんは、BさんがCさんに馬乗りになって殴り続けている様子を、Bさんの背中側から動画撮影し、SNS上にアップロードしてしまいました。
もちろん、この動画には、Bさんが着ていたジャンバーにあしらわれたX社のロゴが映っています。

翌朝、Bさんの名前やX社の名前こそ伏せられていたものの、Bさんが事件を起こしたというニュースが新聞で報道されてしました。
Bさんが出勤しておらず、報道で流れた情報がBさんと一致していたことから、この事件の犯人がBさんと察しがついたAさんは、Bさんの家族を問い詰め、Bさんが傷害事件で逮捕されているという事情を把握しました。
また、X社の取引先であるY社からは、DさんがアップロードしたSNSを見たとして会社に連絡が来てしまいました。

会社への影響を考えたAさんは、Bさんを解雇したいと考え、解雇しても問題がないのか、もしも問題があるのなら、今後の似たような事態に対応するにはどうしておけばいいのかを、あいち刑事事件総合法律事務所に相談することにしました。
(事例はフィクションです)

1 はじめに

以前の記事で、解雇権の濫用や解雇予告、就業規則への記載といった会社が従業員を解雇するためのルールについて解説をしてきました。
そして、そのルールの1つである就業規則への記載に関連して、そもそも就業規則とは何なのか、どのような手続きで定めるのかといった点について解説をしてきました。
今回は、その就業規則に定めるべき内容について解説していきます。

2 就業規則の内容

また、就業規則の作成にあたっては、労働時間や賃金の関係、退職に関する事項については、絶対に定めなければなりません(労働基準法89条)。この退職に関する事項には、どのような場合に解雇となるかということも含まれています(労働基準法89条3号かっこ書)。

より具体的には、会社として懲戒解雇を含めた懲戒処分の種類を定めたうえで、どのような場合に懲戒処分の対象になるかという形で定められることが多いでしょう。

例えば、①「犯罪に該当する行為を行い、会社の信用を傷つけた場合」という規定を設けたり、②「会社の業務中に犯罪に該当する行為を行った場合」という規定と「それに準ずる行為を行って会社の利益を害した場合」という規定の両方を設けたりすることが考えられます。

そして、Bさんの場合に解雇になるのかは、
①私生活上で犯罪行為に及んでしまった場合に解雇となるのか
②そのことが報道された場合に解雇になるのか
③第三者のSNSへの投稿によっても解雇になるのか
などについて、就業規則から読み取れるのかどうかが問題となります。

このように、従業員が不祥事を行い、会社としてその従業員を解雇したいと思っても、解雇できるのかが就業規則の記載によって変わってくることがあります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件に関わってきた経験を活かし、会社内で不祥事が起こった場合の対応・アドバイスにも力を入れています。
こちらからお問い合わせいただけます。
今回のケースで従業員を解雇できるのか、現在の就業規則の規定で十分なのかなどについてアドバイスをご希望の方は、一度、あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

keyboard_arrow_up

0359890893 問い合わせバナー 無料相談・初回接見の流れ