コンプライアンス体制を導入したいけど、どういった体制を構築したらいいのかわからないという方は多いのではないでしょうか。
ここでは、コンプライアンス体制の導入・整備について、どういったことが必要となるのかについて説明します。
このページの目次
社内リスクの洗い出し
どのようなコンプライアンス体制が必要かについては、企業の業種や業態によって変わってきます。
そのため、自社が抱えているリスクにはどのようなものがあるのかを洗い出し、そのリスクの中から対処していく優先順位を付けてコンプライアンス体制を構築していく必要があります。
まずは、どのような会社にも共通するリスクを挙げていき、次に業種・業態に共通するリスクを挙げ、最後に自社特有のリスクを挙げていくのがよいでしょう。
就業規則・社内規定・マニュアルの作成
対応すべきリスクが決まれば、次は社内で守るべきルールを決定していきます。
そして、定めたルールについて、就業規則や社内規定という形で誰が見ても明らかにしておく必要があります。
できることであれば、リスクが生じてしまった場合の対応も含めてマニュアル化しておくとより分かりやすくなります。
ルールは、分かりやすく明確にする必要がありますが、あまりにも細かすぎると業務に支障が出てしまう場合もあります。
そのため、どこまで細かくするのか、どうやったら分かりやすく周知徹底できるのかをしっかりと検討する必要があります。
就業規則で定めておくべき内容としては、労働時間や休日に関係する内容や賃金に関する内容、懲戒や解雇に関する内容、退職金関係などが挙げられます。
その他、社内規定として定めておくべき内容としては、ハラスメント対応、情報保護関係などが挙げられます。
管理体制の構築
ルールを定めたとしても、そのルールがきちんと守られているかを監視し、ルール違反や疑義が生じた場合にはそれに対応する体制を構築しておかなければ、実効性が担保できません。
社内監査やリスク対応を専門とするコンプライアンス管理部門を設置することが考えられますが、ある程度大規模な企業でなければ専門の部門を設けることは難しいでしょう。
その場合には、相談窓口を設置したり、目安箱の様な意見を社長などに直接伝えることができるシステムを作ったりするということも考えられます。
また、弁護士などの専門家に直接相談できるような環境を作ることもよりよい環境づくりのためには有益です。
どのような組織や体制を構築するかは会社の規模や業種・業態によって様々な態様が考えられますが、自社に合った体制が構築できているかどうかは非常に重要です。
企業内研修
ルールを作成し、管理体制を構築したとしても、ルールを守るべき人がそのルールを知らなかったり、よく理解していなかったりしたら意味がありません。
そのため、コンプライアンスに関する企業内研修を行い、ルールの周知徹底や意識改革をする必要があります。
研修については、役員や管理職向けなのか従業員向けなのかによっても内容を変える必要がありますし、各人の能力や状況によっても難しすぎず理解しやすい内容にする必要があります。
ハラスメントや労働紛争、情報セキュリティなど分野別にそれぞれ研修を行ったり、倫理研修のような様々な分野に横断的に対応できる研修を行ったりすることも有効です。
契約書の整備
社内のルールとは別に、取引先と取り交わす契約書などについてもきちんと整備しておく必要があります。
口頭で契約が成立する場合でも、あとから言った言わないというトラブルに発展することが考えられますので、きちんと契約書を作成しておくことが無用なトラブルを避けることにつながります。
もっとも、作成した契約書の内容が杜撰なものであれば、意味がありません。
そのため、日常的に作成する種類の契約書については、しっかりとしたひな形を用意するとともに、各事案に応じて柔軟に対応できるように契約書をチェックしてくれる体制を構築することも重要です。