第三者委員会について③

第三者委員会について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

そもそも第三者委員会とは何か

日本弁護士連合会が公表した「企業不祥事における第三者委員会ガイドライン」(以下「ガイドライン」という。)では、第三者委員会について、「企業や組織(以下、「企業等」という)において、犯罪行為、法令違反、社会的非難を招くような不正・不適切な行為等(以下、「不祥事」という)が発生した場合及び発生が疑われる場合において、企業等から独立した委員のみをもって構成され、徹底した調査を実施した上で、専門家としての知見と経験に基づいて原因を分析し、必要に応じて具体的な再発防止策等を提言するタイプの委員会」と定義しています。

第三者委員会の活動の内容とは

ガイドラインでは以下の行為が第三者委員会の活動とされています(ガイドライン1、2頁・第三者委員会の活動)。

1.不祥事に関連する事実の調査、認定、評価

第三者委員会は、企業等において、不祥事が発生した場合において、調査を実施し、事実認定を行い、これを評価して原因を分析する。
(1)調査対象とする事実(調査スコープ)  
第三者委員会の調査対象は、第一次的には不祥事を構成する事実関係であるが、それに止まらず、不祥事の経緯、動機、背景及び類似案件の存否、さらに当該不祥事を生じさせた内部統制、コンプライアンス、ガバナンス上の問題点、企業風土等にも及ぶ。
(2)事実認定
調査に基づく事実認定の権限は第三者委員会のみに属する。
第三者委員会は、証拠に基づいた客観的な事実認定を行う。
(3)事実の評価、原因分析
第三者委員会は、認定された事実の評価を行い、不祥事の原因を分析する。
事実の評価と原因分析は、法的責任の観点に限定されず、自主規制機関の規則やガイドライン、企業の社会的責任(CSR)、企業倫理等の観点から行われる。

2.説明責任

第三者委員会は、不祥事を起こした企業等が、企業の社会的責任(CSR)の観点から、ステークホルダーに対する説明責任を果たす目的で設置する委員会である。

3.提言

第三者委員会は、調査結果に基づいて、再発防止策等の提言を行う。

ガイドラインでは、第三者委員会は、すべてのステークホルダーのために調査を実施し、その結果をステークホルダーに公表することで、最終的には企業等の信頼と持続可能性を回復することを目的とする、とされています(ガイドライン1頁・基本原則)。
そのため、第三者委員会は、関係者の法的責任を問うというよりも、原因の究明及び再発防止策の策定等の点に主眼を置き、これを関係者に公表することを主とする方がよいと考えられます。とりわけ、不祥事が発生した企業において、今後、安定的な経営を行っていくためには、再発防止策の策定は、企業にとって極めて重要な問題といえます。
なお、第三者委員会の調査は、法的な強制力をもたない任意調査であるため、企業は、全面的に協力することが不可欠です。

第三者委員会について、この続きは今後の記事で解説していきます。

最後に

第三者委員会のメンバーを構成するときに弁護士がその主要なメンバーとなるのが通常です。それは弁護士は、その職務上、事実調査や法的な判断などを日頃から業務として行っているので、調査が正確に行われる蓋然性が高いということにあります。
企業で不祥事が発生し、第三者委員会設置を考えておられる、あるいは、不祥事が起きていなくても、不祥事の事前の回避を真剣に考えておられる企業経営者等の方は、早めに弁護士にご相談ください。

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