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企業における風評被害とは
風評被害とは、事実無根のゴシップやデマが拡散されたことによって個人や組織・企業などに悪影響が及ぶことです。
SNSやネット掲示板を利用して、誰でも情報が発信できるようになった今、誰もが風評被害に遭う可能性があります。
ここでは、企業に関する風評被害を取りあげますが、企業においては、風評被害によって、売上や利益の大幅なマイナス、顧客離れやユーザー離れなど、致命的な結果を招くこともあり、十分に対策を練っておくことが必要です。
風評被害の主な情報源
企業に関する風評被害はさまざまなメディアが情報源になります。
ここでは風評被害の主な情報源3つについて解説します。
マスコミによる報道
新聞や雑誌、テレビなどのマスコミによる報道が企業に関する風評被害を生むことがあります。
マスコミによる報道は多くの人の目に触れますし、マスコミは一般的に信頼性があるとされているので、何故、風評被害を生むのか不思議に思う方も多いと思います。
しかし、実際には、マスコミの報道の中にも事実を誤認した内容や偏った内容が含まれることがあり、このことが風評被害を生む原因になります。
特に、企業における事故や刑事事件についての報道のように、多くの人の生活に直接的な影響を及ぼす報道については、視聴者・読者の関心が高く、不安を感じることでかえって事実無根のデマが生じやすく、注意が必要です。
SNSなどネット上の書込み
次に、SNSなどインターネット上の書込みが企業に関する風評被害を生む情報源になることがあります。
昨今では、この方法による風評被害が多くなっており、SNSは、誰でも匿名で簡単に書き込めるため、根拠のない情報等が多くの人の目に触れてしまうことが問題です。
また、SNSは、情報が瞬時に拡散してゆくという問題もあります。
人から人への口コミ
さらに、口コミサイトや人と人とが直接対面、ないし、電話で会話して情報を伝えることで企業の悪評が広まることもあります。
拡散される範囲は、比較的狭いものの、店の利用客や元従業員などによる悪質な書き込みなど、企業を批判する内容の口コミには注意することが必要です。
風評被害、口コミに対して求められる対策
次に、企業が風評評害を受けた場合に具体的にどのような対策を立てればよいのでしょうか。
事実関係の確認
企業が風評被害を受けていると思料された際には、まずは、風評の内容について、その真偽を確かめる必要があります。
企業が、初期段階で、うちの企業に限って風評にあるような事実はないと考えて、きちんと事実確認せずに、内容を否定したとして、後からその内容が事実であったことが明るみに出れば、企業はより一層強い批判を受けることになります。
そのため、風評被害に関する情報を発信する前に、まずは、その真偽を確認することが必要です。
声明文の発信
事実関係の確認が終了したら、即時に声明文を発信すべきです。
企業に対して寄せられた批判的な情報が事実でなければ、企業は被害者といえますから、事実とは異なる情報が拡散されている旨を記載した声明文を速やかに出すべきです。
また、情報が事実であれば、再発防止に努める旨の声明文を出すことで、風評被害を最小限に抑えることも極めて重要です。
声明文は、企業のホームページやSNSカウントなど、多くの人の目に留まる場所に掲載することが大切です。
書き込みの削除依頼
次に、事実関係を確認した結果、批判的な情報が事実でない場合、企業は被害者として、風評の発進元に削除を求めるなど、SNSや匿名掲示板の書き込みへの対策も重要です。
この場合、サイト管理者に削除請求を出し、申請が承認されれば削除されるという流れが一般的です。
この点、書き込みの削除依頼は企業内の担当者が行うことも可能ですが、弁護士によって削除依頼を行ったほうがサイト管理者等の相手方が依頼に応じてくれる可能性が高くなります。
相手方としては、削除依頼を拒否すれば、その後、弁護士によって裁判手続きを取られると考えるからです。
この点、サイト管理者が削除依頼を拒否した場合、その後は実際に裁判手続きが必要になりますので、そのことも考えますと、削除依頼を行う段階で弁護士に依頼しておいたほうがよいといえます。
投稿者に対する損害賠償請求、刑事責任の追及
また、事実でない情報を投稿した本人を特定し、投稿者に対して謝罪を求め、損害賠償の請求をする方法があります。
この場合は、最初にサイト管理者に対して投稿者のIPアドレス開示請求を行い、開示されたIPアドレスをもとにプロバイダ(インターネット接続サービスを提供する事業者のことです)を特定して、当該プロバイダに対して投稿者の氏名・住所の開示請求を行います。
さらに、投稿者の行為が、刑法上の名誉毀損罪や侮辱罪(刑法230条、231条)等に該当すると考えられる場合、当該投稿者について、捜査機関に対し、告訴をするか否かを検討することになります。
これらの方法は、法的な手続きを伴いますので、通常弁護士に依頼して行うことになります。
総括
以上のように、企業にとって、風評被害対策は、書き込みの削除依頼や損害賠償請求の請求等法的な手続きが関わってくる場面が多々あるため、弁護士のサポートがあるとスムーズに進みます。
さらに、弁護士に依頼すれば、民事的な解決だけでなく、風評を流布した人の刑事責任を追及したい場合も、証拠の保全や事実関係の確定などについてサポートが受けられます。