窃盗

窃盗罪は他人の物を盗む犯罪で、身近な犯罪のひとつです。

そのため、会社が被害に巻き込まれる可能性も高い犯罪といえるでしょう。

たとえば、会社が販売している商品を万引きされた場合や従業員が会社備品を勝手に持ち帰った場合など会社財産の窃盗の場合です。

また、会社が被害者とは言えない場合でも、会社が巻き込まれる可能性もあります。

たとえば、従業員のカバンから財布が盗まれた場合などのように会社内で会社財産とは言えない物の窃盗が行われた場合や、取引先に訪問した従業員が訪問先企業の物品を勝手に持ち帰ったなどのように会社外で従業員等が窃盗をしてしまった場合です。

このように会社が巻き込まれる可能性が高い窃盗罪について、どう対応していくべきかについて解説していきます。

会社財産の窃盗(会社が被害に遭った場合)

会社財産を窃盗された場合

  1. 被害届の提出や告訴
  2. 返還請求や損害賠償請求
  3. 再被害防止のための対策

などを考える必要があります。

①被害届の提出や告訴

万引き事件の場合には、犯人を現行犯逮捕して警察に引き渡すこともあるでしょう。

警察の捜査が開始されると、防犯カメラの提出や店員への聴き取り調査への対応が必要になります。

現行犯逮捕以外の場合には、被害届の提出や告訴など被害申告を警察にすることが必要になります。

被害申告の前に、防犯カメラの映像を精査したり、金銭や備品・在庫の保管状況について調査したりといった被害申告を警察が受け付けてくれるような証拠を集めておく必要があります。

また、従業員が会社備品などを持ち帰った場合、その従業員の権限によっては窃盗ではなく業務上横領など別の犯罪に当たる可能性もあります。

そのため、被害申告を考えている場合には、事前に弁護士に相談してどのような罪に当たるのか判断してもらいましょう。

②返還請求や損害賠償請求

窃盗された被害品については、犯人に返還を求めることができます。

犯人が警察の捜査を受けている場合には、捜査の結果被害品が発見された場合、警察から被害品を返してもらえることもありますが、警察が捜査をしていない場合には、自ら犯人に返還を求めることになります。

また、被害品が既に売却されていたり消費されていたりして返還を求めることが出来なくなっている場合には、犯人に損害賠償を求めていくことになります。

損害賠償は民事裁判で請求する場合と任意交渉で示談や和解によって解決させる場合とがあります。

民事裁判の場合には、損害の立証等は訴える側にあり、時間と労力がかかる反面、判決が出れば強制執行が可能となるため、仮に被告側が支払いを拒否したとしても回収できる可能性があります。

一方、示談や和解の場合、早期に解決することができ、金銭面以外の条件も付けることができるため、たとえば、支払わない場合に連帯保証人を付けることを条件とすることもできます。

任意交渉だとしても民事裁判だとしても、専門的知識を持った弁護士に依頼することで、時間や労力の節約につながります。

③再被害防止のための対策

同じ被害に遭わないためにも、再被害を防止する対策を行いましょう。

防犯カメラや警備員の設置・増設、備品などの管理を一人に任せない、金銭や備品の管理についての社内研修を行うなど様々な対策が考えられます。

しかし、どういった対策を講じればいいのかは会社規模や取り扱い内容によっても変わってきますので、専門家にアドバイスをもらいながら対策を考えていきましょう。

また、どれだけ予防策を講じても起きてしまうのが犯罪ですので、事件が起きてしまった時の対応マニュアルなども併せて作っておくことが重要です。

会社財産以外の窃盗

従業員が会社内で他の従業員等の私物を窃盗した場合には、基本的に会社が関係するとは言えないため、当事者同士で解決をしてもらうことになります。

しかし、従業員の私物管理についてのルールや設備の充実を行うことでこういったトラブルを事前に防ぐことができるため、鍵付きのロッカーを設置して貴重品等は必ず鍵をかけてロッカーに入れておくなどのルールを周知徹底させておくなどの対策は取っておくべきです。

当事者同士のトラブル解決に会社の協力を要請された場合には、中立的立場として協力することがあるかもしれません。

しかし、安易に協力してしまうと会社の対応に不満を持たれたり、過度に一方に肩入れしたというような疑いを持たれてしまうこともあるため、できるだけ介入しない方がよいと思われます。

もし、迷うことがあれば、弁護士に相談しましょう。

一方、従業員が取引先の物品を盗んでしまったという場合には、会社にも監督責任などを問われる可能性がありますし、そもそも会社の信用を失ってしまう可能性が高いといえます。

当該従業員を懲戒するだけでなく、取引先への謝罪と賠償、説明などを迅速に行いましょう。

会社が従業員の代わりに賠償をした場合には、従業員に対して会社から賠償に要した費用等を請求することが可能です。

従業員が取引先とは関係ないところで、窃盗を犯してしまった場合、基本的に会社は関係ありませんが、場合によっては、その従業員の勤務シフトなどを教えてほしい等警察から協力を要請される可能性があります。

対応について不安や不満がある場合には、弁護士に相談しましょう。

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