【事例】
Aさんは、山口県下関市で飲食業を営む会社であるⅩ社の従業員です。
Ⅹ社では、来年度からインターネットでの通販を利用して自社のレトルト食品を日本全国に販売することを目指しています。
しかし、Ⅹ社は、これまで自社店舗での販売と地元の小売店への販売しかしていませんでした。
そこで、このような事業拡大にともなって生じる課題に対応するために、Ⅹ社では法務部門を新設することになりました。
そして、Aさんが新設される法務部門の責任者となりました。
X社の法務部門では、事業拡大の際に様々な業者と取り交す契約書のチェックも業務となっています。
しかし、Aさんは弁護士資格を有しているわけではありませんし、他の社員も弁護士資格は有していません。
また、X社にはこれまで顧問弁護士もいませんでした。
そこで、Aさんは、今後予想される契約書チェック業務に対応するために、あいち刑事事件総合法律事務所に相談することにしました。
(事例はフィクションです。)
このページの目次
1 はじめに
前回の記事では、契約書のタイトルについてみてきました。
今回は、印紙税や収入印紙について解説をしていきます。「印紙」と聞いたことはあっても,正確に説明できる人は少ないのではないのでしょうか。
2 印紙税とは
印紙税という税金を聞いたことがあるでしょうか。
印紙税とは、取引をした場合に作成する契約書や領収書などといった文書を作成した場合に課される税金で、印紙税法という法律に規定されています。
印紙税法の別表第一には、契約書や領収書の他にも、定款や株券など印紙税が課される文書が20種類定められています。
また、具体的な印紙税額は契約金額等によって変動します。
具体的な印紙税額は印紙税法に規定されていますが、国税庁のホームページでも確認することができます。
もっとも、そのような文書が全て印紙税の対象となるわけではありません。
例えば、不動産に関する契約書や消費貸借に関する契約書については、契約金額が一万円未満であれば対象外となります(印紙税法別表第一番号1)。
また、領収書であれば領収金額が5万円未満であれば対象外となります(印紙税法別表第一番号17)。
3 収入印紙とは
このように課される印紙税をどのように納めるかというと、収入印紙という郵便切手のようなもので納めます。
収入印紙は、郵便局やコンビニエンスストアなどで購入することもできます。
収入印紙は、切手と同じ要領で貼り付けることになります。
契約書や領収書のどこに貼らなければならないということまでは法律で定められていませんので、余白部分に貼り付ければ問題はありません。
ただし、貼り付けるのはどこでも構いませんが、消印はしなければなりません(印紙税法8条)。
4 印紙税を怠った場合の効果
それでは、印紙税の納付を怠ってしまった場合、どうなるのでしょうか。
印紙税の納付を怠った場合、過怠税を徴収されることになります(印紙税法20条)。
過怠税の金額は、「納付しなかつた印紙税の額とその二倍に相当する金額との合計額」とされていますから、本来の印紙税の3倍の額を納めなければならなくなります(印紙税法20条1項)。
もっとも、印紙税を怠った場合でも、印紙税を納めなければならない契約書の効力が否定されるわけではありません。
契約自体は有効に成立することになります。
今回は、収入印紙が必要かどうか、怠った場合にどうなるのかなどについて解説していきました。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件に関わってきた経験を活かし、そもそも会社内でのトラブルを回避するための対応・アドバイスにも力を入れています。
契約書の確認をしてほしい、継続的に弁護士からアドバイスを受けたいなどといったご要望の方も、一度、あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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