コンプライアンス体制の構築④

【事例】

Aさんは、佐賀県唐津市で水産加工業を営む会社であるⅩ社の従業員です。
Ⅹ社では、インターネットでの通販を利用して自社の水産加工品を日本全国に販売することを目指しています。
しかし、Ⅹ社は、これまで自社の直売所での販売と地元の小売店への販売しかしていませんでした。
そのため、インターネット通販のサイトを開設する必要もあると考えていますし、購入された水産加工品を安全に消費者に届けなければいけませんし、消費者への輸送手段も確保せねばなりません。
また、事業拡大のために、銀行から融資も受けなければなりません。
このような山積する課題に対応する一環として、Ⅹ社では法務部を新設することになり、Aさんがそこの責任者となりました。
Aさんが法務部の責任者として最初に会社から指示された仕事は、X社のコンプライアンス体制を構築することでした。
しかし、Aさんは弁護士資格を有しているわけではありませんでした。
また、X社にはこれまで顧問として付いてもらっていた弁護士もいません。
そこで、Aさんは、Ⅹ社のコンプライアンス体制を構築するにあたって、あいち刑事事件総合法律事務所に相談することにしました。

1 はじめに

以前の記事で、法的リスクを細分化する必要性について解説してきました。
そして、今回の記事では、Ⓐ絶対に取ってはいけないリスクなのかⒷ取っても良いリスクなのかを判断することの意味などについてより詳細に見ていきます。

2 リスクへの対応の濃淡

以前の記事で法的リスクを細分化してみていきましたが、その内容からわかるように、企業活動をするうえで必ず直面するものだと言っても過言ではありません。

このように必ずといっていいほどリスクには直面しますが、Ⓐ絶対に取ってはいけないリスクなのか、Ⓑ取ってもいいリスクなのかを考えなければなりません。
なぜかといえば、漠然とリスクがあると捉えているだけでは、不可避的にリスクには直面する以上、リスクがあれば避けるというのでは何も行動できなくなりますし、どのようなリスクがあっても突き進むというのでは企業にいつか致命的なダメージを与えるリスクが顕在化することにもなりかねません。

そして、細分化したリスクがⒶ取ってはいけないリスクなのか、Ⓑ取ってもいいリスクなのかは、いかなる企業にも当てはまる普遍的なものばかりではなく、企業ごとに影響する度合いには差があります。
例えば、裁判に対応するには費用が掛かりますし(以前の記事の④裁判に対応しなければならないリスク)、敗訴した場合には相手方に賠償をしなければなりません(以前の記事の③敗訴してしまうリスク)。敗訴した場合の差し押さえ等について裁判所HP
大企業にとっては深刻なダメージを与えない額であっても、比較的事業規模の小さな企業にとっては、裁判費用だけで企業運営に支障をきたす場合もあるでしょうから、こういったリスクはⒶ取ってはいけないリスクになります。
一方で、かかる費用や賠償額が少額の裁判でも、その裁判が世間の注目を集めるものであれば(以前の記事の⑤自社の評判が傷付けられるリスク)、比較的事業規模の小さな企業にはそれほどの痛手にはならないかもしれませんが、大企業には大きな痛手になる場合もあるでしょうから、この場合は大企業にとってはⒶ取ってはいけないリスクとなります。

今回は、法的リスクを細分化する必要性と対応の考え方についてより詳細に解説していきました。この続きは今後の記事で解説していきます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件に関わってきた経験を活かし、そもそも会社内で不祥事を起こさないための対応・アドバイスにも力を入れています。
コンプライアンス体制の構築などについてアドバイスをご希望の方は、一度、あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

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