【事例】
Aさんは、一念発起して、自宅のある奈良県天理市内で、資格を取得して鍼灸整骨院を開業しようと考えました。
Aさんは、鍼灸整骨院を開業するのには資格がいるというのは分かっていましたし、資格取得のために通い始めた学校も卒業が近付いてきました。
また、患者として鍼灸整骨院に通っていた経験から、健康保険も使える場面もあるようだということも知っていました。
しかし、具体的にどのような手続きをする必要があるのかまでは分かっていませんでした。
そこで、Aさんは、今後必要な手続きなどを相談するために、あいち刑事事件総合法律事務所に相談することにしました。
(事例はフィクションです。)
このページの目次
1 はじめに
Aさんが鍼灸整骨院を開業に必要となる準備としては、①業務を行う資格を取得すること、②開業に必要な届出をすること、③健康保険が使えるようにする手続きに分けて考えるとよいでしょう。
まずは、①資格から解説していきます。
2 必要な資格
⑴ 定められている法律
鍼灸整骨院を開業するのにかかわる資格としては、Ⓐ柔道整復師の資格、Ⓑはり師の資格、Ⓒきゅう師の資格が考えられます。
Ⓐ柔道整復師の資格については、柔道整復師法という法律で資格取得や業務に関する規律が規定がされており、Ⓑはり師やⒸきゅう師の資格については、あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律(以下では、各資格の頭文字をとって「あはき法」といいます。)で資格取得や業務に関する規律が規定されています。
参考報道:産経新聞 鍼灸、接骨など不正広告が横行 厚労省、年内にも指針作成
⑵ 柔道整復師の資格
柔道整復師となるためには、柔道整復師国家試験に合格して、柔道整復師の免許を得なければなりません(柔道整復師法3条)。
この試験は、柔道整復師として必要な知識及び技能を問うものです(柔道整復師法10条)。
誰でも受験できるわけではなく、高校を卒業するなどして大学に入学することができる人で、かつ、「文部科学省令・厚生労働省令で定める基準に適合する」学校や柔道整復師養成施設で、3年以上の期間、「解剖学、生理学、病理学、衛生学その他柔道整復師となるのに必要な知識及び技能を修得したもの」でなければ受験できません(柔道整復師法12条1項)。
また、試験に合格したとしても、一定の人に対しては、免許が与えられないことがあります(柔道整復師法4条)。
これを欠格事由といい、具体的には、「心身の障害により柔道整復師の業務を適正に行うことができない者として厚生労働省令で定めるもの」(同条1号)、「麻薬、大麻又はあへんの中毒者」(同条2号)、「罰金以上の刑に処せられた者」(同条3号)、それ以外にも、「柔道整復の業務に関し犯罪又は不正の行為があつた者」(同条4号)です。
⑶ はり師ときゅう師の資格
はり師やきゅう師となるためには、はり師国家試験やきゆう師国家試験に合格して(あはき法2条1項)、はり師免許やきゆう師免許を得なければなりません(あはき法1条)。
この試験も誰でも受験できるわけではなく、高校を卒業するなどして大学に入学することができる人で、かつ、「文部科学省令・厚生労働省令で定める基準に適合する」学校や養成施設で、3年以上の期間、「解剖学、生理学、病理学、衛生学その他あん摩マツサージ指圧師、はり師又はきゆう師となるのに必要な知識及び技能を修得したもの」でなければ受験できません(あはき法2条1項)。
また、はり師やきゅう師についても欠格事由が定められており、内容も柔道整復師法4条と概ね同じものです(あはき法3条)。
まとめ
今回は、柔道整復師やはり師、きゅう師の資格について解説していきました。この続きは今後の記事で解説していきます。
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