知的財産権を侵害したら、犯罪として処罰されることがあります。
以下、著作権法、商標法、特許法の主な犯罪について解説いたします。
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著作権法違反
著作権法は、著作物並びに実演、レコード、放送及び有線放送に関し著作者の権利及びこれに隣接する権利を定め、これらの文化的所産の公正な利用に留意しつつ、著作者等の権利の保護を図り、もって文化の発展に寄与することを目的としております(第1条)。
著作権等を侵害した者は、10年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金に処し、又はこれを併科されることになります(第109条第1項)。
著作権
著作権とは、自分が創作した著作物を無断で利用されない権利です。
著作者人格権等を侵害した者は、5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金に処し、又はこれを併科されることになります(第109条第2項)。
著作者人格権
著作者人格権は、公表権、氏名表示権、同一性保持権、からなります。
公表権
公表権は、その著作物でまだ公表されていないものを公衆に提供し、又は提示する権利です。
氏名表示権
氏名表示権は、その著作物の原作品に、又はその著作物の公衆への提供若しくは提示に際し、その実名若しくは変名を著作者名として表示し、又は著作者名を表示しないこととする権利です。
同一性保持権
同一性保持権は、その著作物及びその題号の同一性を保持する権利です。
法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、一定の著作権法違反を犯したときは、行為者を罰するほか、その法人・その人に対して罰金刑を科されることになります(第124条第1項)。
私的使用の目的をもって、違法にインターネットにアップロードされている著作物等を有償でダウンロードすると、2年以下の懲役若しくは200万円以下の罰金に処し、又はこれを併科されることになります(第119条第3項)。
商標法違反
商標法は、商標を保護することにより、商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図り、もって産業の発達に寄与し、あわせて需要者の利益を保護することを目的としております。(第1条)
商標
商標とは、人の知覚によって認識することができるもののうち、文字、図形、記号、立体的形状若しくは色彩又はこれらの結合、音その他政令で定めるもの(以下「標章」という。)であって、次に掲げるものをいいます(第2条第1項)。
- 業として商品を生産し、証明し、又は譲渡する者がその商品について使用をするもの
- 業として役務を提供し、又は証明する者がその役務について使用をするもの
商標権等を侵害した者は、10年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金に処し、又はこれを併科されることになります(第78条)。
以下の行為(第37条)を行った者は、商標権等を侵害する行為とみなされる行為を行ったとして、5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金に処し、又はこれを併科されることになります(第78条の2)。
- 指定商品若しくは指定役務についての登録商標に類似する商標の使用又は指定商品若しくは指定役務に類似する商品若しくは役務についての登録商標若しくはこれに類似する商標の使用
- 指定商品又は指定商品若しくは指定役務に類似する商品であって、その商品又はその商品の包装に登録商標又はこれに類似する商標を付したものを譲渡、引渡し又は輸出のために所持する行為
- 指定役務又は指定役務若しくは指定商品に類似する役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物に登録商標又はこれに類似する商標を付したものを、これを用いて当該役務を提供するために所持し、又は輸入する行為
- 指定役務又は指定役務若しくは指定商品に類似する役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物に登録商標又はこれに類似する商標を付したものを、これを用いて当該役務を提供させるために譲渡し、引き渡し、又は譲渡若しくは引渡しのために所持し、若しくは輸入する行為
- 指定商品若しくは指定役務又はこれらに類似する商品若しくは役務について登録商標又はこれに類似する商標の使用をするために登録商標又はこれに類似する商標を表示する物を所持する行為
- 指定商品若しくは指定役務又はこれらに類似する商品若しくは役務について登録商標又はこれに類似する商標の使用をさせるために登録商標又はこれに類似する商標を表示する物を譲渡し、引き渡し、又は譲渡若しくは引渡しのために所持する行為
- 指定商品若しくは指定役務又はこれらに類似する商品若しくは役務について登録商標又はこれに類似する商標の使用をし、又は使用をさせるために登録商標又はこれに類似する商標を表示する物を製造し、又は輸入する行為
- 登録商標又はこれに類似する商標を表示する物を製造するためにのみ用いる物を業として製造し、譲渡し、引き渡し、又は輸入する行為
法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、商標件侵害等をしたときは、行為者を罰するほか、その法人・その人に対して罰金刑を科されることになります(第82条第1項)。
特許法違反
特許法は、発明の保護及び利用を図ることにより、発明を奨励し、もって産業の発達に寄与することを目的としております(第1条)。
特許権等を侵害した者は、10年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金に処し、又はこれを併科されることになります(第196条)。
特許権
特許権とは、特許を受けた発明を権利者が一定期間独占的に実施することができる権利です。
第101条に規定されている、特許権等を侵害する行為とみなされる以下の行為を行った者は、5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金に処し、又はこれを併科されることになります(第196条の2)。
- 特許が物の発明についてされている場合において、業として、その物の生産にのみ用いる物の生産、譲渡等若しくは輸入又は譲渡等の申出をする行為
- 特許が物の発明についてされている場合において、その物の生産に用いる物(日本国内において広く一般に流通しているものを除く。)であってその発明による課題の解決に不可欠なものにつき、その発明が特許発明であること及びその物がその発明の実施に用いられることを知りながら、業として、その生産、譲渡等若しくは輸入又は譲渡等の申出をする行為
- 特許が物の発明についてされている場合において、その物を業としての譲渡等又は輸出のために所持する行為
- 特許が方法の発明についてされている場合において、業として、その方法の使用にのみ用いる物の生産、譲渡等若しくは輸入又は譲渡等の申出をする行為
- 特許が方法の発明についてされている場合において、その方法の使用に用いる物(日本国内において広く一般に流通しているものを除く。)であってその発明による課題の解決に不可欠なものにつき、その発明が特許発明であること及びその物がその発明の実施に用いられることを知りながら、業として、その生産、譲渡等若しくは輸入又は譲渡等の申出をする行為
- 特許が物を生産する方法の発明についてされている場合において、その方法により生産した物を業としての譲渡等又は輸出のために所持する行為
法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、特許権等を侵害したときは、行為者を罰するほか、その法人・その人に対して罰金刑を科されることになります(第201条第1項)。