談合を疑われた場合の弁護活動

談合をしたと疑われ捜査された場合を解説

リニア談合事件や、東京オリンピックの談合事件など、大企業までもがかかわる談合事件が大きな問題となっています。
ここでは、企業のかかわる談合事件や、談合事件をしたと疑われた時の対応について解説します。

談合とは

「談合」という言葉は、法律上は刑法の公契約関係競売等妨害(刑法第96条の6第2項)や入札談合等関与行為防止法等、公契約の競売等で問題となります。民間企業同士の談合は、独占禁止法(私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律)の「不当な取引制限」が該当し、カルテルともいわれます。

独占禁止法は「私的独占、不当な取引制限及び不公正な取引方法を禁止し、事業支配力の過度の集中を防止して、結合、協定等の方法による生産、販売、価格、技術等の不当な制限その他一切の事業活動の不当な拘束を排除することにより、公正且つ自由な競争を促進し、事業者の創意を発揮させ、事業活動を盛んにし、雇傭及び国民実所得の水準を高め、以て、一般消費者の利益を確保するとともに、国民経済の民主的で健全な発達を促進することを目的」としています(独占禁止法第1条)。
「不当な取引制限」とは、「事業者が、契約、協定その他何らの名義をもつてするかを問わず、他の事業者と共同して対価を決定し、維持し、若しくは引き上げ、又は数量、技術、製品、設備若しくは取引の相手方を制限する等相互にその事業活動を拘束し、又は遂行することにより、公共の利益に反して、一定の取引分野における競争を実質的に制限すること」をいいます(独占禁止法第2条第6号)。
複数の企業が同種の商品について一定以上の価格にすることを示し合わせることなどがこれにあたります。
独占禁止法はこのような不当な取引制限を禁止しています(独占禁止法第3条)。
これに反して不当な取引制限をしたものは、5年以下の懲役又は500万円以下の罰金に処されます(独占禁止法第89条第1項第1号)。

また、法人の代表者又や従業員等が、その法人の業務や財産等に関して、不当な取引制限を行えば、実際に行為に及んだ行為者が罰されるだけでなく、法人も5億円以下の罰金刑に処されます(独占禁止法第95条第1項第1号・第89条)。

公正取引委員会も入札談合のような不公正な取引については厳しい目を向けて監視しています。

談合をしたと疑われた場合

談合事件は公正かつ自由な競争を阻害するもので、国民経済の民主性・健全性を損ねるものであり、厳しく処罰される必要があります。また、複数の企業がかかわり、その方法も複雑なもののため、金の流れ、人の流れを徹底的に追及する必要があります。このため、東京地検等の特捜部が主導で捜査が行われます。実際の行為者などを逮捕する際にも、特捜部の検察官が逮捕します。

談合の方法は、企業の幹部同士が集まって価格はいくら以上にするとか、次の競売はどこの会社に受注させるなど決めるようなものだけではありません。
見積表をお互いに見せて、どの会社に受注するのか了解させる形で対価を決定するような方法も取られます。また、こうした資料も、会合で見せるのではなく、担当者が他社に持って行って、関係企業間で情報を共有することも行われます。
こうした談合事件の特殊性から、検察官は、誰がいつどのような資料をどこに持って行ったのか、など実際の行為者の行動や認識を、防犯カメラや出張記録などの客観的資料だけでなく、関係者の取り調べを行い聞き出します。

取り調べにどう対応するか

談合の取り調べは何回も行われ、一日でも長時間行われることが多々あります。
誰の指示で持って行ったのか、持って行く際に資料についてどう説明されていたか、中身を見たことがあるか、誰に渡したか、など、詳細に取り調べが行われます。
役員や幹部級の従業員だと逮捕される可能性もあります。

被疑者には黙秘権が保証されます(憲法第38条第1項・刑事訴訟法第198条第2項)。また、供述調書を作成される場合は、閲覧又は読み聞かせを受け、増減変更の申立てをすることができます(刑事訴訟法第198条第4項)。また、署名押印は拒否することができます(刑事訴訟法第198条第5項)。
参考人だと黙秘権などの権利はありませんが、任意の捜査ですので取り調べを受けることや供述調書に署名押印することを強制させることはできません。
このような規制に反して取り調べが行われて、供述調書が作成されても、証拠能力が認められなかったり、仮に認められたとしても信用性が低いと裁判官に判断される可能性があります。

強制的に取り調べが行われたり、自分や関係者の言動や自分の認識が実際のものとは異なる供述調書が作成された場合、しっかりと正していく必要があります。もし応じてもらえない場合、弁護士に相談して対処してもらいましょう。

独占禁止法についてはこちらのページでも解説をしています。

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