環境保護法令違反(水質汚濁防止法)

水質汚濁防止法とは

水質汚濁防止法は、工場及び事業場から公共用水域に排出される水の排出及び地下に浸透する水の浸透を規制するとともに、生活排水対策の実施を推進すること等によって、公共用水域及び地下水の水質の汚濁の防止を図り、もって国民の健康を保護するとともに生活環境を保全し、並びに工場及び事業場から排出される汚水及び廃液に関して人の健康に係る被害が生じた場合における事業者の損害賠償の責任について定めることにより、被害者の保護を図ることを目的としております(第1条。以下特に断りがない限りこの法律です)。

水質汚濁防止法に定められた基準に違反して汚水を排出した排出基準違反について、犯罪として検挙されることがあります。

第12条第1項で、「排出水を排出する者は、その汚染状態が当該特定事業場の排水口において排水基準に適合しない排出水を排出してはならない。」と定められております。

違反したら、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処されることになります(第31条第1項)。

法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して罰金刑を科されることになります(第34条)。

名古屋地方裁判所令和元年5月8日判決では、廃棄物処理業等を営む会社が、食品製造業等から排出される廃棄物を処理して肥料の製造等を行う施設から、定められた基準値を超える汚水を名古屋港に5回にわたり排出したとして、有罪となっております。

搬入される廃棄物の受入れが施設の処理能力を大きく超える状況にあったにもかかわらず、適切な措置を講じることなく、従業員を指揮して安易に違法排水を続けて種々の隠ぺい工作をも行った、とされています。

行政機関からの改善命令等に対する違反も犯罪となります。

都道府県知事は、排出水を排出する者が、その汚染状態が当該特定事業場の排水口において排水基準に適合しない排出水を排出するおそれがあると認めるときは、その者に対し、期限を定めて特定施設の構造若しくは使用の方法若しくは汚水等の処理の方法の改善を命じ、又は特定施設の使用若しくは排出水の排出の一時停止を命ずることができます(第13条第1項)。

都道府県知事は、その汚濁負荷量が総量規制基準に適合しない排出水が排出されるおそれがあると認めるときは、当該排出水に係る指定地域内事業場の設置者に対し、期限を定めて、当該指定地域内事業場における汚水又は廃液の処理の方法の改善その他必要な措置を採るべきことを命ずることができます(第13条第3項)。

都道府県知事は、有害物質使用特定事業場から水を排出する者(第12条の3)が、環境省令で定める要件に該当する特定地下浸透水を浸透させるおそれがあると認めるときは、その者に対し、期限を定めて特定施設の構造若しくは使用の方法若しくは汚水等の処理の方法の改善を命じ、又は特定施設の使用若しくは特定地下浸透水の浸透の一時停止を命ずることができます(第13条の2第1項)。

都道府県知事は、有害物質使用特定施設を設置している者又は有害物質貯蔵指定施設を設置している者が基準を遵守していないと認めるときは、その者に対し、期限を定めて当該有害物質使用特定施設若しくは有害物質貯蔵指定施設の構造、設備若しくは使用の方法の改善を命じ、又は当該有害物質使用特定施設若しくは有害物質貯蔵指定施設の使用の一時停止を命ずることができます(第13条の3第1項)。

都道府県知事は、特定事業場又は有害物質貯蔵指定施設を設置する工場若しくは事業場において有害物質に該当する物質を含む水の地下への浸透があったことにより、現に人の健康に係る被害が生じ、又は生ずるおそれがあると認めるときは、環境省令で定めるところにより、その被害を防止するため必要な限度において、当該特定事業場又は有害物質貯蔵指定事業場の設置者に対し、相当の期限を定めて、地下水の水質の浄化のための措置をとることを命ずることができます(第14条の3第1項)。

これらの命令に違反した者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられます(第30条)。

法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、このような違反行為をしたときは、行為者が処罰されるだけでなく、その法人又は人もそれぞれの条文に規定する罰金刑を科されます(第34条)。

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