【事例】
Aさんは、京都市内で産業廃棄物の収集運搬を行う会社であるⅩ社に長年勤めていました。
Aさんは、家庭の事情をきっかけに、それまで勤めていた会社を退職し、地元である滋賀県高島市で、自ら産業廃棄物の収集運搬を行う会社を立ち上げようと考えました。
AさんはX社に勤めていた経験から、役所で手続きが必要だったり、細かなルールが定められていたりするのは知っていましたが、具体的にどのような手続きをすればいいのかまではわかりませんでした。
そこで、Aさんは、今後必要な手続きなどを相談するために、あいち刑事事件総合法律事務所に相談することにしました。
(事例はフィクションです。)
1 はじめに
前回の記事では、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下では「廃棄物処理法」といいます。)が、事業を細分化し、許可ごとに行える事業を分けたうえで、事業を行う会社にはその事業に対応する許可を取ることをお伝えしました。
そして、廃棄物処理法が細分化している事業の種類のうち、廃棄物の種類に着目した分類と業態に着目した分類を見てきました。
今回は、許可の条件についてみていきます。
2 産業廃棄物収集運搬業許可の条件
産業廃棄物収集運搬業許可を得るためには、十分な施設や能力があるかといった条件(廃棄物処理法14条5項1号)や一定の者に許可を与えないとする欠格要件(廃棄物処理法14条5項2号)といった条件が定められています。
⑴ 施設・能力に関する条件
廃棄物処理法は、「その事業の用に供する施設及び申請者の能力がその事業を的確に、かつ、継続して行うに足りるものとして環境省令で定める基準に適合するものであること」という条件を設定しています(廃棄物処理法14条5項1号)。
この「環境省令で定める基準」というのは、廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則10条に定められています。
その内容は次のとおりです。
一 施設に係る基準
イ 産業廃棄物が飛散し、及び流出し、並びに悪臭が漏れるおそれのない運搬車、運搬船、運搬容器その他の運搬施設を有すること。
ロ 積替施設を有する場合には、産業廃棄物が飛散し、流出し、及び地下に浸透し、並びに悪臭が発散しないように必要な措置を講じた施設であること。
二 申請者の能力に係る基準
イ 産業廃棄物の収集又は運搬を的確に行うに足りる知識及び技能を有すること。
ロ 産業廃棄物の収集又は運搬を的確に、かつ、継続して行うに足りる経理的基礎を有すること。
⑵ 欠格要件
例えば、一定の「心身の故障によりその業務を適切に行うことができない者」(廃棄物処理法14条5項2号イ、7条5項4号イ)、「破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者」(廃棄物処理法14条5項2号イ、7条5項4号ロ)、一定の前科がある者(廃棄物処理法14条5項2号イ、7条5項4号ハ、ニ)、以前に廃棄物処理法や関連法の許可を取り消されたことがある一定の者(廃棄物処理法14条5項2号イ、7条5項4号ホ)や処分に先立って事業の廃止の届出をした一定の者(廃棄物処理法14条5項2号イ、7条5項4号ヘ)、「暴力団員等」やその支配下にある者(廃棄物処理法14条5項2号ロ、ヘ)などです。
また、具体的に法律に例示されているものにかかわらず、「その業務に関し不正又は不誠実な行為をするおそれがあると認めるに足りる相当の理由がある者」も該当します(廃棄物処理法14条5項2号イ、7条5項4号チ)。
他にも、こういった方々が、法定代理人である未成年者(営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない場合)や(廃棄物処理法14条5項2号ハ)、役員などである法人(廃棄物処理法14条5項2号ニ)も含まれます。
今回は、廃棄物処理法の許可について解説していきました。この続きは今後の記事で解説していきます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件に関わってきた経験を活かし、そもそも法律に違反しないための対応・アドバイスにも力を入れています。
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