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インシデント発生!運送会社が取るべき初動対応と弁護士相談の重要性

運送業では日々の安全対策を徹底していても、事故や法令違反などのインシデントが起こるリスクをゼロにはできません。
そしていざ人身事故や過積載、無許可営業、飲酒運転といった重大インシデントが発生した際には、その直後の初動対応の質如何で、会社および経営者・運行管理者のその後の法的責任が大きく左右されます。
初動対応を誤りパニック下で不適切な指示を出したり、救護義務など法定の対応を怠ったり、現場で安易に責任を認める発言や示談を試みたりすると、被害者感情を悪化させるだけでなく、不要な重大刑事責任(例:ひき逃げによる救護義務違反)や行政処分を招き、会社経営に深刻なダメージを及ぼしかねません。
逆に冷静かつ的確な初動対応は被害の拡大を防ぎ、被害者・関係者からの信頼を得て、結果的に会社の損害を最小限に食い止める効果的な危機管理策となります。
本記事では、万が一インシデントが発生してしまった後に運送会社が取るべき具体的な初動対応策と、刑事事件に発展する前に専門の弁護士へ迅速に相談することの重要性について解説します。
初動対応の重要性と緊急時の心構え
重大な事故やトラブルが起きた際、経営者や管理者が最初に行う対応は今後の事態収拾に決定的な影響を与えます。
事故直後の数時間で行われる対応如何で、その後に会社が負う民事上の賠償責任だけでなく、刑事上の責任や行政上の処分の重さまで左右されるケースもあります。
現場からの第一報を受けたら、まず深呼吸して冷静になることが肝要です。
パニック状態で指示を誤ると二次被害や法令違反に繋がりかねないため、経営トップや運行管理者は平時から緊急対応の手順を頭に入れておき、迅速かつ的確な指示を出せる心構えが必要です。
何より人命尊重と法令遵守を最優先に、初期対応に当たることが求められます。
事例:運送業で起こり得る重大インシデント
主なケースは次の通りです。
人身事故では、ドライバーに刑事責任が問われるのはもちろん、会社も多額の損害賠償責任を負い、重大事故では経営陣が事情聴取を受ける恐れもあります。
過積載が摘発された場合、違反を指示・容認していれば会社も処罰対象となり(6か月以下の拘禁刑・10万円以下の罰金)、悪質なケースでは事業停止や許可取消し等の行政処分に及ぶおそれがあります。
無許可営業(白ナンバーでの違法輸送)は摘発時に経営陣が逮捕される例もあり、悪質な違反として刑事罰の対象となります。
飲酒運転では、ドライバーの刑罰に加え、会社側も「車両提供罪」により処罰対象となることがあります(運転者が酒酔いの場合5年以下の拘禁刑・100万円以下の罰金、運転者が酒気帯びの場合3年以下の拘禁刑・50万円以下の罰金)。
これらはいずれもドライバーだけでなく会社や経営者に法的責任が及ぶ重大リスクです。
迅速な事実確認と記録・証拠の保全
インシデント発生直後の初動対応では、正確な状況把握と証拠保全が肝要です。
ドライバーや関係者から「いつ・どこで・誰が・何を・なぜ・どのように」といった基本情報を落ち着いて聴取し、事故や違反の概要を記録します。
同時に、事故現場の写真・動画、ドライブレコーダー映像や運行記録(タコグラフ等)の保存など、後日の証拠となる資料を紛失や消去のないよう確実に確保します。
特に過失の有無や原因を巡り争いになりそうな場合、初動で集めた客観証拠がその後の交渉や裁判で決定的な意味を持ちます。
なお、この段階で憶測による原因断定や、安易な過失の全面了承(自社の非を認める発言)は厳禁です。
警察・監督官庁への対応と報告義務
インシデント発生時には、速やかに警察および関係行政機関へ報告しなければなりません。
交通事故の場合は、人身・物損を問わず110番通報で警察を現場に呼ぶことが法令で義務付けられています。
相手から「警察は呼ばずに示談で」と提案されても、決して応じてはいけません。
警察に報告しないと道路交通法違反となり、事故証明書が発行されず保険金請求もできません。
過積載や無許可営業など法令違反が絡む案件では、警察以外に運輸局から行政処分を受ける場合もあります。
行政機関への事故報告や資料提出は定められた期限・手順を守り、速やかに行いましょう。
虚偽報告や事実の隠蔽は厳禁で、発覚すれば一層重い処分を招きます。
報道対応と社内外への情報発信
重大事故や不祥事が起きた際には、報道機関から取材が入る可能性があります。
企業イメージの悪化を防ぐため、慎重かつ誠実な広報対応が不可欠です。
基本方針は事実に基づく正確な情報提供と、被害者への真摯な謝罪・反省の姿勢を示すことにあります。
自社に非がある場合は認めるべき責任を認めつつ、憶測での発言や責任逃れと受け取られる言動は厳に慎みます。
メディア対応は担当者に一元化し、必要に応じて顧問弁護士や広報の専門家と協議の上で公式コメントを発信します。
重大事故では記者会見を開く場合もありますが、その際も被害者・遺族への謝罪と再発防止策を中心に説明することが大切です。
また、従業員や取引先など社内外への説明も速やかに行い、憶測やデマの拡散を防ぎます。
刑事事件への発展と弁護士相談の必要性
上記のような重大インシデントは、警察の捜査を経て刑事事件に発展する可能性が高いです。
ひとたび刑事事件となれば、ドライバーだけでなく会社の経営陣も刑事責任を問われる可能性があります。
その結果、企業は重い刑罰や事業継続の危機に直面しかねません。
こうした最悪の事態を防ぐには、刑事事件化する前の段階から専門の弁護士に相談しておくことが極めて重要です。
早期に弁護士を交えておけば、警察対応や証拠提出も適切に行え、被害者への謝罪や賠償交渉も円滑に進められます。
それにより後日の刑事処分が軽減される可能性も高まります。
また、万一逮捕・起訴といった事態になっても、初期から事情を知る弁護士がいれば迅速に適切な弁護活動を展開できます。
事務所紹介:初動対応支援に強い法律のプロ
当事務所は運送業界における事故対応や刑事案件に強い法律事務所です。
人身事故の示談交渉からドライバーの刑事弁護、過積載や無許可営業に関する行政手続まで、運送会社様が直面し得る様々な法的トラブルをワンストップで支援いたします。
重大なインシデント発生時には、初動段階から弁護士が介入することで警察対応や被害者対応について適切なアドバイスを行い、事態の沈静化と被害拡大防止に努めます。また、事故後の行政への事故報告書提出や再発防止策の実施など、必要な法的対応についても的確にアドバイスいたします。
豊富な経験を持つ弁護士が多数在籍しておりますので、万が一の際には迅速に最善の対応策をご提案いたします。
運送業に関するお困りごとがございましたら、どうぞお気軽に当事務所へご相談ください。
