企業において営業秘密の情報漏洩があった場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
前回までは、秘密漏えいをしてしまった場合の,不正競争防止法上の罰則について解説しました。
今回は、営業秘密保護のための管理体制の構築についてお話しします。
このページの目次
企業が保有する情報の把握、営業秘密の指定

前回までにお話ししましたように、「営業秘密」として不正競争防止法上の保護を受けるためには、企業が主観的に営業秘密であると考えているだけでは足りず、従業員等から認識可能な程度に客観的に秘密として管理されている状態にあったことが必要です。
現代社会において、企業が取り扱う情報は非常に多く、まずは、企業においてどのような情報を取り扱っているのかを十分把握する必要があります。その上で、各情報がどのくらい重要かを見極め、営業秘密は、そのなかでも秘密性の高い重要な情報という位置付けになると考えられます。
企業による営業秘密の保護対策

営業秘密を含む重要な秘密情報についてはアクセス権者を制限すること(アクセス制限)が重要です。
もっとも、通常の業務で常時使用するものであれば制限をかけることは困難であり、この場合にはパスワードを付してしっかり管理する必要があります。そのほか、秘密情報が記された資料の回収や記録媒体の複製制限、私的USBメモリ等の持ち込み禁止等によって、情報を外部に持ち出せないようにすること、就業規則に、企業秘密の保持について従業員の義務を明記し、入社時等に提出を求める誓約者等によって秘密保持を誓約させることなども重要です。
その他
上記のとおり、秘密情報の指定、あるいは、アクセス権者以外の情報の持ち出しを防止する対策をとったとしても、企業の情報に接触する従業員の情報の取扱いに対する認識が希薄であれば、実効的な情報管理は期待できません。それどころか企業からその情報を持ち出しても構わないだろうという気持ちになってしまうことも考えられます。そのため、日頃から、どのような行為が犯罪となるのかなどについて従業員を対象とした教育・研修を実施することが重要です。秘密性のレベルに応じてアクセス権者が異なる場合には、レベルに応じた教育・研修を実施することも必要でしょう。
最後に
企業において不正競争防止法違反に該当する行為が行われた場合、企業自身が法的責任を負う可能性があるのかを慎重に検討し、今後の対応を決める必要があります。
また、報道などの社会的責任に関しても、取引先にどのように説明をしていくのかといったことも考える必要があります。
以上のように、企業としては、様々な対応をする必要があり、適切に対応していくのであれば、弁護士のサポートが必要になってくることが考えられます。
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