不倫相手とのハメ撮りをアップ,法的問題点や刑事罰について

事例

会社役員であるAさんは、アルバイト従業員であるBさんと不倫関係にありました。ある日、Aさんは、Bさんから「真剣交際をしたい人が見つかったので別れたい。」といわれました。Aさんは、どうせ不倫なのだからBさんも不倫したらよいではないかと提案しましたが、断られてしまい、怒りにまかせてBさんとセックスしている時に撮影した動画をインターネット上に投稿しました。
(この事例はフィクションです)

さて、どのような問題が生じるでしょうか。

このような事例でAさんから相談を受けた弁護士として、どのようなリスクを提案するか、説明します。

1点目 盗撮の罪が成立するか

Aさんは、Bさんとセックスしている際の動画、いわゆるハメ撮りを投稿していますが、そもそもこの動画撮影は、Bさんの許諾を得ているのでしょうか?
許諾を得ていない場合、各地域の条例に規定されている盗撮や性的姿態等撮影罪などの犯罪が成立する可能性があります。したがって、示談等Bさんに対する被害弁償に動く必要があります。

なお、Bさんは、アルバイト従業員ということですが、18歳未満の場合には児童ポルノ関係の法令に抵触する可能性があります。その動画データを所持している点は児童ポルノの所持罪、撮影をした点は児童ポルノの撮影罪が成立します。また、Bさんとのセックス自体が各地域の条例で定める青少年保護条例に規定された淫行にあたる可能性があります。いずれにしても示談等被害弁償をする必要があります。

2点目 わいせつ電磁的記録媒体公然陳列が成立するか

わいせつな動画や画像をインターネット上にアップロードした場合、わいせつ電磁的記録媒体公然陳列という犯罪が成立する可能性があります。

例えば、日中の路上でいきなり全裸になった場合、公然わいせつという犯罪が成立することはなんとなくお分かりになると思います。わいせつ電磁的記録媒体公然陳列は、公然わいせつのインターネット版というようなイメージを持っていただくと分かりやすいかもしれません。
Aさんのケースでは、インターネット上にアップロードしたとして、どのようなものにアップロードしたのか、誰でも見られるブログや掲示板なのか、それとも会員制のウェブサイトなのか、といった点を考慮して、犯罪の成否を検討することになります。

なお、Bさんが18歳未満である場合には、児童ポルノの頒布等より重たい犯罪が成立する可能性があります。

3点目 リベンジポルノや名誉毀損の罪が成立するか

リベンジポルノは、簡単にいうと、元配偶者や元交際相手などの性的な画像や動画をその人の承諾を得ず公表するような行為です。
名誉毀損は、簡単にいうと、ある人の名誉を低下させるようなことを公に言いふらすような行為です。

AさんがBさんとセックスしている動画がインターネット上にアップロードされたことによって、そのセックスのことがAさんとBさんの会社やBさんの友人知人に知れ渡った場合、Bさんがとても恥ずかしい思いをすることは容易に想像できますし、それ以上の思いをすることも容易に想像できます。

その動画でセックスしている人がBさんだと分かるような内容である場合、Aさんには、リベンジポルノや名誉毀損といった犯罪が成立する可能性が十分にあります。他方、動画そのものや動画をアップロードする際のコメントや文章などから、Bさんとは分からないようなものであれば、それらの犯罪が成立しない可能性も十分あり得ます。弁護士と相談して、犯罪成立のリスクを見極め、場合によっては示談等を行うことが考えられます。

4点目 不同意性交等の罪が成立するか

さて、AさんとBさんの間のセックスは、不同意性交等といった問題を生じないでしょうか。いわゆるワンナイトの場合、そういった犯罪の可能性が出てきますが、継続的な不倫であれば、その可能性は低いといえます。

ただ、不同意性交等は、近年刑事法令が改正されたことでできた新しい犯罪であり、重要な話がたくさんあります。この不同意性交等については、別途事例を設けて、別の記事で解説しますので、そちらの記事をご参照ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を重点的に扱う法律事務所として、複数の犯罪発生リスクを慎重に見極めた法律サービスを提供しています。こういった専門的な弁護士や実績のある弁護士のサポートをご希望の場合には、こちらからぜひ弊所に一度ご相談ください。

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