企業犯罪や不祥事が一度起きてしまうと、会社にとって様々な悪影響がでてしまいます。
そのため、企業犯罪や不祥事を起こさないための予防策を講じておく必要があります。
このページの目次
コンプライアンス
企業犯罪や不祥事を起こさないための予防策のことを「コンプライアンス」(コンプライアンス体制)といいます。
みなさんも一度は「コンプライアンス」や「コンプラ」という言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか。
コンプライアンス(compliance)とは、直接的には「法令遵守」を意味します。しかし、企業に求められる「コンプライアンス」には、法令遵守だけでなく、倫理観、公序良俗などの社会的な規範に従い、公正・公平に業務を行うことも含まれています。
コンプライアンスが問題となる場合
企業におけるコンプライアンスが問題となる場面としては、「労働問題」、「刑事事件」、「その他法令違反」、「情報漏洩」の4つが主に挙げられます。
労働問題
労働問題では、賃金未払いや違法残業、過労死、ハラスメント、安全配慮義務違反などが考えられます。
複数の要素が絡み合うことも多く、労使間の適切な関係構築は会社運営のためには重要です。
刑事事件
刑事事件では、脱税や助成金の不正受給、贈賄や談合、粉飾決算など会社が主体となって行われる犯罪だけでなく、業務上横領や特別背任といった役員や従業員が独自に行うものも含まれます。
刑事罰を受けるリスクだけでなく、報道・公表のリスク、追徴課税などの多大な経済的負担リスク、許可取消などの行政処分リスクなど様々なリスクが一度に顕在化する非常に重要な問題です。
その他法令違反
その他法令違反としては、特許権侵害や著作権侵害など知的財産権に関する問題や、食品衛生法違反や建設業法違反といった企業が事業を遂行するにあたって遵守すべき法令の違反を含んでいます。
法令には明確に違反基準が決められていることが多く、法令違反についてはコンプライアンス違反に対する社会的風当たりが強くなってしまうことが考えられます。
情報漏洩
情報漏洩とは、企業が管理する顧客情報や製品開発情報などの機密情報の流出、従業員によるインサイダー取引などが含まれています。
電子データでの情報保管が主流になってきている昨今では、ハッキングなどにより情報流出がなされてしまうなど、外部からの情報漏洩リスクについても考えなければなりません。
個人情報の漏洩が会社の信用を失うことはもとより、企業秘密の漏洩については早急に対応しないと多大な経済的損失を生んでしまうことにもなりかねません。
コンプライアンス体制構築の重要性
企業犯罪や不祥事などコンプライアンス違反が生じてしまう背景には、そもそもコンプライアンスに関する知識がない又はコンプライアンスに対する認識が甘いということが挙げられます。
経営者の方がコンプライアンスに関する知識や認識に不足している部分があれば、それだけリスクマネジメントがおろそかになり、コンプライアンス違反を招きやすく又対応も遅れてしまいます。
また、コンプライアンス体制の構築にはある程度の経営資源を割く必要があります。
そのため、利潤を求めるあまりコンプライアンス部門の介入が営業活動の制約に見えてしまい、コンプライアンス体制の十分な構築をしないままになってしまっていることもあります。
さらに、一旦構築したコンプライアンス体制について、その管理がしっかりとできていないと意味がありません。
時代に即してコンプライアンスの内容もアップデートしていく必要もあります。
管理体制・アップデートの仕組みを構築することができていないこともコンプライアンス違反が起きてしまう背景と言えます。
まとめ
しっかりとしたコンプライアンス体制を整えることによって、様々なリスクを未然に予防することが可能となり、実際にリスクが顕在化した場合でも損害を最小限に留められる可能性が出てきます。
昨今では、コンプライアンス体制がしっかり構築されているか、それが機能しているかという視点が取引先や就職先を選定する一つの基準ともなっています。
コンプライアンス体制を整えることが企業の発展にも寄与する可能性があります。
日に日にコンプライアンスの重要性は増しているといえるでしょう。